真紅の焔「筧 十蔵」



●筧 十蔵/カケイ ジュウゾウ(cv鈴村健一さん)
真田家家臣で、信繁が九度山に入る際共に入った。その後は忍としても修行し、銃や火薬の扱いに詳しい。見た目も美しく、礼儀正しく、女性にも優しい。







〜ネタバレ〜
共通ルートから個別ルートへ分岐↓
真田丸を作り始めた頃、九度山にいたメンバー達との関係も少しずつ変わってきた。
特に、九度山にいた頃から面倒を見てくれて優しかった十蔵は、巌流との戦いを経て主人公の忍びとしての力も認めてくれていた。そのため以前よりも更に主人公に目をかけてくれるようになった。以前は主人公から質問するとそれに優しく答えてくれるような感じだったが、最近では自ら主人公に沢山の事を教えようとしたり、困っている時もすかさず手を差し伸べてくれるようになった。
だからこそ主人公は尚更十蔵に懐いていたのだが、十蔵は紳士だが少し天然、そのためパーソナルスペースが狭くて近いことが多かった。本人は気にしていないのだが、十蔵の綺麗な顔立ちに至近距離で見つめられるとどうしても主人公は緊張してしまうのだった。
とある軍議の日も、信繁の事を理解し上手く言葉を運んで補佐する十蔵に憧れを感じ見つめてしまう。するとそれに気付いた十蔵はこちらを見つめ、子供にするかのように優しく微笑んでくれた。その大人で余裕があって優しい態度にまた胸は高鳴ってしまう。
しかも信繁の役に立ちたいという主人公の肩を持ってくれた十蔵に、信繁が「じゃあお前が面倒を見ろ」と言ったことにより十蔵の仕事の補佐をすることになってしまった。
それからというもの十蔵と一緒にいる時間は尚更増え、夜の見張りの時寒さに震える主人公にすぐ気付いた十蔵は主人公の手を握って手作りカイロをくれた。いつどこでも気が利いて優しい十蔵と二人、暖かい気持ちになる。
しかしそんな時、怪しい人物を見つけ二人は戦闘態勢に入る。裏柳生が攻めてきたのだ。二人は応戦するもののその兵達は死人が蘇ったものであり、沢山の数がどんどん押し寄せてきた。銃の扱いに長けている十蔵だったがこのまま二人ではきっと負けてしまうという予感に、主人公を逃がそうとした。しかし信繁にとって十蔵がいかに大切な存在であるか知っている主人公は、いやだと言った。十蔵を守って一緒に逃げるという選択に、十蔵は複雑な思いを抱えていた。
しかしそれでもやはり二人の疲労は極限に陥る。何か策はないかと考えた時主人公はピンときてしまった。十蔵の輪を回せば力が増えるということに。しかし反動で何が起きるかわからないため主人公は迷ったが、十蔵は迷わず回して欲しいと頼んだためついに輪を回した。するとみるみる力があふれ、そして特殊能力として十蔵は数キロ先までも視える目を得た。
しかし最強となった十蔵の前に現れたのはあの鬼火衆で女の姿をしたグラシアだった。装束を脱いだグラシアはとても妖艶で美しく、女の主人公までもが魅了された。しかし十蔵は違っていた。魅了されるどころか迷わず引き金を引いた。誰にでももてはやされてきたグラシアにとってそれは驚き以外の何物でもなく、逆に十蔵に興味を持たれてしまう。すぐに去っていったグラシアだったが彼女との会話で徳川軍が豊臣に間者を送り火をつけ撹乱しようとしてることがわかる。しかしそれを逆手に取った十蔵はわざと罠に引っかかったふりをし、信繁たちに作戦を伝え、真田丸にて徳川軍を迎え撃った。
先回りしていたためこの戦は勝利。徳川は沢山の犠牲を出し、尻尾を巻いて一時撤退した。
十蔵と主人公の起点のおかげで納めた勝利に、信繁たちに褒められる主人公。十蔵と二人で体を休ませろと言われ、二人で静かに真田丸を見つめていた。十蔵はこの度の戦いで主人公は本当の仲間になったと言い「筧さん」ではなく名前を呼んで欲しいと言ってくれ、主人公は「十蔵さん」と呼ぶようになった。
その後、真田隊のおかげで勝ち、気を良くした豊臣は勝手に主人公たち真田忍のことを「真田十勇士」と名付け、調子に乗って徳川を挑発。それに怒る徳川軍は嫌がらせのように大砲を毎日何度も撃ってきた。その結果、大砲が淀の方の侍女達数名の命を取り、恐れた淀の方が徳川との和議を結ぶと発表。その交渉を信繁に頼むと言ってきた。
