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キョンデレたい。




「なぁツンデレっていいよな。」

突然谷口がパック状の飲み物を飲みながらわけわからん事を言い出した。

なんだよツンデレって。

「ツンデレは普段つんつんしてるのにたまにデレる人だよキョンくん。」

にこにこと笑顔で国木田が救いの手をいれる。

メガネ属性に似た萌え用語か。

「ふーん?なんでそのツンデレがいいんだ谷口」

「馬鹿かキョン!ギャップだよギャップ。いっつも冷たいくせにこう甘えられるとキュンとくるわけよ。」
はぁ。まぁイマイチ良さもわからないから放っとくか。

そう思っていちご牛乳に手を伸ばし飲んだ瞬間、国木田に小さく「彼も好きなんじゃない?キョンデレ」とか囁かれ危うく吹くところだった。

「な、な、な…なに言って…!」

「は?なんだよキョン?」
うるさい谷口黙れ!
どうして国木田にばれてるんだ!?誰にも言ってないのに!

内心の動揺を口に出さないでいるのが精一杯で顔を真っ青にし、国木田を見つめたが、国木田は笑顔で何もなかったかのように谷口と話し始めている。

…恐るべし国木田。

笑顔のやつはだから怖いんだよ!

国木田を問い詰めて聞きたかったが、ちょうどチャイムが鳴ってしまった。












今は恒例の団員一斉下校。

俺は部活中も国木田の言葉を思い出してしまって皆とろくに会話もできなかった。

別に古泉の馬鹿がツンデレとかいうのを好きだろうが関係ないが。

ただ気になるだけで…って気にするなよ俺!

悶々としていると突然古泉に肩を掴まれた。

「今日うちに寄ってください。」

と、突然なんだ!?
…まぁハルヒのことだろう。

「あぁ」
顔も見ずにぶっきらぼうに答えるとタイミングよく

「解散!」

ハルヒが先頭で宣言し、みなバラバラに散っていく。

俺も曲がり角まで進み、身を潜め充分時間を見てからまた先程解散した場所に戻る…と古泉が笑顔で待っている。

あぁ、一々ときめくな俺。








「どうぞ。何もないですが…。」

綺麗さっぱりと片付いて相変わらずシンプルなこの部屋は古泉の見かけ通りでなんだかつまらん。

ふと玄関に置かれている香水に手をかけプシュと吹き掛けるといつものコイツの匂いが広がり、少しキュンとして…って乙女か!

「…何してるんですか?」
おかしそうに古泉がクスクス笑いスリッパを出してくれた。

「あぁすまんな。」

リビングにつくなり鞄を投げ出し、先程の国木田の言葉を思い出す。

ツンデレか。つんつんしてデレればいいんだろ?簡単じゃないか。今は二人きりだし多少変な態度を取っても…まぁいいだろ。

「コーヒーでよろしかったですか?」
古泉がいつのまにかいれてきてくれたらしい。
お礼を言いかけたが、はっと我に返り
「…よろしくない。」
小さく否定してみた。

「…すみません、紅茶ならいれなおせますが…」

少し眉を下げ困ったように笑う古泉に胸がつきりと痛くなるが、仕方ない。お前のためなんだからな。(?)

「ふん。いれちまったもんは仕方ないだろ。」
できるだけ顔を見ないように告げそのまま白いカップに口付ける。

「あ。お菓子ありますよ?」

「いらん」

「そういえばDVD借りてきたんです。」

「見たくない」

「…じゃあゲームします?」

「お前弱いから嫌だ。」

「…散歩とか」

「…。」




…しまった。いつデレを出せばいいんだ?

必死な古泉が面白くてついつんつんばっかしてしまいデレるタイミングを逃してしまった。

そっと古泉を見るとソファーで足を組み小さくため息をついている。

あれ…。

こんな表情の古泉見たことがなくて、しかしつんつんしすぎて今更どうすればいいかわからない。

ど、どうしよう?

「…古泉?」

「……。」

あぁ!無視!古泉が!!

