カペイカのつまらない嘘



「カペイカ、君の嘘はもう聞きたくない」とおじさんは言いました。カペイカは可愛らしい小さな顔を上下に揺らしながら、何が本当で何が嘘かなんて誰にも分からないと思いました。それでも頷くカペイカを見るおじさんがあまりにも嬉しそうなので、カペイカも嬉しくなりました。言われたそばから嘘を吐こうが、自分の感情を殺す程度のつまらない嘘なら、誰も不幸にならないのだなとカペイカは思いました。
「カペイカ、ごはんよぉ」
 おばさんの声が聞こえて、カペイカは顔に似合った可愛らしい声でワンと一声鳴きました。カペイカの頭をなでるおじさんの手は、しわしわでとても温かいのでした。



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