蝶々事件ラブソディック「シドニー・ワトキンス」



●シドニー・ワトキンス(cv諏訪部順一さん)
27歳のイギリス人。英国紙ロンドン・エコーのジャーナリスト。異国人であるからかとても積極的で、優しい。神出鬼没でいつのまにか現れたりする。








〜ネタバレ〜
夜の街で非徒に襲われた主人公だったが、その時偶然居合わし助けてくれたのがシドニー・ワトキンス、通称シドだった。
イギリス人のシドはとても美しい見た目で、そして優しいフェミニスト。ジャーナリストをしているため色々な取材をして歩いているので、神出鬼没でその後も何度か顔を合わせることになった。
イ織がイェーヴァの理事長だと分かった時も、イ織の意地悪に助け舟を出してくれたりするシド。そんなシドに主人公も心を開いていた。
しかしシドが最初に助けてくれた夜に、主人公の学友が非徒に殺されたという事実を知る。そのため、その日に一緒に行動していた主人公や他の友人たちは海軍の尋問を受けることになった。海軍としてやってきたのは将成で、ただでさえ威圧的な将成は更に冷たく主人公たちを脅した。更には尋問を軍で行うと言ってきて主人公を無理矢理連れ出そうとするが、勝手に自分の学園の生徒を連れ出そうとしたことに怒ったイ織と将成が喧嘩になり、イライラが収まらないイ織は何故かパーティーを行なって鬱憤を晴らすと言い出した。
源家で行われることになったパーティーはとても豪華なものだった。生徒たちも招待され、有名人も沢山集まった。更にイ織が源家のお宝の一つである「ファベルジェの卵」をそこでお披露目すると言ったため、なんと今話題である怪盗ブランからの予告状まで届いた。
そんな時、イ織の屋敷で迷ってしまった主人公のもとにイ織の秘書である周防が現れた。周防と二人きりになると何故か周防の様子がおかしくなり、なんと主人公に襲いかかってきたのだ。その様子は何かに興奮し心酔しているような気持ち悪い雰囲気で、恐怖した主人公は逃げようとしたが力に勝てず逃げられない。しかしそこへなんと怪盗ブランが現れ、颯爽と主人公を助けてくれたのだった。何故か尋常じゃない強さの周防に怪我を負わせられた怪盗ブランだったが、上手くその場から二人で逃げることができた。しかし怪我を負ったため、主人公はブランをどうにか上手く逃がそうと屋敷から連れ出す。その時に見えたブランのマスクの下の蒼い瞳、その瞳はとても見覚えのあるものだった。そして気づいたのだ、怪盗ブランはシドだと。
「助けてくれてありがとうございました‥シドさん」と言葉を告げると、バレてしまってましたかと苦笑いするシドは主人公に感謝しながらそこから逃げられたのだった。
しかし主人公たちがそんな話をしている時、パーティー会場では殺人事件が起きていた。しかも殺されたのは主人公の同級生の、みどりさんだった。パニックになる会場だったが、怪盗ブランが現れたことが大ごとになり、その殺人の犯人が怪盗ブランであると、ブランは容疑者としても警察に追われる身になってしまった。
シドが犯人でないことを知っている主人公は心を痛めその後を過ごす。みどりさんのこともとても悲しく、辛い日々を送っていたが、巷の記者たちは女学生を格好のネタだと毎日イェーヴァで張っていた。
そこにまたシドが現れ、記者に囲まれて困っていた主人公を助けてくれる。シドはいつも急に現れ、そして主人公がピンチの時にかならず助けてくれる。そんな人が悪い人であるはずないと、訳があって怪盗をしているのだと思う主人公はシドを信頼していた。そしてみどりが死んだことは自分が怪盗をやったせいで巻き込まれたのかもしれないと自分を責めるシドに、本当に優しい人だと思えた。そんなシドの手を握り、シドのせいじゃないと伝える主人公は、男が苦手なのにシドに触れるのは嫌じゃないと気づいていた。
結局、シドがせめてもの罪滅ぼしのために緑を殺した犯人を捜すと言うため、主人公も共に協力することになったのだがイ織がまた開催したパーティーで海軍であり将成の友である加瀬がなんと化け物の姿に変わり、非徒になってしまったのだ。しかも主人公を襲ったため、シドと遙が駆けつけ、遙が何故か持っていた刀で非徒を倒してくれたのだった。
その後半ば無理矢理イ織に連れていかれた主人公はイ織の口から恐ろしい事実を知る。
なんと人間を非徒にする薬を使っていたのは主人公の父である香月博士だったのだ。それは特別な遺伝子を持つ主人公の母オルガの血で作られた薬で、その薬は強戦士を作るものであり、そして戦争に使われるものだった。しかし香月博士はその薬を作ったことを後悔し、オルガと主人公を連れ日本に逃げ薬の解毒剤を作る研究をしていたが、亡くなってしまったためその研究はイ織が引き継ぎ続けていたのだった。
結論、非徒は主人公に流れる血から出来ていた。その事実を知った主人公は友達や他の人間が死んでいったのは自分のせいだと思い、ショックを受けた。しかもイ織は更なる薬の研究のため主人公の血を欲し、なんと主人公をイ織の自宅に閉じ込めてしまったのだった。
