可愛いよ

一門は、少し落ち着いた。
筆頭が去り、人も二名ほど減ったから、今後どうするか(存続か脱退か解散か)
残った十名弱に順に聞くと、おおよそ「存続」との答えだった。
だからこの一門に残った人は、大なり小なり、この一門を好きな人。
好きだって分かった。
分かったから、嬉しかった。

好きなら好き、嫌なら嫌と、分かれるのは安心すること。


「一門に関して、集まって話しましょう」と提案され、徒党組んで話すのかなと思ったら武家屋敷に呼ばれた。
「居間で待ってます」と言われて、もうその時点で吹き出しながら「居間」を探すのだけど、迷路屋敷なの。居間行けないの。
行き止まりのへんな小部屋、壁じゅうにオカメ面が貼ってある。

たどり着いた「居間」は、中央の机に食べ物やお花がたくさん置いてあって、そのまわりをぐるっと囲む座布団の上に、その人はわざわざ所作「座る」をして待っていた。

「ことりさん、2位。食べ物たべると何か起こるよ」

ねぇ可愛すぎなの。


大体、武家屋敷に集まるとか、久々だよね。
彼にそう言うと、

「新鮮だったしょ?」

顔の知らないその人の、得意げに少し笑う顔が、見えた気がした。