スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

熱いばかりの滑らかな肌(タジハナ)

メリークルシミマス計画。

タジハナ大人妄想。幸せ不在。花井も不在。
※田島は普通にモブ女子と致してますのでご注意。
※回想タジハナもR18です。描写露骨ですので注意。
※そもそも田島も花井も人格ねつ造がひどすぎるので注意。
ご都合主義。感覚作文。それが自分へのクルシミマスプレゼント。
むしろタジハナじゃなくても成立しちゃう話です。ぺっと何かを吐き出したい嫌悪感に駆られる方はバック推奨。


進んじゃう方。メリークルシミマス!!!!
↓↓↓
more...!

疑似レッスンxx(タジハナR18)

ついったで但馬さんと交流させていただい際、ネタをいただき作品を献上させていただきました。大人タジハナならSMをプレイで楽しむよねwwと。

要望にまったく添えてない感じの大学パロとなりました。
R18で縛り異物挿入等が無理な方はブラウザバック推奨です。
行ける…多分。という方は続きからどうぞ。
more...!

カモナ・マイハウスH

R18要素が当社比で多い…ような気がするので苦手な方はブラウザバック推奨です。






驚き、最初はただ貪られてばかりいた口づけも、花井の挑発的な舌使いに次第に煽られ、やがて互いが互いを食らいつくすかのような荒々しいものへと変わっていた。

こんなにも求めあうような口づけを、未だかつて交わしたことがあっただろうか?いつも恥じらいを残す男をこちらから一方的に食らっているような記憶がほとんどだ。けれど、どこかでこんな風にどろどろと混ざり合うような思いをした記憶が残っているもの確かだ。

一体いつのことだろう。それとも、花井と過ごす生活の中で生まれた願望が残像となっただけなのか、分からない。今感じている花井の舌の熱さの方がよほど生々しい現実で、過去にどんどんと上書きされ記憶が薄れていくような錯覚に陥る。

唇と唇が離れると、息つく暇もなく、花井は俺の首筋に舌を這わせた。

「ちょ、花井、それは俺の楽しみ…っ」
「…っ、ちょっと黙れ」

やかましそうに眉をしかめる花井は、いつもの悩ましそうな表情とはまた別の色気を醸し出していた。

これはそう、先ほどまで花井から感じていた雄の色気…というものだろう。
俺をヤルと断言した男の意思は消えていたわけではなかった。しおらしい態度にほだされかけていたが、この男、一度決意を固めると恐ろしく揺らがない。いつもは情けないほどぐらついている地盤が、なぜこんな時にだけしっかりと固まってしまうのか、恨めしい。

ふいに両腕を掴まれたかと思うと、しおらしさの陰に隠れた腕力にものを言わせ、あっという間に俺は再び花井に組み敷かれる態勢となってしまった。

覆い被さるように耳の裏、鎖骨へと舌を這わせる。いつも俺が花井にしているように、されているのだと気付き、何やらこっ恥ずかしい気持ちにさせられた。
自分のワンパターンぶりを目の当たりにされたような、何とも情けない気分に陥ってしまう。そしてこの男、感情の機微なんかにはとんと疎く不器用なくせに、実技は何をやらせても人並み以上には出来てしまう


花井は男だ。しかも学校では一般生の女子にもそこそこ人気がある。(この性格のおかげで決定的なお手付きはされていない。正に奇跡)
そして前述したように一度やり方を頭で理解してしまえば大体のことはなんでもこなせるこのスマートさ。身近にいる分には十分過ぎるスペックを有している。おおよその人間から信頼と憧れを抱かれる人柄。文句の付け所のないそつのなさだ。

そしてその実力がいかんなく発揮されている今、野球とスケベ経験以外で俺がこの男に勝る所など実の所一つもない。つまり最大のピンチ到来である。

目下の花井は相変わらず丹念に俺の身体に隈なく愛撫を施している。悔しいことにこれがまた気持ちよい。必死なっている花井の姿は可愛くも思えた。ギラギラしている花井に怖気づきどんな様子か落ち着いてみることも出来なかったが冷静になってみればそんな風にも見えた。

一生懸命の花井を見て、また胸がいっぱいになって締め付けられるような感覚を覚えた。

態勢はやばいことになっているとはいえ、花井からこんなにも求められているという事実に改めて気付き、俺は言いようのない感動を覚えた。いつも誘い、仕掛けるのは俺の方からばかりで、なんだかんだで応じてくれるも恥ずかしさからかそっけない態度しか取られたことがなかったので、この状況は美味しいと言えばこの上なく美味しい状況だった。

