紅茶一杯。



蜜蜂なモブ
2017年3月8日 18:05

話題:二次創作文

※モブサイコ100
※BL要素あり注意
※パラレル注意
※乳首注意




働き蜂として生まれた茂夫は今日初めて蜜集めに巣から出る。緊張に青ざめながらも、その目には使命感が宿っていた。
「兄さん大丈夫?顔色がだいぶ悪いけど…」
茂夫の様子を心配して声をかける弟の律。彼も共に働き蜂だ。
「う、うん…大丈夫だよ律。」
声が震えていて全然安心出来ないが、過保護も兄の為に良くない、と律は引くことにする。
「そう……もし具合が悪くなったりしたら、ちゃんと休んで。僕も近くに居るから、何かあったら呼んでね。」
律が告げると、茂夫はぎこちない笑顔で礼を言った。


飛行に問題はなかった。しかし花探しに苦戦する。質のいい花は取り合いになっていて、茂夫はそれを遠巻きに眺めただけで戦意を失う。争い事が大の苦手だった。
(どうしよう……全然見付からない…)
チラリと律の方を見ると、せっせと蜜を沢山運んでいた。それを凄いと尊敬の眼差しで眺める茂夫。
自分も早く蜜を集めなければ。女王蜂様の役に立たなくては、と予定よりも遠出してしまう茂夫。
焦って探したせいで随分遠くに来てしまった茂夫。しかしそれに気付かず辺りをキョロキョロして花を探す。いつの間にか花畑はなくなり草木しかなくなっていた。
しまった、と引き返そうとすると誰かに呼ばれた。
振り向くと草木しかない場所にぽつんと一輪の花。
「おーい。そうそう、お前だよ。ちょっとこっちに来いよ。」
茂夫は狼狽えつつ、恐る恐る声を掛けてきた花に近寄った。
「いやー久々の来客だな。お前名前は?」
花は陽気に話しかけてくる。茂夫はこんな花を見たことがなかったし、聞いていた花とは随分違っている。
さっきの花畑にも、目の前の花と同じ物は無かった。
目の前の花は中心に小さな人型が埋まっていて大変個性的だった。
腰から上がニョッキリ生えている。しかし茂夫はまだ『人間』を見たことがなく、知識も無いためただひたすら聞いてた形と違う!という不安だけしか抱かなかった。
「し、しげお……あ、でも友達には『モブ』って呼ばれてます……」
馬鹿正直に個人情報を喋ってしまう茂夫。
「モブか。よろしくな、モブ。俺はレイゲンだ。」
好意的な態度にほんの少しだけ警戒心が薄れる。
霊幻はもっとこっちに来いよ、ほらこの花弁に座ってさ。と茂夫を招く。
最初は一定の距離以上は近付かなかったが、霊幻と話をしているうちにその話術にハマり、最終的には霊幻の花弁にお邪魔した。
巣からちゃんと出たのは今日が初めてだった茂夫には、外の世界を沢山知っている霊幻はとても魅力的だった。
知識や話題も豊富で、聞き入っていた茂夫が我に返った頃には陽が暮れ始めていた。
慌てて帰ろうとする茂夫。しかしそこで更に青ざめる。
「どうしたモブ。」
「み、蜜…!どうしよう、一回も集めてない……!!」
涙目で焦る茂夫に、腕を組んだ霊幻が唸る。
「蜜か…そうだよな、お前蜜蜂だもんな……お前、今日まだ一回も蜜採ってないって言ったな。」
こくこくと頷き、泣きそうな顔を霊幻に向ける。
「いやー…俺の蜜を分けてやってもいいんだが…」
「本当ですか!?」
希望の光を見つける茂夫。しかし霊幻は浮かない顔だった。
「採り方が特殊なんだよな……それでも構わないなら……」
茂夫は藁にもすがる思いで頷いた。
じゃあ……と霊幻は渋々ワイシャツの前をはだける。
「どうぞ。」
「え。」
霊幻はワイシャツを左右開き、胸をさらしている。
「どこですか。」
「ここ。」
と指で己の乳首を指差す。
「ここから出るから、吸うなり揉み出すなり好きにしてくれ。」
「えっ。」
予想外な場所に面食らう茂夫。
「やっぱり止めとくか。」
とワイシャツを閉じると
「いえ。大丈夫なのでください。」
と覚悟を決めた顔で言う茂夫。
「いや、やっぱり止めといた方がいいぞ、お前ドン引きじゃねーか。」
「ちょっと予想外すぎて。でも大丈夫です。」
とボタンを留めようとする霊幻の手を阻止してワイシャツを開く。
「おいおい無理すんな。あれだよ、お前新人だし初日なんだし、謝りゃ上司も許してくれんだろ。」
と両手で乳首をガードする霊幻。
「手を退けてください。蜜を採らなくちゃ。」
「だから……やっぱやめやめ!蜜はやらん!」
抵抗しだす霊幻。に、イラッとくる茂夫。
「そもそも誰のせいで収穫ゼロになったと思ってるんですか。アンタが足止めしたせいじゃないか。」
茂夫の言葉に、うぐ…と言葉が詰まる霊幻。
久々の来客だったのだ。花畑から逸れたこんな辺鄙な場所に芽を出してから、ずっとずっと長いこと独りだった。
他生物が通る度に声を掛け、寂しさや暇を潰していたが、最近はすっかりそれもなくなり、ただ枯れるのを待つだけかと悲観していた。そんな時に現れたのが茂夫だった。
正直に、霊幻はふれあいに飢えていた。
「また来ますから。」
霊幻の手首をそれぞれ掴んでガードを阻止する茂夫が、至近距離で真っ直ぐに見つめながら言った。
その一言は、霊幻の最後の抵抗を無にする充分な力があった。



「兄さん!!」
なんとかギリギリ帰ってきた茂夫は巣で真っ先に律に出迎えられた。心配したんだよ!と興奮する律を宥め、謝罪する。
「兄さん蜜は採れたの?」
律の言葉に、じんわり赤くなる茂夫。照れながら
「の、飲んじゃったんだ…思いのほかおいしくて……」
と頭を掻く茂夫。
「に、兄さん…照れ笑いしてる場合じゃないよ……つまみ食いって……」
と上司に叱られるだろう兄を心配して青ざめる律。
その後、茂夫からの詳細報告で別の意味でも青ざめて卒倒した律。





・すまんかった…………こんなつもりじゃなかったんだ。思い付いたまま書いたらこんな事に。

ちなみに最初は師匠が招いた理由はモブに花粉運ばせようとしたから、でした。


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