主人公は何度も屋敷から逃げようとしたがイ織や周防に捕まり逃げられなかった。絶望し、悲しみに暮れる中、以前シドに言われた言葉を思い出す。ジャーナリストとして動き回っているため連絡が取れないシドに会いたい時、門に白い布を巻いていてくれたら絶対に会いに行くと言われた言葉。その言葉を希望にするため主人公は窓を開けバルコニーに白い布を結んだ。
そしてイ織が出かけた日、主人公はイ織に睡眠薬を飲まされたため動けなくなって泣いていたのだが、その時聞き慣れたあの優しい声が聞こえ目を開ける。するとそこにはブランの格好をしたシドがおり「貴女を盗みに来ました」と微笑み優しく抱き上げてくれたのだった。
その後、主人公はシドによりユアン・カーゾン卿の屋敷へと連れられてきた。ユアンはイギリスの貴族であり伯爵。そしてシドのパトロンであったため、ユアンの屋敷でちょこちょこお世話になっていたのだ。ユアンとパーティーでも少し面識があった主人公は安心するものの、優しいユアンやシドが自分のせいで傷つくのを恐れ、屋敷を出ようとする。しかしユアンもシドも主人公のために協力したいと申し出てくれ、結局頼るしかほかなかった。
主人公の血や父親と母親の研究のことを全て二人に話すが二人ともそれでも協力してくれると言い、さらにシドはここに来てから今まで以上に優しく甘やかしてくれた。褒め言葉や口説き文句に、そして甲斐甲斐しく世話をしてくれるシド。それらは異国人であるシドにとっては女性にする普通の仕草なのかもしれないけれど、主人公は翻弄され、そしてときめいた。優しくて頼りになって美しいシド。強くて男らしくて、そして美しい蒼い瞳のシド。もう主人公は完全にシドに恋していた。
そんな甘い日々を過ごしていたが、とある日シドはいつものように主人公におやすみのキスを額にしようとしたため、主人公は目をつむった。しかし彼の唇は額ではなく、主人公の唇へ。驚く主人公だったがシドから口移しで何かをうつされ、そしてそれが睡眠薬だと気づいた時にはもう、意識はなかった。
そして目を覚ますとそこは知らない場所。しかもなんとイ織と周防がいた。そしてそばにはシドが。そしてシドはなんとイ織に対し、非徒の研究内容と主人公を交換する取引をするために来ていたのだ。ショックを受ける主人公に浴びせられた事実は、シドがソビエトのスパイであること。そして非徒の研究を奪おうとしていたこと。
しかしそこになんとイギリス軍を連れたユアンが登場し、秘密裏に2国で非徒の研究を使おうとしていたことがバレ、研究内容は一時イギリスで保管することになり、イ織たちも捕まったのだった。
結局、シドは取引をするふりをし、ユアンに頼み、研究内容を奪おうとしていたのだ。それは他の国へあの薬が渡らなくするためと、非徒の治療薬を作るためであった。
しかし主人公の血のことがすべての国にバレた今、この先主人公は何に脅されるか、そしてまた血を奪われることがあるだろうと予想された。そこでシドはまた主人公の元へ現れ、今度こそ本当に自分に盗まれて欲しいと言った。この先の未来、ずっと一緒についてきてほしいと。その姿を見て、主人公はかつて幼い時に自分を励ましてくれた天使様を思い出す。そう、シドはあの時からその研究の治療薬を求め香月夫妻の元を訪れていたのだが、すでに亡くなっており、そして残された一人の少女を見て放っておけず毎日励ましていたのだという。シドもまた家族を失い絶望していた時だったため、死んでしまった妹と同じくらいの年頃である主人公が日に日に元気になるのがとても嬉しかったのを覚えていた。
そんなシドの手を取り、二人で逃げることを決意。船に乗りアメリカへと逃げようとする二人だったが、そこにユアンが現れた。そしてユアンは言った、あなたこそが我が祖国の皇帝であると。そう、ユアンもまたロシアから亡命した一人で、そしてシドもロシアから亡命した皇族であるラスカー・アレクサンドロフだった。ずっと祖国が復活することを願っていたユアンは今こそ主人公を使いソビエトを滅ぼそうと言ったきたが、シドもといラスカーはもう傷つく人を見たくないと、戦いたくないと言った。そしてソビエト側の人間にラスカーが生きているとバレてしまい、ラスカーを撃とうとするがそれをユアンが庇って撃たれ、そして亡くなってしまった。
皇族たちは皆殺され、残ったのはラスカーとユアンだけ。最後の従兄弟であったユアンの死に、ラスカーは声を上げて泣いた。
その後、主人公とラスカーは船の上にいた。ユアンを弔い、遙にもお別れをし、無事にサンフランシスコ行きの船に乗ったところでラスカーは疲れて寝てしまい、主人公の膝枕の上にいた。目を覚ますと、人の前であれだけ泣いてしまったことを思い出して赤面するラスカー。その姿が可愛いと思える主人公はラスカーの顔を無理矢理こちらに向けて見ようとすると、ラスカーはますます赤面した。
そして起き上がり主人公の頬に優しく手を添えて、愛していると言いキスをしてくれる。ジャーナリストでスパイで、そして皇族で。そんな自分を何者でもなくただのシドとして愛してくれた主人公を、両親のことや血のことは関係ないと同じように愛していると、一生を誓ってくれたのだった‥。

(蝶々事件ラブソディック)



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