競うべきチームメイトとして共に有り、そして感情をぶつけるかの如く身体を繋げることが出来ただけでも幸せだった。けれど、どこか満たされていなかった自分に気付かされた瞬間でもあった。

花井が俺を欲しいと思っていること。そんな感情がこんなむき出しになって向けられる日が来るなんて思ってもみなかった。いや、いつかそうなったら嬉しいと想像だけで楽しんでいたが、こんな突拍子もない形で訪れるなんて夢にも思っていなかった。

ことの発端は明が現れたことにある。
まさか花井と同じ姿形をした人間が恋のキューピッドとなろうとは、人生とは何が起こるか分からない。それが本人の意図したことかどうかはまた別として…である。恐らく本人の全く望んでない展開が繰り広げられているのは間違いない。家に置いてきて正解だ。

こんな現場を目撃されたら、きっとコンクリ漬けにされて広大な太平洋へと沈められてしまうだろう。

珍しく頭に膨大な想いを駆け巡らせていると、再び余裕のない花井の顔が近くに寄ってきた。興奮しているのか、花井の瞳は潤んでいた。うっすら汗ばむ肌は男にしてはツヤツヤしている。屋外競技でそれなりに日には焼けているが、花井の地の肌は整って美しい。
肌だけでなく、どのパーツも歪みない輪郭の中にすっきりと納まって涼しげな美形だ。

大好きだが男のコンプレックスをこれでもかと刺激する顔立ちでもある。そんな美しい顔立ちの男がキスを迫ってくるのだ。どうして拒むことが出来るのか。愛しさで頭が馬鹿になる。

もう、まじで花井にヤラれちゃうのかもなぁ……。


花井からの熱烈な口づけにより溢れる愛しさやらなんやらで元々馬鹿だった俺の頭は更に馬鹿になり、そろそろと何かを諦めかけていた。しかしその時、俺は花井の下半身に違和感を覚えた。

「…花井、さっきからしてばっかりでつまらなくない?」
「いーや、充分楽しい」
「そ?まあそれはそれで嬉しいんだけどさ。花井のソレ、ツラいんじゃないかなって思って」

言って、俺は唯一自由の利く左手を花井の昂り固くなった中心持っていく。しかし、手が到達する前に身体を捩ってはねのけられてしまった。そのまま無視を貫き再び行為に没頭し始めた。

なんだかんだでウブな所のある花井は昂っている時の自分の慰め方を知らない。と、いうより羞恥心が邪魔をして自分でどうこうすることに頭が至らなかったのだろう。
愛撫に夢中になって自分が興奮していることにも気付かない。あまりのいやらしさに眩暈がした。

今なら興奮に任して襲い返してどろどろに相手を食らいつくせるような、そんな力が湧いてくる。

そんなムラムラした状態を持て余していると、再び花井の顔が自分の首筋に近づいて来た。それをチャンスとばかりに、花井の弱点、耳たぶに唇を這わせた。
ふっと息を詰まらせた瞬間を俺は見逃さなかった。
ぶるりと身体を震わせ動きが停止した一瞬を逃さず、俺は花井の上に覆い被さった。

「てんめっ、卑怯…っ!」
「卑怯者で結構だよ。ハンディあるんだから仕方ねーじゃん」
「な〜にがハンデだっ!!今日は俺がするってっ」
「だめ、限界。花井がエロ過ぎて俺もう待てない」
「じゃあ俺がすぐするからお前は寝とけっ!!」

なんとも雄々しい攻防が廃墟と化した工場内に木霊した。もしくはボロいだけで廃墟でもなくちゃんと営業中の工場かもしれない可能性は頭から消えていたが。

常にない状況で頭が混乱気味のため、このイヤらしい状況が公共の場で繰り広げられているという認識は既に俺たちの頭の中になかった。通りがかった主婦やら散歩中のご老人なんかにでも見つかったらどうするのか。あまりに非常識なその状況を見て見ぬふりをしてやり過ごす人間が大半だろうが衝撃は凄まじいものとなるに違いない。もしくは衝撃に耐えきれず遠く離れた交番に逃げ込むかもしれない。そんな平常時の不安も疑問も頭の中から消え去っている。

