sketch

今日は一日、野暮用を済ませながら、目に映る、興味のあるものを片っ端からスケッチやクロッキーした。形を覚えること、素早く取ることを目的にしている段階。手の鈍りをとるためとも。まだ駆け出したばかり。

終始隣にいた榊はどこにいても漫画に夢中だと僕は思いこんでいたのだけど、違ったらしい。チラチラと僕の紙束(スケッチブックの余り紙の寄せ集め)を盗み見ていたようだ。

帰宅して。
「絵、上手くなったよね」
「そお?」
「ここら辺の本読んでから急に、なったよ」
※絵の勉強方法を示した某小さな黒い本や、有名画家の作品集など

「手と、俺のスニーカーは特に上手いなって思ったよ。手は、なんていうか…厚みがよくでてる」

そうか。自分でもなんかいつもと違う出来栄えで、それがなんかいい感じには見えていたのだけど、何かまでは分からなかった(手とか有機的な物はモチーフがそれというだけで苦手感が立ちはだかるほど苦手。嫌い)。描き込みはまだまだ少ないけれど、でも伝わる感じがするのは何でだろうと不思議だった。

榊といえど他者からそう見えてるのなら嬉しかった。実感ないから、そう言ってもらえて嬉しいと素直に伝えたら、意外だったみたいで、「じゃぁ今度からこまめに云うね」とテンション高く返された。
それには慌てて「図にのるからやめて。褒めるのはほどほどにして」とお願いした。「前にもそんなこと言ってたね」と榊は笑って了承してくれた。


十字を取ると、正しさが気になってか、より一層崩れる不思議現象。それと、ペン軸のカタチと太さの具合と推測しているけれど、ボールペン(太めで鈍い角丸三角形)のほうがスムーズに描ける。

本を読んでからは自分の目指すところが明確になって、描くことも、それ以外の仕事絡みの勉強も、やりやすくなった。写真や作品集ひとつとっても見方が変わって、体の中に入ってくる感じがする。