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メイドインミラー(藍→ギン)

「2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、37、41、43、47、53、59、61、67」
ギンは胎児のように丸まって淡々と数を呟く。耳を塞ぎ、目を閉じて、世界を切り離す。悲鳴も剣戟の音も死体も血の臭いもそこにはない。ただ漠然とした無意味な数の荒野がそこにあった。

またか、鏡花水月を鞘に収めた藍染は死体と虫の息の中にうずくまるギンの姿を見つけた。
(今回は素数か)
鏡花水月で作られた霧と水の世界では自分以外は全てが敵、同士討ち上等のバトルロワイヤルが展開されていた。敵味方なく完全催眠に陥り、藍染に周りには敵しかいないと認識を操られた彼らは互いに殺しあった。
「ギン」
色々と蹴散らし、藍染はギンの肩に手をかける。
「947、953、963」
「ギン」
「971……あれ、もう終わったんですか?」
ギンは何事もなかったかのように振り向いた。毎度のギャップに藍染はため息をついた。
「何故、君はあんなことをする?」
殺人にためらいがないのはすでに証明済みだ。ならば、嬉々として全員蹴散らせばいい。しかし、ギンはそれをしない。ただ自己すらない数の荒野に埋没するだけだ。素因数分解や数列などの違いはあったが、体を丸めて外の殺しあいをシャットアウトするところは変わらなかった。
「別に斬らな斬られへんし、あー、多分退屈やからやと思います。鏡花水月ってボクが攻撃せな何にもダメージ受けへんし、誰が攻撃したの誰の部分は変えれても、攻撃したの部分は変えられへんですから」
一瞬思考がフリーズする。退屈だと言われたことが藍染には初めてだった。
「情報で人は死ぬよ」
「でも、その情報が嘘やって理解してたら死なへんと思うんです。せやから、ボクは嘘のない数数えて暇潰しですわ」
ギンは笑っていた。
「それでも、死ぬよ」
僕は、というフレーズを藍染は飲み込む。三席を殺して話にならないとギンが笑ったことを思い出す。あの時と全く同じだ。ギンにとって話にならないのは自分も同じ。
(化け物め)
感情移入、自己投影、それが全くない。周りの殺し合いも、自分より強いはずの存在にも本当は何にも興味がない。ただ退屈しのぎだけを繰り返す、藍染の夢から完全に切り離された化け物。
「早よ帰らな隊長に怒られますよー」
ギンはとっくに穿界門を開けて、何人か虫の息の連中を適当に襟首を掴んでいる。血で汚れることなど全く気にしていない。もちろん、彼らを仲間だというセンチメンタルからではない。ただ、藍染が以前虫の息の連中はなるべく連れて帰れと言ったからだ。ギンにとって彼らは数に過ぎない。今のところ、ギンには数でしか世界を計れないのだ。
「そうだね、怒られるのは時間の無駄だ」
虫の息の連中に鏡花水月を使い、無理矢理立たせる。適宜傷を戻せば勝手に四番隊に行くだろう。
「次はもっとたくさんやったらええな」
ギンがぽつりと呟く。
「そうだね」
藍染はただ相槌を打つことしかできなかった。




色々と読んだのに影響された話。突き放されるというかそもそもそんなに意識されてないというか、圧倒的自己中というかそんな感じのギン。

タイバニ映画見てきた(ネタバレ)

ユーリの出番少ないのは知ってたけど、まさかのバニーとの絡みとエンディングのかっこよさ!バニーとの絡みがエロくてびびった。なにあれこわい。なんかベッド誘ってんのこの人みたいな。最後のあれは犯人ぬっころさなかったのがお気にめさねえだったんだろうなあ。強盗だし、あの能力使い方では死人でるし。ユーリがあの反応する辺り、もう死人出てるっぽい。
来年の映画で活躍してくれないかなあ。バニー戦みたいなアクションで。

良夫可愛いよ良夫。ふわふわで。そういえば楓ちゃんも浮くだけだったし、くれしんでもそうだけどジェットパックすげえ。檻の中の良夫もかわえかった。なにあれほしい。ちっちゃくしてピンセットでえさあげたいんだが。

ブルロもバニーも久々のツンが美味しかった。二話と三話の間の話だし、すごい落ち着いて見れた。この二人はやっぱり全包囲ツンな方が好きだ。

ロビン可愛いよロビン。ネクストよりもスタンドっぽい能力だけど。子悪党だし、かっぺいだし、すごい悪ガキっぽい。

おじさんはやっぱり巴さんと楓ちゃん一筋でいいと思う。結婚から死去までの流れで泣いた。ヒーローでいつづけようとする理由がせつなすぎる。
でもタイバニって結構過去に捕われてるキャラ多いけど、おじさんはそのベクトルが一番まともかもしれんね。基本誰も傷つけないし。
そしておじさんの僕はバニーじゃないはやっぱり笑えるし、やらかす度に笑える。

イエローデイ(ギン誕生日の続き、ギン乱)