ただ互いが互いを欲しすぎておかしくなっていた。

相手の身体の感じるポイントをどれだけ知っているか。普段勉学やら知性やらで勝てる相手ではないが、こと実技と連動したこの情報量だけは負ける気がしない。
相手に求められる心地よさに大人しくなっていた俺だったが、ついにもとから乏しい理性ははじけ飛んで消えた。

「ちょっ、田島っ!!!」

動物も呆れ返るほど性急に、俺は花井の昂った中心に舌を這わせた。
途端に、花井の抵抗は弱々しい物になる。先ほどまでとは違った、甘い吐息を吐き出している。それに気を良くしながら、花井の先走りや自分の唾液が混ざり合ったものを力の抜けた後ろの穴に塗り込める。昨晩交わったばかりのため、さほど時間を掛けずに柔らかくほぐれいった。

「俺が、するって、言ってんのに…っ!」

言葉で強がっていても、声音にはすでに敗北の二文字が滲んでいて、それが更に欲を煽った。喧嘩や行き違いの後のセックスほど燃え上がるものはない。

すぐさま花井の中に入っていきたかったが、それでは相手を傷つけてしまうことは数えきれない程交わった経験上知っていた。いつになく燃え上がったこの状況が、痛みで盛り下がることは避けたい。自分だけが気持ち良くても何の意味もないからだ。花井が感じて乱れた時の方が、自分も一番気持ちいいと分かっていた。

前立腺をさすり、入口の淵をなぞる。
喘ぐ花井からは先ほどまで感じた雄々しい余裕は消えていた。



花井に入りたい。
気が強くて生真面目で、繊細で鈍感なこの男の早く溺れたかった。

「ね、花井、好き。大好き。愛してる」
「何だ、急に…」
「今まで言えなくて、辛くて、でもこれからはいっぱい言えるな」
「……安っぽいな」

こんなに蕩けていても花井の照れ隠しはなくならない。
それでも、いつも喉の奥で押しとどめていた愛の言葉を好きなだけ吐き出せる解放感に俺の胸はいっぱいになる。

「安くていいよ。だから、いっぱい言わせて」

何回でもいうよ。愛に値段は付けられない。
伝えられるこの喜び自体が、まさにプライスレスだ。


この上ない至福に包まれ、俺は再び行為に没頭し始める。
甘い花井の呻きが、工場の外を通る車の排気音で掻き消された。








好奇心と向上心は愛の名を呼ぶ(タジハナ)



注意※フローリングという名の学パロ。ぼかした感じでハナタジ描写ありの後半R18タジハナです。精神的描写はタジハナそのものですが苦手な方、許せない方はブラウザバック願います。











「逆でやってみる?」










何でもないことのように言い放つ田島を

一度だけ、抱いた。




―怖くて出来ない?可愛いね、花井―


不敵な笑みを浮かべ挑発的に誘う田島は、俺が相当な負けず嫌いであることを十二分に理解していた。
意図的な挑発で頭に血を登らせていなければ、勢いで田島を組み伏すことなんて出来るわけがなかった。



自分より少しだけ小柄な男を抱きしめ、俺は情けない程震えた。
怒りと、未知なる好奇心で。







【好奇心と向上心は愛の名を呼ぶ】











「はーないっ」

部活もバイトもなく、何の予定を詰め込まずに贅沢に過ごすつもりでアパートの自室に籠っていると、アポなしで田島が訪れた。今日は自分の為だけにだらだらと過ごすのだと決めていた俺は、緊急以外のメールや電話を一切無視し続けていた。もちろん今部屋の前にいる男の連絡も、だ。
それを快く思わなかったのであろう男は、今日も相手の都合など華麗に無視して我が城、ハイツ志賀203号室へと強行軍で押し入ってきた。相変わらず本能赴くままの男に半ば諦めを覚える。


大学という狭い生活圏内で俺の本日の予定というのは割と容易く把握出来てしまうのが現状だ。部活は元よりバイトのシフトですら同じ職場の人間が口を割ってしまえば特別な予定などないに等しい男の所在など瞬く間に知れてしまう。恨むべくは自分の型にハマりつつある生活パターンともいえるだろう。

追い返す理由もないので、仕方なく連絡を無視し続けたことには触れずに部屋の中に通す。客人には麦茶の一杯でも出すのが俺の流儀だが、この男は放っておいても自分で自分の喉の渇きを潤すことは出来る。つまりは俺の部屋を勝手に漁って腹を満たす、非常に無礼な男なのだ。そんな礼儀知らずに自分の流儀を通すもくそもない。暇つぶしにここに来たことなど端から目に見えていたので、特別に構うこともせず、俺は自分のベッドに戻り再びぐだぐだしはじめた。

