万式録帳
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2010.7.31 11:50 [Sat]
詐欺な誘惑A
……なぜ……知ってるんですか……?ひょっとして見えるんですか!?


勿論自分のそんな能力は、ここに連れて来た知人の女性も知らない。


突然の自分の言葉に、みんな驚いていた。


でも驚いた理由は、どうやらその言葉だけではない様子…


自分は話を続けた。


「ここの2階にいる霊は女の子。年齢は5才くらい。ワンピース姿で服には薄赤く小さい模様が入っている。髪は長めで片足は無かったけど自分に見えないだけだったらしい。自分がこの家に入ろうとした時、ベランダの手摺りに両手でつかまってドンドンと飛び跳ねた。それは歓迎してるのではなくて……」


と、そこまで話した途端……!!










ドン!!ドン!!



ドン!!!!!



2階から床を叩く様な大きな音が聞こえた!!


悲鳴までは出ないが、皆ますます顔色が悪くなっていく。


「ポルターガイストやラップ音…って聞いた事ありますか?今のがそうですよ。どうも自分が来たのが悪かったみたいですね…」


自分の発言に、全員すでに本来の目的を忘れている様だった。


ど…どういう事ですか!?いったい!!どうすれば……!?


さすがに幹部も脅えきっている。


「あの女の子の霊はですね、自分がココに来た事によって、自分が追い出されると思ってると思うんです。もしくは追い出されるキッカケを作る人間だと判断したんでしょうね…」


そこまで話すと、少しずつ幹部や他の人達も女の子の霊の事を話しはじめた。


他にもここに来た人間は、奇妙な体験をしていたらしい。


影を見たとか……

肩を叩かれたりとか……

足音が聞こえたりとか……


「まぁでも自分は素人の判断なんで…これ以上は何とも言えませんが、ちゃんと専門の方に相談した方が良いかもしれませんね」


と…自分が話すと、けっきょくその日は皆すぐに帰る事になった。


幹部の人からは妙に感謝され、車で家に送ってもらった。


ふぅ〜やっと帰れる


と…思いながらも、やはり自分はあの女の子の霊も少し気になっていた…。


あの女の子は人を集めようとしている。


次から次へと人が来るのを楽しんでいる。


詐欺まがいの商売自体も呼び寄せたというわけか……そして……悪霊も……。






その後……


幹部を始め他の人達も自分がいる店に飲みに来てくれる様になり、無事お祓いも済んだという事だった。


だがしばらくすると、その会社はうまくいかなくなり…本社社長ら何人かは逮捕されて、全国ニュースにもなった。


自分が会った幹部はどうしたか知らないが、グループは完全に崩壊……。


自分が騙されて行ったあの家だけが、今も何事も無かった様に存在している…。





だけどしばらくして………






まさかまた、あの女の子の霊の情報が入ってこようとは……夢にも思わなかった……。



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