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小話目次

必読
は性的表現を含むため、十八歳未満の方は閲覧をご遠慮ください

5555hit企画(完)/五万だー!(完)

・漫画系
痛む笑顔(AKABOSHI・宗江×戴宗)
かわいくないこ(AKABOSHI・師匠+戴宗)
贖え(AKABOSHI・幼少期戴宗)
親子(AKABOSHI・宗江×戴宗)
あったかいね(青祓・雪男×燐)
いちゃいちゃ(めだ箱・めだ+善)
栄光と笑顔(黒子・黒子愛)
成長すること(黒子・キセキ+黒子)
なでなでの方法(黒子・キセキ+黒子+火神)
猫なんだか犬なんだか(DOGS・バドー×ハイネ)
此処では全てが(DOGS・ジョヴァンニ+ハイネ)
ねこねこ(守護キャラ・専務×イクト風味)
ごろごろ(守護キャラ・あむ+イクト)
宵の宴(守護キャラ・モブ×イクト)
罪の恋(守護キャラ・歌唄×イクト)
愛前の好(守護キャラ・唯世×イクト)
(DOGS・ジョヴァンニ×ハイネ)
炎とダンス(CB・平家+子大神)
酔漢の戯言(キューティクル探偵因幡・荻野+洋)
告白してみた(戦勇・アルロス)
一人でおはよう(戦勇・ロス)
再会の前(戦勇・アル→ロス)

・drrr
あくま(臨也)
にんげん(臨也)
絶対に誰にも渡さない(静雄×臨也)
バイバイ×××(静雄+臨也)
(静雄×臨也)
犬と俺(静雄×臨也)
こどもと(ドタイザ←シズ)
1か2(サイケと臨也と静雄)
こどものようなひと(津軽+臨也)
良い子悪い子一人っ子(折原家捏造)
愛ある食卓(来神組)
ゆっくり癒しましょう(静雄×臨也)
汚い嫌い気持ち悪い(静雄×臨也)
(ドタイザ)
友達でいてね(新+臨)
永遠に青色(来神組)
同棲ごっこ飼い主ごっこ純愛ごっこ(静雄×臨也)
おうちデート(遊馬崎+臨也)
安眠対策(門田×臨也)
同級(門田×臨也)
簡単なこと(蘭×臨也)
人?と人と鬼と化け物と(折原軍団)
きみのために出来ること(??×臨也)
空白(折原軍団)
王子願望(美影×臨也)
ごくあくひどうきちくげどう(臨也受)
結婚志望(美影×臨也)
露悪趣味(門田×臨也)
烏と俺(静雄×臨也)
侵略する(来神組)
獣と貴方(臨也受)
猫人生(静雄+臨也)
潔白人前編/後編(静雄+臨也+サイケs)

連載
獣夜・・・(静雄×臨也?/吸血鬼)
(完)とりあえず/はじめまして/こんにちは/いただきます/ごちそうさま/いってきます/ありがとう/こんばんは/ひさしぶり/おはよう/ようこそ/どうも/よぉ/好きだ(臨也愛され系/記憶喪失話)
(完)名前を呼ばず本当を知らずでも、いいよ。(静雄×臨也/LOVELESSパロ)

・その他ライトノベル系列
はるめき(ムシウタ・土師×大助)
野花のお使い失せぬ花(鋼殻のレギオス・女王+サヴァ+レイ)
終わりの後/昼休みの最中(ムシウタ・大助愛され系)
怪獣(ムシウタ・土師×大助+ハルキヨ)
友よ(IS・五反田+織斑)
変態+(ムシウタ・土師×大助)
未帰還(ムシウタ・土師×大助)
色付き夢(され竜・ギギ+ガユ)
仲良くできるもん(され竜・クエロ+ギギ+ガユ)
想い出は幼い(アルティメット・ファクター・リボー+ゴスペル)
羨望嫉妬(ムシウタ・一玖×大助)
拭って(ムシウタ・大助愛され)
たたかう(ムシウタ・あさぎ+かっこう)
Iの時間(ムシウタ・大助愛され)