そして田島も田島で勝手にゲームを出して遊び始めた。いつもと変わらない光景を横目に、寝転がっていると、窓から差し込む穏やかな日差しの心地よさに睡魔が襲ってきた。

田島が居ようが関係ない。今日は自分自身の為に時間を過ごすのだと決意を固めていた俺は客人そっちのけで微睡の世界へと足を踏み入れかけた。

あともう少し、意識を手放しかけたその時、瞼に柔らかく暖かい何かが触れた。

その正体がなんなのか、一瞬にして脳が覚醒した俺にはすぐに理解出来た。遊びに来たにも拘わらず結局ほったらかされた男がいたずらを仕掛けてきたのだ。瞼に吸い付き、舐めたり息を吹きかけたりして全く離れていかない。

しかしここで驚いて目を開けてしまえば、結局男の思うツボだ。俺は断固として狸寝入りを決め込んだ。



「花井〜、はーなーいーっ」
「暇だよ〜、目え覚ませ」







「……襲っちゃうよ?」



暇だ起きろと散々喚めいた揚句、恐ろしい言葉をサラリと吐いてしまう程度にはこの男はスケベである。
そんな脅しに驚き飛び起きてしまうほど、俺の心臓はヤワじゃない。逆を言えばその程度の脅しにすら免疫がついてしまったのだが。恐ろしい。

ギャグだと笑い飛ばせるほど穏やかな関係でもないのが更に恐ろしい。


はてさてこのまま眠るチームメイトを気にせず襲う男となるかどうか、5分5分…いや6分4分……、いや、3分7分くらいの信用を胸に、大学きっての四番打者の行動の行く末を伺った。

しかし3分の信用も吹っ飛ぶ手早さで、田島は真っ先に俺の口内に侵入してきた。


「んんん〜〜〜っ!!!」


窒息死の3文字が頭を過った頃、ようやく田島は口の中を這いずっていた舌を抜いた。


「狸寝入りが下手くそ、花井」
「てんめー…最初から知ってたのかよ」
「ん?寝てても襲ったよ?」
「最低だな、ろくでなし」
「今更じゃん。な、しようよ」
「俺、眠いんだけど」
「ここ、固くなってるから大丈夫っしょ」


股の間に手を伸ばし田島が嬉しそうにさすってくる。自分の分身の健全さに半ば嫌気がさしながら、変わらず卑猥な動きをして見せている田島の手の甲をつねった。


「いってっ!!」


痛そうに顔を歪める田島の顔が、いつかの田島の表情とダブる。
初めて田島を抱いた日、苦痛に顔を歪めているときの表情と酷似しているような気がした。

どしたの、花井?
ひどく驚いた俺を心配したのか、馬乗りになっている田島が上からのぞき込んでくる。
だからなんだとも答えられずいると、不思議そうにしながらも首筋に鼻を埋めてきた。




あー…、今日は俺がやられるんだ。



一度だけ逆転した立場はあの日だけ。
その後ポジションの変更は行われず、田島は相変わらず気まぐれに俺の身体を求め続けた。あの時、田島が何を思ったかは分からない。割合長い時間をこの男と過ごしてきているはずだが、単純に見えて複雑な心理は未だに捉えることが出来ずにいる。




しかし、あのコトを境に変わったことが色々とあった。


「な、これ、気持ちいいっしょ?」


行為中、不敵な笑みを浮かべ自信満々に不埒なことを聞いてくる。そしてそれはこの失礼な男の思い違いでは決してなく、深く果てしない心地よさを俺に与えてきた。以前までの行為では感じることなかったような快感の波に襲われ、逆に恐怖を感じることすらあった。
声を我慢するのもツラいような感覚に、ただただ身悶えるしか出来ない自分は、惨めだ。

深く、抉るように前立腺を責められ、震える。
以前から弱い部分を、更に執拗に攻められているようで快感飛び越えて苦痛にも感じられた。堪らず、俺は自分の中にいる田島を思い切り締め付けた。

くっ、と、田島も辛そうに息を吐き出した。ザマぁみろ。
心の中で悪態付いていると、男は苦しそうにしながらもイヤらしい笑みを浮かべた。


「花井もさ、なんだかんだでエロくなっちゃったよね」
「は?」
「逆になってやってから、俺がどうすると気持ちイイかとか、分かったっしょ」


前より、意地悪くて気持ちイイことしてくれるようになった。
悪い笑みを浮かべる男は、日頃太陽の下で無邪気に白球を追い掛ける男の顔とはまるで別物で背筋が冷える。

それはお互い様だろうと、俺は思った。前より深くて残酷なほど強い快感で責め立てるようなったのは田島の方じゃないのか。たった一回身体を開いたからと言って、あんなにも身体のツボを理解してしまうものなのだろうか。