そろそろとソファーに近づき古泉の隣に腰掛けが全く無視。

「こいずみ…。」

「…はぁ。どうしたんですか貴方は。」

少しいらついた態度でわざとらしく息をつかれる。

―ああ俺ってやつは。

古泉の好きなタイプになるどころか機嫌損ねるしかできないのか。

自分が情けなくて愚かに思える。
視界がぼやけて慌てて視線を落とすと、熱い滴が頬を濡らす。


ああぁあなんだこれ。


「…帰る。」

泣き顔は絶対見せられない。
つうかなんで泣いてるのか自分でもわからない。
ただ自分が愚かなんだ、と強く思った。


「…キョンくん」

弱く俺を呼び、腕を掴む古泉は俺が泣いているのに気付いて慌てて抱きしめた。

「すみません。僕がいけなかったんです。泣かないでください…」


「うるさい黙れ泣いてない…」


ぎゅうと古泉に抱き着きながら鼻水を擦りつけてやった。


くそう。馬鹿の谷口がツンデレとか言うからいけないんだ。


「あは、かわいいです。」
優しく頭を撫でられ、顔が真っ赤になる。忌ま忌ましい。


「…なんで機嫌悪かったんですか?」

抱きしめられ身動きとれない状態で囁くように尋ねられる。うぅ…言いたくない。

「キョンくん」


「…ツンデレやってみようと思って…」

「それはまたどうしてでしょう」

苦笑まじりに古泉がはにかむ笑顔を見せる。…あぁこの笑顔好きだ。

「古泉が好きかもしれないから…」
今思えばなんであんな口車にのってしまったんだろう。


「…あぁツンデレだったんですね。てっきり機嫌損ねてしまったのかと思って真剣に悩んでしまいました。」

だからさっき無視されたのか。

「…じゃあこれからデレですよね?あっとりあえずベット行きましょうね?」

ちょっと待て。
一億万歩譲ってデレタイムでも場所は移動する必要がないだろう。

「…ごめんなさい。もっと泣かせたくなっちゃいました。」

満面の笑みでお姫様抱きをされる。…逃げるのは困難みたいだ。

「…優しくしろよな」

精一杯のデレとやらを見せてやったつもりだが…こいつには効き過ぎたみたいだった。





翌日重くてだるい腰をさすりながらツンデレは懲り懲りだと胸に教訓を刻んだ。




……………………………


リクエストいただきました!!
ツンデレ目指して誤解されるキョンは……何度書き直しても上手くいかずオトメンに逃げました←殴

大変お待たせしてすみません!でも楽しかったですw

アルコール*






風呂から上がると耳障りな金属音がドアから聞こえてきた。

閉鎖空間を鎮圧するのに少し時間がかかった為、今は恐らく日付が変わり深夜と呼べる時間帯だろう。

「…酔っ払いが部屋を間違えたんですかね。」

以前変なおじさんがガチャガチャと扉を叩いていたことがあったため余り恐怖といったものは感じなかった。


そろそろと覗き穴から確認しようとすると、でっかい目が映っていた。

「うわぁ?!あぁ!?」

今度こそ驚いて変な声をだしてしまった…。
むこうも覗いているなんて思わなかった…見えるはずないのに。

「おーい…いるんだろー?いーれーてー」

…ん??

聞き覚えがある声が聞こえる。

「こーいーずみぃいぃつきぃー」

ちょこんな時間に人の名前を!!
焦って瞬間的に鍵をあけ扉を開く。

ガツ

「いっっっ…!」

「…あ。」

開けると頭を抑えながらうずくまる…神の唯一の鍵である彼がいた。

「だ、大丈夫ですか!?ああっ頭打ちました?!すみませんとりあえず入ってください。」
彼の腰を抱きながらそっと室内に招き入れる。

とりあえず彼をソファーに座らせると、アルコールの臭いが鼻につく。

飲んでたのか。

高校生だしまぁ飲むなとは言わないが…。

よく見ると顔は真っ赤で目も据わっている。

「…酔ってます?大丈夫ですか?今みず持ってきますね」


コップに水を注ぎながら何故このような経緯になったのか推測してみるが…よくわからない。
彼は自ら進んで法を破り、社会に反抗して勇んだりするタイプには思えないからだ。