・BB(ブレイブルー)俺設定
主従(テルミ×ハザマ)
人形事(テル(ラグ)×ハザマ)
人形と作り手(レリウス+ハザマ)
無知め!(テルハザ前提テルミ+ココノエ)
→()→(テルハザ前提ラグハザ)
兄弟(ジン×ラグナ)
「あ」/「また」/「いただきます」/「おやすみなさい」/「自業自得」/「秘密」/「もう少しだけ」/「何を」/「その日を」(ラグナ&ハザマ愛)
秘密主義(モブ×ハザマ)
赤裸々(テルカズ)
鬼の居ぬ間に(テルハザ前提ラグハザ)
灰色人生(モブ×カズマ)
こんなの(テルミ×ハザマ)
暴君(笑)(テルミ×ハザマ)
お風呂で仲良し(テルミ×ハザマ)
不在(テルハザ前提ラグハザ)
巡る/留まる/愛してる(テルミ×ハザマ)
(テルミ×ハザマ)
双頭の蛇(テルミ×ハザマ)
ガタガタいうなグズグズするな(ハザマ+カズマ)→小心者の災難(ラグナ+カズマ)
よくできました(テルミ×ハザマ)

某掲示板風(本宅副管理人赤猫丸作)
敬愛する主人にプレゼントを渡したい/(テルミ×ハザマ)
ヤンデレ弟への対処法を教えてくれ(ラグナ×ハザマ)
最近反抗期で切ない(レリハザ+テルハザ)
苦手な上司がホモに狙われてる(ラグハザだけどマコト中心)
妹が実在の人物でBLマンガ描いてた…(ラグハザ中心ギャグ)
復讐で仇敵の部下を寝取りたい(ラグナ×ハザマ)


・その他ゲーム
相棒(TOV・ラピード×ユーリ)
孤独な英雄(FF7・クラウド)
無駄話(FF7・S+C)
鬼二人犬一匹(FF7・仲良し三人組)
ひとりじゃない(FF9・タンタラス)
幼馴染(シュタインズゲート・♂まゆり+オカリン)
のぞむもの(TOX・アルヴィン+ジュード)
ぬくい(Fate・アンリ+士郎)
遠ざかったものをもう一度(TOV・ラピード+ユーリ)new

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管理人本宅→眼下の群集(更新停滞中)

やるやる詐欺

してます。しかしだいたいいつもこんなものです。
もう2014年ですが、管理人は相変わらず元気です。
副管理人がちょっと忙しいところに就職してしまったので、なかなか忙しいようですが、私もようやく仕事に慣れてきた感じです。遅い、知ってる
本サイトのムシウタから今まで遊びに来て下さる方がいて、本当に頭を下げるばかりです。いまだに暖かいコメントや拍手をいただけているのも、みなさん優しい方々が遊びに来てくださっているようで…

不定期もすぎるサイトです。それでも閉鎖はせずに、忘れたころに作品を投下したり、また新しいジャンルにはまったら連投したりと気まぐれに遊んでいきます。
よろしくお願いします

遠ざかったものをもう一度

TOV
ラピ+ユリほのぼの










旅路の仲間も九人と大所帯になり、戦闘面においても安定してきた凛々の明星メンバー(正確にはそこに海賊娘や帝国騎士も含まれているのだが)。成人がフレンを含めた三人しかいない、という若さというより幼さが目立つパーティーで、どこか浮ついた空気が流れるのは仕方ないことだろう。
戦闘能力だけはすでに歴戦の猛者と言っても差支えないだけに、遠足気分は抜けないものだ。だからこそ年長者が目を光らせる必要があり、不足の事態を招いたのは誰の責任でもない。
「ガウ!?」
「ラピード!」
噴出したエアルクレーネに巻き込まれたのは、先行を買って出ていたラピードだ。高濃度のエアルが周囲の空気を動かし、体重の軽いカロルとパティが受け身も取れずに転がる。殿を務めていたユーリは手を伸ばして二人を抱きとめると、咄嗟に最前列に飛び出した。土地を考えればエアルクレーネに刺激された魔物の処理はジュディスとレイヴンで十分だろうし、すぐに体勢を整えたエステルとリタもいる。
そんな打算的な思考が冷静に廻っていたかは定かではなく、ユーリは珍しく反射的に身を投じていた。
淡い光を発するエアルクレーネは、間欠泉のような存在だったらしく、吹き出るエアルは徐々に沈静化していく。万が一を考えて制止の声を発していたリタの言葉もはっきりととらえきれないまま、姿すら燐光の中で見えない相棒へ手を伸ばす。
見え始めた青い毛並みがぶるぶるとこらえるように震えていることにぞっとして、ユーリは飛び込むように相棒を抱えると、すぐさまエアルクレーネから離脱した。
瞬間的とはいえ高濃度エアルに触れた肉体はひどい虚脱感を覚えていたが、そんなことよりも、と腕の中のラピードを見下ろす。エアルの緑の燐光に包まれたラピードがか細く「キュウン」と鳴いた。
「ラピー……!?」
駆け寄ってくる仲間たちが地面に膝をついた瞬間、ラピードの身体にしみこんだエアルがひときわ強く発光した。視界を焼かれ、思わず目をつぶる。腕の中の重さが消失したかのように軽くなったことに、ユーリは息をのんだ。
やがて数秒にも満たぬ光も収まり、はっとラピードを見下ろす。そして。
「ワフ?」
「…………は?」
懐かしい相棒の丸いラインに、思わず全員で声を出した。