そんなはずがない。決して平坦ではない男を受け入れるという辛く険しいけもの道を俺自身が歩み、それを自ら証明しているのだから間違いない。それとも、田島は受け入れることに関しても天才だとかいうのだろうか。もしもそうだと言うのなら、俺はむせび泣くしかあるまい。俺の歩んだ道の後には冗談じゃなく血と涙の後が点々と残っているのだから。
最初から快感を得られるなら楽に越したことはない。

しかし、仮に田島が最初から楽しめたのだとしたなら、それは男としてのアイディンティティの崩壊に等しいのではないのだろうか。もしそうであるのなら俺は嬉々として再びポジション変更を申し立てることが出来るのだが、残念ながらこの雄々しい男から今の所抱かれたいとかそういった誘惑めいたものを感じたこともない。そんな欲求が欠片でもそんなあるのならこの男のことだ、誘う云々をすっ飛ばし馬乗りになって逆に俺から何もかも搾り取っていくに違いない。


ますますあの日の田島の行動が分からなかった。
この男は、あの時何のために自分に身体を開いたのか。


「花井、集中」


悶々と思考に耽っていると、快感という名の武器を持って田島が執拗に攻めてくる。
何よりも田島を思っている最中、気が逸れていると思われていたようで、心外だ。


「っは、お前、…何であの日、俺に…」


息が切れ切れになって、伝えたいことがうまく口に出来ない。そもそも口にしていいのかもよく分からない。全てうやむやにして闇に葬った方が心穏やかになることだって世の中には五万と存在する。それでも知りたいことを我慢するのはよくないことだ。

「ん?何でこの間逆でヤッたかってこと?」

相変わらず何でもないことのように田島は言い放つ。本当に好奇心だけで境界線とも言えるべきものを飛び越えたのか。向こう見ずにもほどがある。


「分からないの?花井」


さも不思議げに問い返された。質問の答えになっていない。
的を得ないやり取りに苛立っていると、俺自身を貫いている男は堂々言い放った。


「花井がどんな風に感じてるのか、知りたかったんだよ」
「……は?」
「は?じゃないでしょ。身体の相性って超ジューヨウなんだぜっ!!知らないの??」
「い、イヤ、問題はそこじゃなくて」
「ゲンミツに問題だよっ。男同士はコツ知らないと全然気持ちくないって聞いて、俺、悩んだんだからな」

聞いたってどーせ花井は答えてくんねーしっ。なら、実際体験して勉強するしかないじゃん。



あんまりにケロリと言い放つので、拍子抜けしてしまう。


「ち、ちなみにそれって、気持ち良かった……ワケ?」
「ん?ツッコまれるのは痛かったよ。初めてで気持ちいいわけねーって実感しちゃったよね」
「で、デスヨネー」


内心ほっとしている自分がいた。


「でも、新鮮で面白かったな。花井が」
「お、俺!?どーせヘッタくそだったってんだろっ」
「誰もんなこと言ってねーじゃん。すっげぇ気ぃ遣ってくれてるの分かったし、丁寧だし優しかった」


自身の行いの評価を、今まさに自分の中にいる男の口から聞かされているこの状態は滑稽で、気恥ずかしくどうにかなりそうだ。


「してる時、ずっと花井のコト見てた。どうすればお前が気持ちいくなってくれるのかなって考えて、で、思ったんだ。花井がしてくれることすればお前が喜んでくれるんじゃないかなって。俺のこと気持ちよくしようって花井がしてくれたことって、花井いつもされたら気持ちいいて思うってことだろ。そしたらさ、わかっちゃったんだよね、いつもどうすれば花井がヨロコぶのか」


ね、入口のここ、この間こうしてくれたけど、俺痛くて分からなかったんだよね。花井、こうされると気持ちイイ?






