紅茶一杯。



無かった事にする師匠@
2017年3月1日 18:19

話題:二次創作文

※モブサイコ100
※モブ霊注意
※とても長い注意



モブが師匠に告白した。どうしてこうなった、と後悔する師匠。どこで間違った、どこで道を踏み外させた。
悩んで悩んでとにかく自分から離そうとモブにひどい事を言ってしまった師匠。
その翌日、モブが事故に巻き込まれて危篤状態だと知らせが入った。頭が真っ白になる師匠。
超能力で避けられなかったのかと混乱して、目撃者の話だと事故の時の様子がおかしかった、まるで心ここに在らず状態だった。と聞いて、茫然自失する師匠。
なんだ、俺のせいじゃないか。と呟く師匠。
師匠に言われた言葉のショックで、周りが見えてなかったのだと。

モブの入院している病院に行くも、病室の前で立ち止まる師匠。中に入る勇気が出ない師匠。
きびすを返したらちょうど律が来て、なにか声をかけてくる前に先に見舞いの花を渡して、すまんが替わりに花置いてきてくれ。ってその場を去る師匠。
何も知らない律は、流石に辛くて入れないんだなと同情して見送る。

病院から去ることも出来なくて、自販機とソファーのあるちょっとした休憩所みたいな場所で座り込む師匠。頭を抱え自分の選択を猛省する。
戻りたい。戻れる訳ないのは知ってるけど戻りたい。モブをあんな目に遭わせたくなかった。と落ち込む師匠。
いつの間にか窓の外は真っ暗で院内は灯りが点いていた。
体感的にはまだ数分しか経ってない気分だった師匠は慌てて立ち上がる。と、ぐらりと視界が反転した。

立ち眩みで倒れた師匠が焦りながら起き上がると、そこは病院ではなく自分の相談所だった。
訳が分からない師匠。辺りを見回して、これが現実か夢かを探る。痛覚はあり、見えてる物は全て実物だった。
新聞を見たら日付は。
「嘘だろ……」
慌ててパソコンを起動する。日付を見たら、新聞と同じ日付。
「戻ってる……」
師匠が戻りたかった日。
やり直したかった日。
モブが、師匠に告白してきた日。
「戻ってる!戻ってきた!やったぞ!戻れたんだ!!」
摩訶不思議だとして今は縋りたいくらいに嬉しかった。なにかの罠だと普段ならば疑っただろう師匠は、この奇妙な好都合に縋ってしまった。
それくらい、師匠は追い詰められていたし傷付いていた。
時計を見る。もうすぐモブが来る。師匠は緊張しながらドアを見つめた。
どこかでやはり、信じきれない自分が居た。
ガチャリとドアノブが回る。いつもの声でいつもの挨拶で、モブが現れた。
師匠はあまりの感激に飛びつきたいほどだったが、グッと堪える。
これから大事なミッションがある。師匠はひとつ咳をして、明るくモブを出迎えた。


モブからの告白に、師匠は少し時間が欲しいと返した。真剣に考えたいからだと言えばモブは納得した。真剣に考えてくれる事を喜んでいた。
期待を持たせた気がして心が痛んだが、ここで振ったらまた後日事故るんじゃないかと不安で答えられなかった師匠。
せっかくのやり直しの世界だ、もう失敗は出来ない。師匠は細心の注意を払った。
事故の日を過ぎて、さらに数日。
モブが明らかにソワソワしてきた。師匠はまだどうやってモブを正しい道に戻すか策が無かった。

のらりくらり引き延ばしたら、愛想を尽かすかもしれない。師匠はそれに賭けてみた。
もうモブを言葉で傷付けることは出来なかった。無意識に師匠のトラウマになっていた。

結果、高1になったモブに無理やり押し倒された。
師匠を抱いたあと我に返って号泣し、ごめんなさい、こんな事するつもりは無かったんだと自分を責めて飛び出していった。
この流れは駄目だ、この流れはいけないと後を追いたかったが、体が悲鳴を上げてて動けなかった。
翌日モブが行方不明になったと聞いて師匠は絶望した。

事務所のソファーにうずくまって、頼む頼む頼む頼む頼む俺にチャンスをくれもう一度、今度こそ失敗しない、俺は絶対モブを幸せにしてみせる、だから頼む誰でもいい誰か助けてくれ……と何かに必死に頼み込む師匠。目をきつく閉じてる状態で、ぐらりと目眩がした時、師匠は願いを受け入れてくれた「何か」に感謝した。