 

「じゃあ、生まれてすぐのラピードなんです?」
「そうだなー。なっつかしい」
「本当。でも、大事なくてよかったよ」
ユーリの腕の中で裾を噛むことに夢中になっているラピードに、エステルの興奮した顔が近付く。
急遽朝方出発した街まで戻って来たはいいものの、当日宿泊ということで今夜は大部屋だ。今まで何度も男女混合で宿をとっているとはいえ、いまだに頭の固いフレンなどはいい顔をしない。下町育ちの彼のどこにそのような教養が生まれたのか定かではないユーリは、リタに「とりあえず時間経過でもとに戻るから大丈夫」とのお墨付きにすっかり安心し、小さくなった相棒に夢中だ。
「でも、本当に中身はそのままなの?」
「おお。ラピードがそう言ってる」
「……ユーリ、本当にラピードと喋ってるよね……」
「本当に幼い頃のラピードなら、ユーリや僕以外にも懐いているはずだよ。性格は少し甘えん坊に戻っているみたいだけど、エステリーゼ様達にはあまり近寄らないからね」
「そうなんです? うぅ、喜べばいいのか、悲しめばいいのかどちらでしょうか」
「青年には昔から懐いてたのね」
羨ましがる視線や納得したような視線を向けられながらも、ユーリの視線は己の腕の中に注がれている。いつもの不敵な顔つきではなく、目じりが下がった顔つきは普段以上に中性的な柔らかさを発揮している。
寝台の上に胡坐をかき、その膝の上に置いた相棒を撫でたり、腕を貸したりと御満悦だ。普段はラピードが咥えている煙管はユーリの手の中でゆるく握られている。身体に合わせたナイフを吊り下げるベルトとナイフ、ブラスティアも今はユーリの荷物に押し込まれていた。
生まれて数カ月というラピードであるが、もとより大型犬に部類される犬種だ。成犬時の鋭角的な面はなく、子犬特有のやわらかさと曲線で構成された肉体は、小型犬ならばすでに成長しきったほどには大きい。両手でしっかりと抱えないといけない程度には身体もしっかりしているので、何もかも世話をしなければならない子犬というほどでもない。
「ラピード、このころはちゃんと両目あるんだね」
「ああ。俺が無茶した時に、ちょっとな」
「ならラピードの目は漢の勲章なのじゃな!」
パティの言葉に肯定するように「わう!」と鳴いたラピードは、しかし押さえていた腕がするりとぬけだしてしまうと、慌てたように腕を追いかけた。親離れできていない子犬そのものの行動に、だれともなく微笑んでしまう。
いつもは相棒に似てニヒルというより、人をからかうような男前っぷりを発揮する犬の甘えっぷりが、外見も相まってかわいくて仕方ないのだ。唾液でべたべたになっている腕を気にすることもなく、ユーリも愛おしそうにその様子を見つめている。
今日は全員が一室ということで、しかも寝台も人数分ある。(もちろん数名分は持ち込まれた簡易寝台だったが、自然と成人組が質素な方を選ぶのが通例となっている)就寝前の自由時間を満喫しているが、ラピードの一件もあり、全員が室内で待機していた。
いつもは夜の街に繰り出すレイヴンも、目の保養とばかりに青年と子犬の戯れを観察している。レイヴンが心の中で、残念なのはほのぼのすぎて夜のオカズには向かないことだろうか、と下世話すぎる感想を抱いているところで、「ラピード、眠くなったのか?」と体勢を変えた。
「わうー」
よくよく見れば確かに腕の中の子犬は今にも寝むってしまいそうなほどぐったりと弛緩し、瞼をくっつけては開いてを繰り返している。まだまだ遊び足りないといやいや首を振る相棒を、困ったように見つめて笑ったユーリは、そのままごろりと寝台に倒れこんだ。
「ほら、昔みたいに一緒に寝ようぜ。大きくなってからすっかり添い寝してくれなくなったじゃねぇか」
ほがらかに笑うユーリはラピードの鼻先に柔らかく唇を押し付けた。「ふわあああ」と悲鳴を上げたエステルを振り向いて確認したが、リタが倒れたエステルを介抱しながら手を振るばかりだ。疑問に思いながらもユーリは相棒の甘えた声に引き寄せられるように首を戻す。
「明日も頼むぜ、ラピード」
「きゅん」
眠気と決意の狭間でかわいらしく鼻を鳴らしたラピードに微笑んで、ユーリも相棒に倣うことにした。瞼を閉じれば自然と睡眠の闇は伸びてくる。
「……おやすみ」
呟いた瞬間、応えるように唇に温かい何かが触れた。