これは、一体なんのプレイなのか。
自分が施した行為がこんな羞恥と快感の入り混じったものになって自らに却ってくるなどと、誰が想像するだろう。ただ、田島を傷つけないように、初めての行為での思い出が辛かっただけにならないように必死になっていたので内容はあまり良く覚えていない。しかし、その行いがイコール自分自身のヨロコびとやらに直結しているとは盲点だった。さすが田島といったところか。野球以外にもそのズバ抜けた観察力が活かされているとは末恐ろしい。


「たかがセックスに自分の身体差し出すなんて、お前、本当馬鹿」
「馬鹿じゃねーよ。大事なことだろ。これでお前がもっと楽しめるなら安いモンだ」
「…それは、安売りしていいもんじゃねーぞ」
「ね、花井、本当にいい加減集中しろよ」


なんだかんだと意識が飛び飛びの俺に苛だった田島は、噛みつくように、口内を貪っていく。何度でも俺自身を貫いてこれでもかと全てを食らいつくしているというのに、まだ足りないかのように。

俺を抱く行為、俺自身に与える快感の方が、自分の身体を開かされる事実より重い価値を持っているとでも考えているのだろうか。性への関心は人一倍強い男だと思っていたが、ここまでくるといっそ狂気に近いような気がする。本当の意味で恐ろしく、だが少しだけ愛しさも感じた。


「狂ってる……」

田島も、俺も、正常も、異端も、どこからか境界が分からなくなっている。その結果がこれか。愛情も、恐怖も、友情も、何をなんと呼べばいいものか。

ただ、目の前の男の欲、それだけは確かに感じた。なんとも分かりやすく心地いい。







「花井が良ければそれでいんだよ。それだけで、おつりが返ってくる」



食らわれてるのは俺の方なのに、そんな即物的な足し引きじゃ表せない何かが確かに存在していた。

この与えることを惜しまない男に、自分は何を返せるのだろうか。






たった一言、


きっと口に出して伝えることは出来ないのだろう言葉が、


一瞬だけ頭に過って、消えた。








END...









もっとほんわか終わらせるつもりがなぜこんな感じになったのか。
学生パロは好きだ惚れたを言葉にすることをためらう微妙な駆け引き感が好きです。自分設定なのでその辺のこだわりをころころ出来て楽しい。片方のパロでは口にしちゃったり片方では内に秘めたままにゃんにゃんしたりまさにオレ得以外なにものでもないです(笑
)

リバなんていう珍味を最後まで閲覧いただきましてありがとうございました。

キレイな涙の流し方A(拍手ログ)







引退後、特に田島と話を交わすこともなく、あの時の宿舎でのやり取りは過去のものとなりかけていた。

田島はプロ入りが確定し、部を挙げての盛大な送別会が行われた。賑やかなで膨大な人数で執り行われた会でもついに田島とは一度も会話を交わすことなく終わった。野球推薦で大学を決めた俺は、引退後も頻繁に部活に足を運び、自らのトレーニングも精力的に行った。田島も、今からプロでやっていくための身体づくりにと現役以上に体力づくりに打ち込んでいた。引退前より顔を合わせる頻度は多少減ったにしろ、週のうちに何回かは田島と同じ空間で野球に携わっていた。それでも込み入った話をすることもなく、なにもかもを忘れたかのようにくだらないやり取りだけを繰り返していた。





1月上旬。学校が自由登校になると田島は入団チームの寮に引っ越し、本格的にプロ入りの準備を始めた。メールのやり取りを交わすような仲でもないので、情報は随時三橋や泉から流れて来た。田島のいないトレーニング室に、俺は毎日通った。



特段に親しい間柄でもなかった田島。だが、俺の中で一方的に特別な人間だった。

そんな人間がいなくなると、こんなにも空しいものなのかと項垂れた。



後輩たちはグラウンドで練習中の為、トレーニング室は俺一人だけだった。

ふと、あの夏の宿舎での夜のことを思い出した。





(ねえ、花井気付いてる?今まで見てきた中で、今の顔が一番悔しくて、苦しそう)



田島の言葉を

田島の表情を



俺は繰り返し何度でも思い出した。

あの時田島は、なんであんな話を俺にしてきたのだろう。

今更、そんなことを考えた。

田島がいるうちに聞けばいいことばかり、誰もいないトレーニング室で悶々と思い巡らせていた。











卒業式が終わると、野球部三年生はクラスでの別れを惜しみながら慣れ親しんだグラウンドに集まり始めた。その中には、入団後久しぶりに見る田島の姿もあった。

監督、マネージャーも合わせて全員が集まり、後輩等から卒業生へ花が手向けられる。

皆、感極まって泣いていた。

けれど、やはり俺は泣けずにいた。



「ほら泣くな、現キャプテン。これからもしっかりやれよ」



こんな時ですら、後輩の世話を焼きながら笑顔を浮かべることしか出来ない俺は、一体何様なのだろう。自分の感情の薄さに辟易しながら、それでも後輩等に感謝の念が湧かないわけではない。しばらくは自分を慕ってくれている後輩等一人ひとりにねぎらいの言葉をかけ、部活開始時間ぎりぎりまで俺たちはグラウンドにたむろっていた。