疑問を胸に、水を片手に戻ると彼は隠し持っていたらしいビールの缶とおつまみを散らかしながらまだ飲んでいた。

「…ちょ、何してるんですか?」
驚いて慌てて空いている左手で彼のビールを持つ手を掴む。

「…あー。こいずみ遅いらないかあ。」

もはや呂律もまわっていない。
こんなベロベロになるまで飲むなんて、彼らしくない行いに少し戸惑いが隠せない。

「どうしたんです?お一人で飲んでたんですか?」

「……谷口とかと飲んでたんだ。」

彼に水を渡しながら問うとなんだかばつの悪そうな顔で答えられた。

あの悪友たちか…ああ。そうか。だからこんなにベロベロなのか。

ムカムカする。
こんなベロベロな状態を他人なんかに晒すなんて。


なぜ僕を尋ねて来てくれたのかはよくわからないが、とりあえず彼はもう寝かそう。
そう思い、苛立ちを追い払うかのように荒く立つと彼に手を差し延べる。

「ほら、立てますか?」

「…いやだ」

「キョンくん…」

「…なぁ、飲もうぜ。」

はぁ、とため息をつくと彼は機嫌よさそうにビールをもう一本あける。

彼はどうやら飲むと甘えたになるらしい。

諦めて彼の隣に腰を降ろす。

「…な、なぁ」

「なんです?」

「……えーと。す、す…」

「す?」

「す、涼宮なんてめずらしい苗字だよな。」

「…そうですね。」

また彼女か。
何かと愛される彼には、友人が沢山いる。

「あー…。そうだ、あっあついな!」

言いながらホイホイ上着を脱いで彼の素肌が晒される。
思わず目を見張ると、彼は一気にビールを飲み干した。

「ちょ飲み過ぎですよ!大丈夫ですか!?」

「あ…もうないや。なー飲ませろよ。」

猫みたいに擦り寄って肩にあごをのせ僕のビールすらターゲットにしたらしい。
「…なぁ。」

甘えるような彼の声に、理性が音をたて崩れ落ちる。

飲みかけのビールを煽るとそのまま彼に無理矢理飲ませ、ついでに口内を舌で犯すと必死に絡み付いてきて…いやらしい。

「…んぅ…っ」

ごく、ごく…と大量に飲ませると飲み切れなかった液体が口の端から垂れ、喉を辿り落ちていく。

「そんなに酔って、どうするつもりです?…僕の理性なんて実に簡単に裏切れるんですよ。」

囁くように耳元を甘く噛むと喉を伝う液体を追う。
彼の身体がびくっと揺れ、浅く息が吐かれる。

気付かないふりをして外気に触れ固くなっている乳首を軽くつまむ。

「いつも酔うとそうやって皆を誘ってるんですか…。」

「んぁっ…ちがう、まっ…古泉ぃっ」

眉間にしわを寄せながらふるふると顔を振る彼に無償に腹が立つ。

「…なに、言ってるんです?ここまで煽っておいて。
…ああ、やはり男に組み敷かれるのは抵抗がありますよね。大丈夫です…よがり狂わせて恥ずかしいなんて感情わからなくして差し上げますから。」

―なにを、言ってるんだろう。

知っている。こんなのただの醜い嫉妬だって。

こんなになるまで酔わせるなんて……正直そんじょそこらの女なんて比べものにならないほど加護欲そそられるし、劣情だってまるで噴き出たばかりの源泉のように湧き出て留まることをしらない。

泣かせて喘がせて、あられもない姿で何度でも果たしてやりたい。



ああこれは狂った感情だ



目を見開き僕を凝視したまま動かなくなった彼を見て、はっと我にかえる。

彼を怯えさせてしまった。

彼に、こんな汚らわしい感情を吐露するつもりはなかったのに…。

「なんです?誘ったのはあなたですよ。」


頭では止めなきゃと思うのに、口が、手が勝手に彼を求める。

「い、や…あぁ、え?えと…」

彼はどうやらアルコールのおかげで思考が追い付いていないようだ。
目を白黒させながら顔を紅潮させ僕の顔を伺い見ている。

…たまらない

「気持ちよくして差し上げますから」

再び告げ、もはや自制の効かない僕は彼を押し倒すと唇を奪いながら彼の下着に手を入れる。

「んっんんっ」

やわやわと彼のものを扱くと堪らないのか腰を震わせている。

くちゅくちゅと卑猥な水音が響き、彼の苦しそうな悦の入った顔に僕のものが熱をもつ。
するとその熱に気付いたのか彼がうっすらと目をあけ僕の目を見つめると、するりと下着の中に手をいれ同じように扱いてきた。

「はあっ…あつい…」

「困りましたね。…とても官能的でそそられます。」
彼のスエットと下着をずり落とし、自分のものも取り出すと彼の指の上から二つを同時に握る。

「んあっ…ぅあ…で、る」
「…一緒にいきましょう」

激しく擦りながら腰を動かすと彼はびくびくと自身を震わせ果てた。
その恥態を目にし僕も果ててしまった。










「…え。」

「だから、その…酒の力を借りて…お、お前を誘おうとしたんだよ……。」

「えぇと。それは…どういう?」

「あいつらが、古泉みたいなタイプは既成事実を作れば落とせるとか言うから。
でもこんな男じゃ駄目だって、女がいいだろうし諦めるって言ったら…」

「…。」

「す、好きです…抱いて」
「な!?」

「ていえばイチコロだって谷口が…」

「…じゃあ今から頂いていいですか。」

「だ、だめ」

「好きです、貴方が欲しい。」

「ぅあぁ…ッッ」

そっと微笑みながら再度押し倒すと、抵抗なんてないに等しい微々たるものだった。







……………………………


酔っ払いキョンが書きたかっただけですw
つか片思いベース多いな!