 

「あーらら興奮して倒れちゃって……でもワンコはいいわねぇ、青年にキスしてもらえるなんて役得だわ〜ん」
「そうですか? 案外普通にしてくれますよ」
「……え? ……ふ、フレンくん、君……」

 

三か月ぶり…

お久しぶりの管理人です
もう半分休止してんじゃないかって音沙汰なしでしたが、ようやく更新する事が出来ました

秋からはついにBBアニメですし、またちょこちょこBB作品を更新していきたいです。希望的観測
更新がない中訪問してくださった皆様には感謝の言葉しかありません。
元々不定期更新でゆるーく運営していくスタイルですので、ご理解いただければと思います

また拍手、コメントありがとうございます。
創作活力になっております!

(戦勇)再会の前

戦勇 アニメ終了記念
アル→ロス







目が覚めると学校の屋上で、横には相変わらず甘そうなパンを味わうロスがいた。
一つ学年が上なのにわざわざ敬語で話しかけてるこの先輩は、しかし言葉遣いとは裏腹にまったくアルバに対する敬意はない。アルバ自身自分が何か他人より秀でたところなど思いつかず、尊敬しろとは言わないが、おちょくるのはもう少しやめてほしいと思っている。
何かするわけでもない、ただ集まって漫才のような掛け合いをするだけのクラブを創設され、あまつさえ部長にされたアルバは、しかしこのたった二人きりの時間が嫌いではなかった。
種明かしするとアルバはこの同性の友人に惚れこんでいるという話なのだが、もちろんそう簡単に口に出せる事でもない。友人のフォイフォイのようにじれったくも周囲を呆れさせるお嬢様との恋愛話は呆れる反面、少し羨ましい。
「起きたんですか」
顔つきは変わらずとも、味わうようにクリームの挟まったパンを食べていたロスが視線だけをアルバによこした。髪の毛は烏のように黒々としているのに、ロスはそこだけ色素を抜け落としたかのように色白で、瞳は血液の色をしていた。
その真っ赤な眼差しにどきりとすることは多い。涼しげな風貌をしているのだから静かにいればさぞ持てるだろうに、彼は人をいじめては嗜虐のこもったあくどい笑みを浮かべる。
「おはようございます」
「おはよー」
上半身を起こして伸びをしたアルバは、買ってきておいたペットボトルを持ち上げ、固まる。ひょいと予想外の軽さで持ち上がったそれの中身はどう考えても殻で、しかし眠る前には半分ほど残っていたはずだ。
「お前な!」
胸ぐらをつかんで詰め寄ってもロスは涼しい顔だ。淡々と人を見下ろす瞳はどこか迫力があるものの、その無表情の下で喜んでいるのは分かっているので恐ろしいとは思わなかった。
「なんですか部長。どこに証拠があるんです」
「お前の口から匂うんだよ!」
堂々とのたまう彼の唇からは、彼が買っていないはずのミルクティの匂いがした。しかし表情を変えないロスは淡々と言葉をつづける。
「ちょ、人の口の匂い嗅ぐなんてどこまで変態なんですか、部長……さすがの俺でもフォローできませんよ」
「してないよ! その前に僕に謝れ!」
騒ぐアルバを見かねたのか、それとも思った反応が得られて満足したのか。ロスは飲みかけのジュースパックをひょいとアルバに差し出した。
「あまりに餓えてひもじいようなので恵んであげますね。感謝してください」
「なんでだよ! お前がそもそも僕のお茶飲んだんだろ!」
と言いながらもパックを受け取る。中身は半分ほど飲まれた後七日、やや軽い。そもそもペットボトルとパックジュースではわりにあわないが、そんなことを突っ込む気力も失せた。