グラウンドに集合の後、三年生だけで三橋の家に集まることになっていた。俺は部室に置いてあった荷物を取り行くため、阿部や水谷とは別の道を歩いた。

あらかじめ後輩に頼んでおいたため、鍵を開ける手間もかけずに扉を開けた。





誰もいないと思っていた部室。





そこには、良く知っている男の背中があった。





男が、振り返る。



「花井」



少し見ない間にまた少し逞しくなった田島の姿があった。



ついさっきまで他の後輩とじゃれていたので、こちらに来ているとは思っていなかったので驚いた。



「何、なんかお前も忘れもん?」

「違うよ、花井を待ってたの」

「へ……」

「こっち、来るかと思って待ってた。」



屈託なく笑う男の意図が掴めず、俺は一瞬身構える。



「俺になんか用?」

「おー」

「なんなんだよ」

「ん、最後にお前の顔見ておきたいって思ったからさ」



何を今生の別れのようなことを言い出すのかと考え、しかしながら実際そう大差のない未来を歩むことを思い出し、納得した。



「何で俺の顔なんか見ておきたかったんだか。分からん奴だ。ま、この先いつ会えるかわかんねーしな」

「ライバルの顔、忘れねーよーに」



ライバル。

田島の口から洩れた言葉が誰を指しているのか、俺は一瞬分からなかった。



「誰が」

「花井」

「俺が?」

「そーだよ。お前以外に誰がいんの」



相変わらずおつむが温かいね、花井は。半ば呆れた声を出され、少し頭に来た。



「だってお前、んなこと俺に一度も言ってねーじゃん!」

「はあ?誰が面と向かってお前はライバルとかいうと思う!?花井ジャンプとか読み過ぎでしょ」



げたげたと笑う男の発言はごもっともで、俺は恥ずかしさに身悶える。

悔しさになにも言い返せずにいると、笑いが収まってきた田島が答える。



「ライバルだよ。花井は、俺の」

「何言ってんだよ、プロ野球選手が。俺なんか手の届かないような奴が、この先五万といるだろうよ」

「うん、そうだね。けど、この先もおまえのことずっと思い出すと思う、俺は。」



ツキン…。

今まで経験したことのような痛みが、鼻の粘膜を襲う。



田島は先ほどの幼い笑みを影に潜め、正面から俺を射抜いた。その視線に、俺はあの夏の既視感を覚えた。



「球団のグラウンド、すげー奴ばっかりでわくわくするんだ。でもさ、なんか足りないなって思ったら、お前の視線がないって、気付いた。」



ズクズクと、粘膜の刺激は強まる一方だ。



「お前のねちっこい視線、もう俺の中ではあって当然のモンだったんだな〜って気付いたら、無性に花井の顔が見たくてたまらなくなった」



もう俺はどこに視線を向けてよいのか分からない。俯いて聞いていても、田島は話し続ける。



「メールも電話も皆くれたのにさ、花井だけだよ、なんもくれなかったの」

「泉や三橋が教えてくれたし、それに全員に返すの面倒だろ」

「会いたい奴からの連絡面倒に思う奴がどこにいるっていうんだよ、花井のあほ」

「あほってオマエな…」

「いっつもそーだよ。お前くだらない所でばっかり気い使ってさ、何様なんだよ」

「何様って、そんなんじゃねーよ」

「……、ま、俺のことキライでそうだったんならそれまでだけどさ」



あの時も今も、なんで田島を目の前にするとこんなにも脆く、弱くなってしまうのだろう。

一言一言返すたびに、田島に対する強い感情が零れだしそうになる。いつも冷静に処理されるだけだった感情が制御出来ずに、俺は思わず叫んでいた。



「キライなんかじゃ、ねーよ!!」



勇気を出して顔を上げると、いきなりでかい声を出されて田島はびくりと震えた。



「キライだったら、テメーの話なんて聞かずに引き返してるつーんだよ」

「花井」

「言いたいことは、それだけかよ、チビ!!」

「もう俺チビじゃねーぞ!!176cmあんだぞ!!」

「それがどーしたよ!!俺なんか183だぞ」

「入学してから、3pしか伸びてねーじゃん」

「うっせー!!」



他愛ない口げんかすら愛おしい。

叫び続けていないと、俺は、もう、壊れそうだった。



「お前なんて、もうどこにでも行っちまえ、馬鹿!!」

「バカだもん!!でもまだ行かねーよ!!」

