2015/12/6 Sun 07:07
失恋のイワナガヒメ


面食(めんく)いだった?ニニギノミコト

娘のコノハナサクヤヒメがニニギノミコトから結婚を申し込まれたことを知ったオオヤマツミは、大喜びです。

「これはこれはめでたいことだ。娘を嫁(よめ)に出すときには、ニニギノミコトのこれからの幸せを祈(いの)って、たくさんの贈り物をしよう」

そして、山ほどの贈り物をコノハナサクヤヒメに持たせ、なぜか、姉のイワナガヒメも一緒にニニギノミコトのもとに嫁(とつ)がせました。

コノハナサクヤヒメを迎(むか)えたニニギノミコトは幸せいっぱいでしたが、

ふと見ると一緒に姉のイワナガヒメも来ているではありませんか。

木の花のようにサヤサヤと美しいコノハナサクヤヒメ。

反対に姉のイワナガヒメはというと、岩のようにゴツゴツとしたみにくい顔です。

ニニギノミコトはひと目見るなりこわくなってしまいました。


「私と一緒に姉を嫁がせたのは、あなたのためを思った父の心づかいなのです」
コノハナサクヤヒメがいくら言ってもニニギノミコトは聞き入れず

とうとうイワナガヒメをオオヤマツミの元へ返してしまいました。

イワナガヒメが帰されたことにおどろいたオオヤマツミは

「私が二人の娘を嫁がせたのには意味があるのです。
コノハナサクヤヒメを妻にすれば木の花の咲くようにお栄えになったでしょう。
また、イワナガヒメを妻にすれば岩のようにビクともしない永遠の命を持つことができたでしょうに。

こうしてイワナガヒメだけ返したことで、ニニギノミコトの命は、いつの日か花のようにはかなく散ってしまうでしょう」

とニニギノミコトを呪(のろ)いました。


さて、イワナガヒメはというと、毎日毎日鏡をのぞいては

自分が美人に生まれなかったことを嘆(なげ)き悲しんでいました。

そんなある日、いつものように鏡をのぞいてみると、
そこには竜のように恐(おそ)ろしい顔が映(うつ)っているではありませんか。
おどろいたイワナガヒメは後ろ向きに鏡を放り投げてしまいました。

その鏡は遠くの山まで飛んでいき、ふもとの村をいつまでも明るく照らしたということです。




【銀鏡(しろみ)神社】(西都市)
イワナガヒメとオオヤマツミを祀り、イワナガヒメが投げた鏡をご神体としたとも伝えられています。

鏡は西都市銀鏡の竜房山の頂上の大木に引っかかり、麓の村を明るく照らしたので、その村を白見村と言うようになり、後にその鏡が銀の鏡だったので、銀鏡の名がついたといわれています。


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