モブの告白を受け入れる事にした師匠。付き合って飽きればいいのではと判断したからだ。引き伸ばしてああなったならば、さっさと手に入れて思ったよりも魅力的な物じゃなかった、と現実を知ればいい。
蓋を開けて現実を知って、満足したら次に行けばいい。師匠は今度こそ成功させなければ後はないと焦っていた。
せっかくやり直せたんだ、もう次は無いかもしれない。今回だってボーナスに違いないと緊張状態だった。
なので師匠はモブを甘やかした。モブがしたいことは全部許した。おかげで色々必要のない調教を受けたが、それも許した。モブが満足して飽きればそれでいい。
例え自分がモブ無しでイケなくなってももうどうでもいい。兎に角モブが全てだった。

モブに結婚話がちらつきだした頃には師匠はすっかり開発されまくっていたが、初志貫徹。自分の役目を忘れては居なかった。
むしろお見合いをせっつかれてると困惑しながら報告するモブに
(ああやっと終わるのか…)
と安堵した。その顔に目ざとく気付くモブ。ざわりと不穏な空気になる。
「師匠………今安心しました?」
モブの声が低い。怒ってるとすぐに察した師匠は慌てて取り繕うが、モブは涙目で師匠を睨んだ。
「本当はずっと、解ってました…。師匠は僕が好きで受け入れた訳じゃないって。」
「そんな事ないって。お前が好きじゃなきゃあんな調教受け入れる訳ないだろ。俺もうお前に乳首だけでイカされるレベルだぞ?」
焦る師匠。必死に宥める。これはダメな流れだ、ダメだダメだ!!頭の中で赤信号が点滅してる師匠。
「師匠は僕のワガママを全部受け入れてくれました。愛されてるんだって、思ってた時もあります。」
「ダメだ、モブ、やめろ……止めてくれッ!!」
床にうずくまり頭を抱える師匠。向かいでモブは涙を流していた。
「でも、違った。師匠は、アンタは、僕じゃなくてどこか別の場所ばかり見てた。」
ねぇ、他に誰か居るんですか。
うずくまる師匠の前に立ち、師匠を見下ろすモブ。
小さくなって震える師匠の背中に被さるモブ。
「僕はあの日から、ずっとずっと師匠に片思いしてます。きっと、これからも。どうせ実らないんだ。」
しゃくりをあげるモブ。可哀想で、愛おしい。抱きしめてやりたい。しかし背中にモブが乗ってるので師匠には出来なかった。
「なんで俺なんだ。なんでよりによって俺なんだよ……俺はお前の師匠で居たいんだよ……」
震えた声で嘆く師匠。近付いてくるバッドエンドに怯えている。次はあるのか、やり直しは出来るのか。もう無理かもしれない。今までが奇跡だったんだから。そんな何度も起きてくれる程、世界は優しくない。
「師匠。師匠はずっとこの先も僕の師匠です。そして、大切な人だ。」
だけど。モブが続ける。
「師匠が全部欲しい僕は、このままじゃ満足出来ないんです。」
ねぇ。一緒に死んでくれますか。
「……ッ!!」
ガバッとモブを押しのけて体を起こすと、そのまま勢いよくモブを抱きしめた。飛び付いたから押し倒す形になる。
「俺はいい。もういいんだ、でもお前は駄目だ。お前だけは。」
声が震える師匠。
「死ぬのは駄目だ、俺なんかいくらでもやる。だが絶対に後悔するぞ。モブ、お前は優しすぎるから、俺に飽きたとき捨てられなくなるだろう。よし、任せとけ。そん時は俺が死に際の猫のように上手く消えてやる。もう覚悟は決めた。」
とモブを強く抱きしめる。恐怖に震える師匠を、愛おしく抱きしめ返すモブ。
「安心してください、飽きることは無いです。そんなこと多分無理だ。」
「モブ……」
「だってもう、師匠を知ってしまったから。今更忘れて生きられる訳ないですよ。」
両手で顔を挟まれてキスされる師匠。
「…師匠、まだキスしかしてないですよ。」
と腰を押し付けるモブ。
「お前がそう調教したんだろうが。」
と主張し始めている自身のモノを押し付け返す師匠。



(続く)


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