「行けよ…頼むから…、俺のことなんか構わないで行ってくれ」



涙腺が緩む瞬間を、俺はリアルに感じた。



「俺なんかの、……手の届かないところに行っちまえ。」

「花井…」

「そうすりゃ、未練がましくお前のこと考えなくてすむんだ」

「泣いてるの?」



頬に温かいものが伝う。

その滴の感触を俺は久方ぶりに感じた。





「お前と、二度と同じ場所で野球出来ないんだ」

「……うん」

「二度と、お前の背中を追うことなんて出来ない」

「……うん」

「どうすりゃいいんだっ、…俺は、今でもお前と同じ場所に立っていたい……!!」





感情が、あとからあとから込み上げる。どうしようもない現実を否定する言葉しか口から零れない。冷静を装って隠し続けた激情と涙は、こんなにも稚拙だった。





しゃくり上げて俺はわんわんと泣いた。泣き顔を見られたくなくて、気が付けば膝を抱えて座り込んでいた。田島は何も言わない。ただ、何年ぶりかに声を上げて泣く俺の手をずっと握り続けた。緊張をほぐすときのアクションを何でこんな時にするのかと、そんなことすら冷静に捉えられないほどに俺は悲しみでいっぱいになっていた。もうすぐ遠くへ行ってしまう男の手は温かい。ああ、リラックスしてるんだなあ。間の抜けたことを考えられるようになる頃、ぐずりもようやく収まった。





「すげー…、花井の泣き顔見たの、俺、はじめて」

「うっせーな。ガキの頃以来誰にも見せてねーっつーの」





照れ隠しに握っていた手を無理やり振り払い、俺は窓の外に視線を逸らす。

グラウンドからは、後輩らの掛け声が聞こえてくる。結構な時間が過ぎていた。

少し間を置き、田島は何かの決意を固めたかのように慎重に口を開いた。



「ね、花井。またいつか同じグラウンドで野球しようよ」

「草野球とかか?ごめんだな。おれそういうお遊びはやらねーから」

「お遊びじゃねーよ。ホンキのヤキュウ。」

「え……」



思わず田島の方を向く。真剣な眼差しに射抜かれた。



「花井だって本気の野球しに大学行くんだろ。なら…そっからまた追っかけてよ。」



俺を。

口に出さずとも、視線でそれを物語る。

この男は、そんな夢のような話が俺に可能かどうか考えて物事を口にしているのだろうか。

疑がわしいが、恐らく何も考えていないのだろうという結論に達する。ようは、この男の願いなのだ。俺の可能性や実現性は二の次で、ひたすらに夢を追う男の自分勝手な欲望をそのまま口にしただけの話だ。



だが…、



「お前、正気……?」

「あったりめーじゃん。俺は出来ねーこと口にするほど馬鹿じゃねーよ」



甲子園いこーぜ!!

三年前、その場所に居た大半の人間が不可能だと考えていた夢を叶えた立役者となった男の言葉を思いだす。

そんな人間の言う言葉は、フシギな力があるのだろうか。

最初は到底無理だとしか思えなかったものが、時間が経つにつれ可能になってくる気がするのだ。



頷くだけの勇気がない自分を許して欲しいと、俺は思った。

けれど、何かを納得したように、田島はまた笑みを浮かべた。





俺の胸中を、勝手に解釈してくれたのなら幸いだ。

























「花井の泣き顔、結構可愛いのな」



馬鹿な男は、相も変わらず空気を読まない。

くだらないボヤきを無視して、俺はぐちゃぐちゃだった顔の滴をタオルで拭う。





「こんな風に泣いてるとこ、もっと早く見ることが出来たら、もっとずっと早くお前に近づくことが出来たかもしれないのにな」





男が小さく呟く。



忘れかけていた涙の所在が、田島にあったのだと今更になって俺は気付いた。



そんなことを知ったところで俺にお得なことなど何一つないのに。







「男が可愛いなんて、重症だな」













俺は今もなお、悪態しか付けずにいる。





















::END::
















prev next
フリーページリスト
カレンダー
<< 2024年04月 >>
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30