野菜ジュースはすっきりとした味わいで飲みやすいが、アルバはふとこれが間接キスなのだと気付く。気付いた瞬間思い切りストローを噛んでしまって、敏感に察知したロスのまゆがぴくりと動いた。
「なんですか部長。その年になってまだ母乳でも欲しいんですか。ストロー噛むなんて破廉恥な」
「ぶごっ! お、お前の難癖のつけ方の方が破廉恥だ!」
あまりな言い分に噎せながらもロスをにらめば、機嫌がよさそうに笑っていた。
背はひょろりと高いロスだが、体つきはあまりいいとはいいがたい。涼しげな顔立ちで笑う顔は子供の様で、そんなところも好きだった。
「そういえば部長。今度の部費会議用の資料まとめました?」
「部費、会議……? え、そんなのあったっけ?」
記憶にない話だと困惑するアルバに、ロスの顔が明らかに人を見下すものに変わった。鋭い目付きがぎらりと光る。
「なんですか部長。やる気あるんですか」
「いや、ないよ!」
「……ま、そういうと思って資料は集めてますけどね」
「あ、そうなの?」
ふうやれやれ、とあからさまなオーバーリアクションをとられようとも、とにかく事は無事に運ぶらしいとアルバは安堵の息を吐く。その様子を座りなおしたロスが呆れたように見ていた。
「それくらい一人でできるようにしっかりしてくださいよ」
「お前が無理やり部長に就任させたんだろ! それにお前が出来るんだからいーじゃん」
なんだかんだ言って手を貸してくれるロスの事を知っていたから、アルバは無責任ともいえる発言を許されていた。ロスは表情を変えず、しかしアルバの予想していた答えをくれない。
彼は淡々と嘘を吐く。
まるで言いなれているみたいに、もう疲れ果てた戦士のように。

「何言ってるんですか。もう俺はこの世界にいないのに」

 

 

目が覚めた。
「あ、おはよー」
「ああ、うん。おはよう」
少し離れた場所で水を飲んでいたルキがにっこりと笑う。
野宿も様になってきたとは喜ばしい事なのかわからないが、しかし一人旅よりは二人旅でよかったと思う。
最初は戦士と二人で、ルキが入って三人旅が一番楽しかったけど。
その未来を取り戻したくて、アルバは今こうして故郷にも帰らず旅を続けているのだ。
何もかも知らなかったアルバに火の起こし方を教えてくれたのもロスだった。あの時はさすが戦士だなぁと思ったけれど、ふたを開ければ彼は一人、千年前の世界でさまよっていたのだ。道中苦楽を共にする仲間もおらず、たった一人魔王を倒すために。
しかしその理由を探してもどこにもなくて、理由は分からず仕舞いだった。
「なんだかむにゃむにゃ言ってたよー。夢?」
「うん。ロスが出てきた」
「ロスさんが?」
ぴこぴこと犬のしっぽのように頭の上の羽が動く。もう記憶の中にしかいない男を恋しがっているのはルキも同じだ。魔王を復活させても彼を掬いたいと願う点で、二人は同士だった。
「ここじゃない世界で、毎日平和に暮らしてて、あいつも僕も……」
魔王とか魔法とかそんなものはどこにもなくて、毎日勉強がめんどくさいと嘆きながらも惰性のように学び舎に通う。何をするわけでもない部室で遊び、理不尽にののしられながらもまた明日と笑いあう、あれは幸せな夢だった。
「早くロスさんに会いたいねー」
「うん」
そういえばあの世界でアルバはロスに恋心を抱いていたような気がする。
なんて滑稽な夢だろう。

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