無自覚



…なにか忘れてる気がする。

最近よく思うのだが何なのかがわからない。

しかし僕は確かに何かを忘れてる…。








黒板に身体を向け抑揚ない声で長々と文法の説明をしている教師の声を遠くに聞きながらぼんやりとする。

昼休みあれだけ騒がしかった教室も今はしん…としている。まぁ大方夢の世界にトリップしてしまっているから無理もない。

最初のうちはさして難しいわけでもない構文の羅列をお世辞にも綺麗とは呼べない字で書き写していたが、昨日の"アルバイト"で少々疲れていたのか機能を果たさない頭に虚しさを覚え、周りの生徒同様授業の参加を諦めぼんやりと窓の外を見ていた。


しばらく体育の授業らしい生徒達の楽しそうな声に耳を傾け、まどろむ視界に意識を預けようとしたがある人物に目が留まる。


―あぁ…彼も体育だったのか。

彼の友人であろうクラスメイト達とグラウンドの隅で楽しそうに談笑してるようだ。

時々呆れたような表情をしながらも絡み付いてくる友人達を怒るわけでもない様子を見ると彼も友人として甘受しているのだろう。


完全に授業放棄を決め込み彼を一心に眺めていた。

ふと、彼が視線をあげる。

視線の先には…同じクラスである涼宮ハルヒ。彼女の才能は底知れない。運動においても抜群のセンスを持っている。
きらきらと輝く汗を拭うことなく先頭切ってゴールに駆け込むところだった。


彼は…やはり彼女が好きなのだろうか。


朝比奈みくるも男の擁護欲をそそられる魅力を持つが。
涼宮ハルヒ…彼女は女性としても多くの魅力を持っている。


思いながら胸にもやもやと焦燥感とも喪失感とも虚無感とも言えるような、やはり全く違うようなナニカが渦巻いている気がした。


…?