月と生活の光に照らされてギンは微笑む。

「誕生日おめでとう」

カスミソウの小さな花を散らした淡い黄色いバラの花束が乱菊の手に渡った。小さなテーブルの上には餡で巻いた月見団子とワインが二人分乗っている。

「あんたから花束なんていついらいかしら」
「さあ、いつ以来やろ」

ギンは団子をつまむ。冬獅郎を寝かせた後、晩酌がてら月見をしようと二人はベランダに出ていた。

「しかもバラの花束なんて」
「秋バラがええって新しくできた花屋のお姉ちゃんが」
「地味に秋もバラのシーズンだしね」

鮮やかさや派手さでは初夏のバラには勝てないが、穏やかさや香りなら勝るとも劣らない。

「それにこの色乱菊の髪の色っぽくて」
「確かに。……なんだかんだ言ってこういう時はしっかり旦那してるわよね」
「普段からキミの旦那のつもりやねんけど」
「まあ、ね」

黄色のバラには嫉妬という意味もある。自分から少し遠い、ギンの『父親』や『社会人』の面に嫉妬することが乱菊にはたまにあった。
(ま、しゃあないか)
それらがあっての『家族』なのだ。そうして自分達は回っている。

「ボクも乱菊の嫁の顔見てたいし。なあ、今日の晩御飯のことやねんけど」
「あのお好み焼き?生地ふわふわで美味しかったけど」

今日の月のように丸いお好み焼き。誕生日だと知っているくせにロマンチシズムに欠けたものを出してきたと少し残念に思っていた。

「そう」

ギンは乱菊の唇に口づけた。

「花生けたらベッドで待ってる」

ギンはリビングに戻っていく。乱菊の顔は真っ赤になっていた。
(あーだめだ私)
たまにギンはやらかすということをすっかり忘れていた。晩御飯から全て伏線を張っていた。そしてそれに気づかずにひっかかった。
想定外の自体に弱いのは自分も同じだ。乱菊はギンの分のワインと自分の分のワインを一気に飲み干す。自分の中から久しく忘れていた熱いものが湧き出してくる。

「待ってなさいよ、ギン」

なくのはあんたの方よ、とワイングラスと月見団子のセットと花束を持ち、乱菊は勢いよくガラス扉を開いた。

拍手れす

ここのギン受け〜の方へ

拍手ありがとうございます。
恋ギンは確かにそんな書いてないですね。育ちは似てる二人だと思いますが。
いやいや死んだら元も子もないですよー命あっての物種です。

蜂蜜太り(恋ギンイヅ、にょた)

「ちょい太りました?」
「は?」

メイクのされた市丸の笑顔が一瞬ひきつる。細い目からのぞく鋭く冷たい眼光に蛇に睨まれた蛙という言葉を恋次は再認識させられた。
(だから言ったじゃねえか馬鹿野郎!)
恋次は心の中で毒を吐く。嫌われたくないからと腑抜けたことを言った同期の桜の必死な顔にほだされた結果がこれだ。柱の裏から覗くイヅルの怯えた顔が今はひたすら恨めしかった。

「……いや、なんでもないっす」

確かに橙色のビキニとパンツの間からのぞく市丸の白い腹は以前よりも少しだけ丸みを帯びているように見える。もっとも、それを見たのも三十年以上前の話だ。あの事件で性別が入れ替わってしまった今となってはあてにならない。

「確かに食べる量は最近増えたけどな。しかし、キミ女の子になってもひらひら似合わへんな」

恋次の纏う白黒のメイド服をギンは指差す。恋次は思わず黒いミニスカートをにぎりしめた。
隊長は水着グラビア、副隊長はメイド服でグラビア。各隊長のグラビアから続く、元女性死神協会及び瀞霊廷通信編集部の暴挙の果てがこれだ。
着たくて着ているわけではない。羞恥心と怒りが混じり、恋次の頭に血がのぼった。しかし市丸はどこ吹く風といった態度、相変わらずの飄々さで笑いながら恋次に尋ねた。

「なあ、阿散井」
「なんすか」
「……一回ご主人様言うてくれへん?」

その問いに柱の陰に隠れていたイヅルの顔が真っ青になり、更にひきつる。そして顔のそばで親指を下にむけるというハンドサインを見せていた。
(市丸に最初にご主人様っていう権利を渡さねえと殺すってとこか)
十三隊屈指の市丸信者であるイヅルらしい反応だ。同期の桜が相手でもおかまいなしだ。

「吉良に頼んでくださいよ」
「イヅルには当然言わすけど、ガテン系メイドもええなあ思って」

ガテン系メイドってなんだというツッコミを恋次は無理矢理沈める。しかし、それ以上に恋次には気になることがあった。
(この状況で殺気出すか普通)
市丸に言及されればアウトだ。じっとりとした青黒い視線が恋次を射抜いている。柱の陰からのぞくイヅルはひどい無表情だった。
イヅルの親指が後ろを向いた。殺る気満々だ。しかし、殺すから殺るに変わったのは幸いだ。イヅル相手の正面きっての戦いならこちらに分がある。恋次は腹をくくった。

「……はあ。ご主人様、ミードはいかがっすか」
「うん。おおきに。あとでルキアちゃんにも言うたげやー」

市丸は恋次に背を向けた。羽織った白いパーカーをはためかせながら、この茶番に飽きたらしい市丸は去っていく。

「……阿散井君、表出ようか。久々にキレたよ」
「やれるもんならやってみろ」

二人は笑顔で肩を組みながらスタジオから出て行った。



オレンジポリグラフの続きみたいな話。
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