何か突き詰めようとすると突如頭痛がする。


痛みで働かない思考を打ち消し、無意味な観察を続ける。
勉強なんかする気にはなれなかった。



短パンからのぞく細い足。

体操着からのびた二の腕。

視線が勝手に彼を曝していくように、見たことがない筈の姿を綴る。

…って何考えているんだろう。

いい加減思考回路がおかしいらしい。


もういっそ寝てしまおう。
生憎この教師は授業や生徒といったものに特別愛着を持たないらしく妨害さえされなければ放置を決め込むタイプである。


そう決意し視線を外そうとした瞬間、友人らしい男が馴れ馴れしい態度で彼にちょっかいをだしている様が視界に入った。


あれは…たしか谷口とかいう名の男だった気がする。

彼は谷口とかいう男が首に腕を絡めながら談笑するのを別段取り立てて諌める様子も見せず、背中を向けているため表情は見えないが嫌がってはいないようだ。

まぁたかが友人同士のスキンシップだ。
しかし彼は僕が顔を近づけるだけで異様なほど反応を見せるのに、それほど打ち解けているということか。

わかるがなんだか釈然としない。

もう肩肘を付き、完全に見据える姿勢で彼を見ていると不意に彼がぐるりと体ごと顔をこちらに向け、もうバッチリと目があった。

驚いたが、それ以上に彼が苦しそうな顔をしたため思わず咄嗟に出た笑顔が固まる。

視線が絡み合いどうしたものかと思案していると、彼は硬直したかと思うと直ぐさま顔を背け二度とは振り向いてくれなかった。


そのまま見つめていると今度は谷口とかいう男と目があった。

目があったというよりは何か目で訴えてるような気もしなくもない。

彼の視線から逃げたくて肩を竦めると、彼が視線を外すより早く顔を黒板に戻しまるで暗号みたいに羅列する構文をノートに書きなぐった。











部室に行くと、まだメンバーが集まっていないのか、彼だけしか見当たらない。

野暮用があったせいで幾分か遅れてしまった筈なのに…。

珍しい、と思いながら机に上半身をのせ俯せになっている彼にそろそろと近づくと、静かな寝息が聞こえてきた。

まさかと思いそっと顔を覗くと、やはり彼は静かに寝ていた。
よだれまで垂れて。

たしかに今日は春の日差しがとても暖かく、風もないため昼寝日和ともいえそうだが。

なんだか無防備な彼がおかしくて、思わず笑みが漏れる。

それにしても彼女達はどうしたのだろうか。
部室の片隅で静かに読書をする長門有希がいないのは些か不自然だとは思う。

ともかく涼宮ハルヒが戻る前に彼を起こしたほうがいいだろう。彼の寝起きがいいのか悪いのか知らないが…。


そこまで考えを及ばせると、ホワイトボードに解散!と書かれているのが見えた。
ご丁寧に鍵までおいてある。

成る程状況が読めてきた。
つまる所、彼はあの文字に気付かずに一人皆を待っているうちに寝てしまったと。


―さてどうしましょうか。

彼を起こしさっさと帰ればいいことなのだが…きっと魔がさしたんだ。

気持ち良さそうに眠る彼の頬に手を添える。
親指だけで頬を優しく撫でると、微かに睫毛がぴく、と動く。

起こしたかと思い、反射的に手を離すが彼が目覚める様子はない。

また恐る恐る手をのばし、耳元で「朝ですよ」とか小さく囁いてみるがやはり起きる気配がない。

彼は目覚めがいい方ではないのか。




…『      。』




あれ。今無意識に何か口走ったかもしれない。

しかし自分で呟いた筈の言葉は自分の耳に届いたはずなのに理解されずに消えていった。

また、ズキズキと頭が痛みだす。
急激な激しい痛みにこめかみを抑えると嫌な汗がこめかみから伝い落ち、彼の頬に落ちる。


何かが自分の中から消えていく。


まるで指の間から零れ落ちる水のように、掴めない。

彼に視線を移すと、やはり幸せそうに眠っている。




「…こいず、み…。」


ふいに彼の口から漏れた言葉に涙が溢れる。


…ああなんだろう胸に広がるこの感情は。

だめだ。気付けば消えてしまう。


この感情は、…劣情は。

甘い言葉を囁きたいのに嗜虐心駆られる言葉を投げ掛けたい。


倒錯する思考。
自分が彼を……そうか。彼を嗜虐したい。
組み伏して泣き喚きながら果てる姿を見たいだけだ。
きっとそこに深い意味はない。

それが正しいから。



"かみは僕の感情を殺すことにした"



ふと、いつだかたまたまでてきた汚い走り書きを思い出す。


いつ書いたのか、何を指す言葉か今は全くわからない。

かみとは…彼女のことだろうか。



ああやめよう。


彼の柔らかい頬に鋭いビンタを食らわし、叩き起こす。


「さぁ、泣き喚いて下さい。」


冷たい笑みを浮かべ、いまだ現状を飲み込めていない彼に口付ける。





おねがいだから、誰か僕にこの感情が何なのか教えてください。





****************


キョンに対する感情を無意識に感じ取ったハルヒに、キョンに対する恋の感情自体を消されてしまうとかいう痛いのが書きたかったけど不発w

いつか書き直します!

月光下3*




かちゃかちゃと不快な音をたて古泉の綺麗な指でベルトが外され、自分が出した液体で糸をひく自身が引っ張り出される。


「…いやらしいですね。」

愉しそうに笑う古泉は鳥肌が立ちそうなくらい奇麗で、思わず目を逸らした。

熱を放出したおかげで幾分頭が冷静さを取り戻したらしい。

どこまでも灰色の空は光りを失い、きらきらと輝く燐粉らしきものがどうにかこの現実離れした世界を闇から逃れさせているみたいだ。
遥か遠くでキラキラと光る赤い玉が見え、…まさかまだ終わってないのか?


「考え事とは余裕ですね?お楽しみ頂けてはいるようですが…」

わざとらしく、俺が先程だした精液を指に絡ませると視線をゆっくり指先から俺に移し笑みを浮かべる。

「なっ…馬鹿…おまえ、神人は倒したのか…?つか傷は」

普段の人畜無害そうな男からは余程似つかわしくない表情に、こっちが頭イカレちまった気分にすらなる。
とりあえず流されるまえにこの溜まりにたまった疑問というか、説明が必要だ。
真剣な眼差しで見つめると、くすりと笑われる。


そもそもこいつは本当に古泉なのか?

既に漆黒を帯びた翼はなくなり、外見からしてみれば限りなく古泉だ。

「おや。僕を信じられませんか?古泉一樹は思ったよりも信頼を得ていないみたいですね」

目の前の古泉は面白そうに口元を歪めて笑う…そんな笑い方、俺は知らない。

「…まぁそんなことはどうでもいいんです。今は一刻も早く貴方が欲しい…」

耳たぶが噛み付かれそうな距離で囁かれ、思わずぞくりとする…。

そんなことっておい。

ああなんだこれ。
おかしい。なんだか全てがおかしい。訳がわからない。
またハルヒの思い付きか?超能力に飽きたとか…本物を認識する前に飽きるなんてそんな馬鹿な。

「…んっ」

ぬるり、と耳の中に舌を入れられ油断していた俺は思わず声を漏らしてしまう。

くすくすと笑う古泉は、あぁ…皮肉にもなんだか見慣れた笑顔に見える。

「愛してます」

普段の古泉の澄んだ声とは違う、少し掠れた…まるで色情を含む声で囁かれ、達したばかりの筈の俺の相棒は返事をするかのようにむくむくと元気を取り戻してきやがった。

あぁ馬鹿!裏切り者!


素直な反応を見せる俺の身体に愕然としていると、このどこまでも灰色の空がチカッと光った…ように見えた。


「貴方は実にかわいらしい人です…常々思ってはいるのですがどうも涼宮ハルヒの理想的謎の転校生は些か理性の強い人物らしいみたいで…。」

困ったものです、と肩をすくめ悪戯っぽく笑う。
こうなると古泉以外の何者にも見えない。


「本当はもっとあなたを愛して差し上げたかったのですが…優秀な僕の仲間が神人を漸く倒したらしいですね。」

ん?

やっぱりまだ倒してなかったのか!

「この閉鎖空間をでると僕はただの人間、古泉一樹になります。
あちらでは記憶すら神の意のままらしく、僕はちょっとした能力保持者…つまり超能力者だと信じています。
なので質問がおありでしたらまた是非いらして下さい…ね?」

爽やかな笑顔でウインクまで飛ばす古泉に、反応するよりもはやくぱりんと音が鳴ったように世界が振動し、一瞬で色が戻る。



「…元に戻ったのか?」



辺りを見渡すと見慣れた景色が顔を並べ、空は暗闇が広がり星達だけがこちらを伺っている。



「…ちょっちょっきょ、キョン君?!!?なっななっ」

目の前の古泉ははっとしたようにのしかかっていた身を起こすと、酸素を失った金魚のように口をぱくぱくしている。
先程までのむかつく位の余裕は全く見えない。
キョン君なんてコイツ余程の事がない限り呼ぶことはないからな。


ん?
なんだ…?

あたあたとまるで朝比奈さんのように(と言ってもあの可憐さには似ても似つかないが)あわあわしながら古泉が震える指でさす先を視線で追うと…


「んなぁあっあぁあああ!!!!!!!!」

申し訳なさそうにぷるぷるしている俺の分身が顔を覗かせていた。

慌てて引きずり落とされた、精液で汚れた下着に無理矢理詰め込み、ズボンをもうそりゃコンマ一秒かからなかったんじゃないかって勢いで穿いた。
気持ち悪いとか言ってる場合ではない。

いや、こんな事態にさせたのは目の前の古泉であって俺よりも古泉が反応を見せるべきなんだと思うが、反射というものだ。

恐る恐る古泉を伺い見ると、手にべっとりと纏わり付く…俺の精液を眺めながら完全にフリーズしている。


「…古泉?」

完全にどこか別の世界にトリップしている古泉を呼び覚ますと、突如真っ白な顔になり、うぁあぁっ?!と叫んでいる。

駄目だ。使い物にならない。

しばらく眺めていたが、漸く思考が回復してきたらしい古泉にいろいろ問われたが、適当に流した。


まさかそんな、幸せすぎて記憶が…?!いやまてなんてことを…!ぅぁあ…
とか永遠に呟く古泉を引きずってどうにかマンションに戻った。


この分ではコイツは本気で記憶が抜けているらしい……

どうするかな、さらなる非日常へ足を踏み込むべきか、目をつぶってしまうか。

ああ俺の怠惰ライフは既に遥か遠くで手を振っている気がする。


とりあえずあの色情を含む眼差しを忘れられないまま眠りについた。








いっちゃんバロスw

裏のうら*






わかっているんです。

…こんな感情は間違っていると。

頭の片隅で警告ランプが点滅しているようにチカチカとする。

しかし、やはりどこか冷静な自分は静かに目を閉じてしまう。

僕は貴方にすら牙を向けるんだ。












「……ねむ…」

「…今日は暖かいですからね。もうすっかり春が近づいているようで。」

彼の小さく呟いた台詞を聞き逃しはしない。
微笑いながら囁くようにそっと顔を寄せる。

「…あぁ……。」

もう会話もまともにできないのだろう。
適当に相槌を打ち目を擦りながらふらふらと歩く彼は先程から欠伸を何度も噛み殺している。


「………っぁ…?」

「大丈夫ですか?!」

突然かくっと膝をつき、転がりそうになる彼をそっと抱き起こす。

「…悪い。なんだか本当に、眠いみたいだ……」

「…僕のマンションで仮眠を取っていって下さい。危なっかしくて放っておけやしません…ちょうどここからだとこちらの方が近いですしね。」


口角があがってしまいそうになるのを必死に押さえ、心配そうな顔を貼付ける。

話すことすらままならない彼に冷静に判断する思考など働くわけもなく、あぁ…とだけ言うと体を預けて眠ってしまった。


……部室で帰り際に一気飲みするとわかっていた朝比奈みくるのいれた緑茶に、こっそり入れた睡眠薬が効いてきたらしい。

彼も律義な人だ。

ぼんやりと思いながら、やはりどこか冷静な頭で彼を見ていた。













「……起きて下さい。」

ぺちぺち、と頬に鋭い刺激を感じそろそろと目を開ける。

「……古泉?すまん、俺どう、し…」

ぼやける視界で声が聞こえた方をむくと、古泉が覗きこんでいた。

そこで感じた、違和感。

まず、古泉が無表情なんだ。
まるで長門みたいに表情が読めない。

次に感覚があまり感じられない腕。
立ち上がろうとしたがうまく身体が動かない。
どうやら腕が紐状の何かで頭上に固定されているらしい、と認識するまで幾分か時間を要した。


「なんだこれは…またハルヒがわけわからないことでも言い出したのか?悪いがくだらない冗談につきあう暇はないんだ。今すぐコレを解け。」

ふといくらか覚醒してきた頭で状況を省みる。
何度か見たことのある天井…古泉の部屋に運ばれたのか。

てっきりすぐ開放されると思い込んでいたがなかなか古泉は動かない。
さっきっから一言も言葉を発していないんじゃないか?

「…おい?こいず、」

名前を呼ぶ前に荒々しく唇を奪われ、それ以上は続けられなかった。

「っ…んぅっ…」

荒々しく口内を貪られ、息もうまく継げない。

苦しくて怖くて、首を横に振って逃れようとするが後頭部を掴まれさらに深く舌が絡まる。


「…っこいずみ」

キスの合間に無理矢理名前を呼ぼうとするが、聞かないとでも言うかのように荒々しい口付けを施される。
ハルヒ達が突如出て来るサプライズの線は消えたな。ぼんやりと思った。


俺とコイツの関係は実に曖昧で…。
端的に言うと、何度かキスをしたことはある。
しかしどちらかがそのことに触れることはなかった…付き合うとか付き合わないとかそんな次元のものなんかではないんだ。

これでいいと、思っていた。


しかしこんなに激しく求められたのは初めてで、正直心臓が張り裂けそうな位ドキドキしている。まるで恋する乙女のようだ…って余りにも気持ちが悪いだろう。

酸素が足りないのか、頭がぼぅっとしてきたと思ったらようやく唇が離される。

「…っは、ぁ…。古、泉?…なぁ、どうしたんだよ…これ、解くつもりないのか?」

ベットの端と繋がれているらしい腕をゆさゆさと揺らしてみるが、古泉はまた無表情になる。

はぁ、とため息をつくと同時に古泉にシャツのボタンを静かに外されていき、流石に焦る。

「ちょ…古泉?なぁ、どうしたんだよ?なんかあったのか?」

普段とは全く違う古泉の行動に俺の頭は何か期待してしまう。

「…すみません。もう我慢、できないんです…」
ようやく聞けた古泉の声はどこか弱々しく、なんだか変に納得した。

ワイシャツを剥き終わると、そのまま肌に舌を這わせ二つの突起を舌と指で執拗に責められる。

「…ぁっ…んんっ…」
歯を立て吸われるたびに、なんともいえない感覚が身体に走り声が抑えられない。

その声に反応するかのように、ちらりと上目で見られ目が合うとどうしようもない羞恥に襲われ、目を閉じて唇を噛むようにし声を出さないよう耐えた。

それをいいことに古泉はチャックを降ろすと制服のズボンと下着を同時に降ろす。
突如下半身が外気に触れ、ぶるりと肌が泡立つ。

「かわいいです…」

「ばっ…ぁ、あぁっあっ」
耳元で囁かれ、講義しようと思いきり口を開けた瞬間、下半身に刺激が走り思わず声がでてしまった。

「あっ…あぁっ、いや、嫌だ…んぁっあ」

一度漏れてしまった声は納まることを知らず、古泉の熱い視線を感じて更に熱が高まる。

するとぬるり、とした感覚を感じ思わず見遣ると古泉が俺のブツをくわえていて、
「やめっやめろ馬鹿っ…汚いっんぁあっ」

講義している最中に思いきり吸われて目がカチカチする。

「…あっだめだ、出る…離せ…」

古泉は離すどころか更に深くくわえこみ、俺は呆気なく古泉の口に達してしまった。

ごくっと飲み下す音が聞こえ、ぎょっとして古泉を見ると

「…おいしかったです。」
とかほざきながら微笑んでやがる。
口から俺が放ったらしき白い液が垂れていてとても卑猥だ。
背徳心だかなんだかわからないが ずくん、と心臓が鷲掴みされた気分だ。

かちゃかちゃとベルトを外す音を遠くに聞きながら焦点ままならない視線わさ迷わせる。

すると突然古泉は俺の膝の裏を持ち上げ両耳のあたりまでくっつけると、なんとケツの穴に舌を這わせやがった。

「やめ…馬鹿!やめろ…ぅあっやだ、やめろ!」
両足をバタバタとし本気で抵抗を見せたら観念したのかようやく顔をあげた。

「両手が塞がってしまって…濡らそうと思ったのですが。それとも無理矢理がご希望で?」

無理矢理?無理矢理ってやっぱり入れるんだよな…つか拒否権はなしかよ。
だがあんなとこ舐められるより百万倍ましだ!

俺はこくこくと馬鹿みたいに首を縦に振った。

「…痛いですよ」
なぜか古泉が苦しそうに言うからおかしくて、いいから早くしろ、って言ってやった。

古泉にそのまま立派にそそりたったイチモツを宛がわれる。

「…ぅ、あ…」

先走りの液をぬるぬると円を描くように塗り付けられるとそのままずぶり、と押し進められた。

ぎちぎちと肉が軋む。
すっかり古泉のモノが納まる頃には俺は額に汗を浮かべ眉根を寄せ痛みと戦っていた。

「は…狭いです」

呟くように囁かれた後、腰をつかまれがくがくと揺さぶられるように律動が開始される。

痛みで涙がでる。
ぺろ、と涙を舌で拭われると痛みで萎えてしまっていた俺のモノをやわやわと右手で握られる。

「んぁっ…ぁっ…んうっ」
律動の度に変な声がでて気持ち悪い。
…それにたまに変な感じもしてくる。

「古泉…キスしろ、よ」
手が拘束されてるせいでしたくてもできないんだ。

古泉は一瞬物凄いあほ面をして、すぐに苦しそうに顔を歪めると荒々しく唇を重ねてきた。

なんだかとても不条理だけれど、すごく幸せな気持ちだったんだ。

「んぁ…っで、る…っ」

「…イって下さい?」

目を開けると古泉の切なそうな顔があって…目が合った瞬間自分の腹に出してしまった。

「あっ…はぁっあぁっ」
「…んっ……」
俺が吐き出すと古泉は俺の腰を掴み乱暴に律動を始め、俺の中に熱いものを放った。








「…なぁ。何隠してんだよ」

漸く手の拘束が解かれ、赤く跡つく手首をさする。

「いえ。……殴っていいですよ。僕は睡眠薬を飲ませて無理矢理貴方を抱いた。」

…あぁ道理であんな不自然に眠くなったわけだ。

「僕は、貴方を汚した。貴方は世界を救う唯一の鍵なのに…この醜い感情の為だけに。
もう二度と触れない…だから今だけ言わせて下さい。
僕は貴方を愛してるんです」

そう告げ古泉は今にも泣きそうなくせに笑顔を貼付けると目を閉じる。

ごちゃごちゃ面倒くさい事を考えてやがるのか。


小さく舌打ちをすると、古泉の瞼がぴくりと動く。
そのままゆっくり顔を近づけて触れるだけのキスをしてすぐ離れると古泉は驚いたように目を見開き固まっている。

「世界がどうとか、もういいんだ…。
俺はお前が好きで、だから抱かれてやったんだ。
もう二度と触れないとか言うなよ……本当はもっと早く触れたかったんだからな…。」

視界がぼやけて古泉の顔が見えない。

古泉を感じたくて思いきり抱き着くと、物凄い力で抱き返された。




―これで、いい。

やっと堕ちた…。

本当は古泉の挙動不審な動きも、朝比奈さんのお茶の味が違うのも気付いていたんだ…。



「愛してる、古泉。」



本当に世界なんかどうでもいいんだ。
お前がいれば











ブラックキョンとかwww
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