ただでさえ講和など反対であったが結局認められず、交渉は十蔵が信繁の代わりに行うことになった。
十蔵の補佐につけられた主人公は交渉の場に共に赴いだが、徳川から寄越された人物はとても美しい「お光」という女性だった。その美しさに誰もが魅了されるというが、十蔵は相変わらず物怖じはしない。しかも主人公はその女性があのグラシアと重なって仕方ない。しかし十蔵は主人公の疑いを遮り、交渉をし始める。
徳川からの内容はほぼ豊臣にとってマイナスなものしかなかったが何故か十蔵はそれを飲むという。そしてその代わり信繁を徳川に引き抜いて欲しいと根回しし始めたのだ。そんな事は聞いていなかった主人公は驚き、そして信繁の信念に反する発言に文句を言いたかったが、十蔵はただ信繁を生かしたい一心だった。このまま戦えば豊臣は必ず負けると、だからこそ何をしてでも生きて欲しいから徳川についてほしいと。
十蔵を気に入ったお光は十蔵の願いを受け入れてくれ、結局和議はスムーズに結ばれた。
そのため真田丸やお堀は埋め立てられることになり、大坂城は丸裸の状態になり、しかも信繁が徳川に引き抜かれる話も無くなってしまった。
焦る十蔵は次の策に出るものの、その間、十蔵の体がおかしいことに気づき始める。そう、輪の影響で十蔵は「感覚異常」という代償が与えられていた。それは手の震えや距離感の感覚、そしてまれに、音も聞こえなくなるという。ショックを受けた主人公は輪の回転を抑えようとするものの、少ししか出来なくなっていた。
そして何故そこまでしても十蔵は信繁を護りたいかな話をポツポツと話し始めた。
十蔵の母は体が弱かった。そのため妻としての務めが出来なかったため、父親は他の女に夢中になっていた。しかもその女は父親を騙し、筧家の財産を奪った上に父親を殺した。その為家の名に傷がつき誰も手を差し伸べてくれなかったが、唯一救ってくれたのが真田家だった。そのため十蔵は信繁に忠誠を誓い、命に代えてもお守りすると決めていた。
だからこそ十蔵は信繁を想っていたし、父親のことがありじつは女が大嫌いだった。そのため十蔵の優しさは全て偽りだったのだ。女を信用出来ないが、女だからこそ体良く優しくして使っている、そんな人物。その事実を知りショックを受ける主人公だったが、十蔵は主人公だけはもう背中を預けられる存在になっていると言ってくれ、それを信じたいと思えた。
そんな時グラシアがまた攻撃を仕掛けてきた。グラシア本人は体術に優れていないものの、彼女の能力は男を魅了する能力だった。それは生きていても死んでいても、彼女を美しいと心酔したら最後思うままに操られてしまう。女嫌いな十蔵にはその攻撃がきかなかったものの、一瞬だけグラシアの術にかかってしまうとグラシアは「今まで真田への忠誠しかなかったのに惑わされるという事は、恋でもしたのか」と囁いた。主人公が十蔵の輪を無理やり強めると術はとけ、取り敢えずは危機を脱出したものの、そこで新たに現れた安房守によりまた事態は一変。装束を脱いだ安房守はなんと、信繁の父である昌幸だったのだ。しかも昌幸は十蔵に「またお前はワシを殺すのか、あの時と同じように」と言った。
結局姿を消したグラシアと安房守だったが、安房守の言葉がどうしても消えない主人公。そして十蔵はついに、本当のことを話す。
昌幸が裏柳生に狙われていた時信繁も昌幸を護ろうといつもそばにいた。しかしそれではきっと昌幸もろとも信繁も死んでしまうと思った十蔵は、だったら昌幸一人の時に暗殺されるのが一番だと思った。だからこそわざと昌幸一人の時に裏柳生に侵入を許したのだが、なんとその時危険を感じた主人公の父である望月六郎が昌幸を助けようとして共に死んでしまっていた。
そう、直接出なくても父を殺したのは、十蔵。主人公にとっての仇は、十蔵だったのだ。
真実を知り泣き崩れる主人公。そして胸の中に憎しみだけではない悲しみが生まれたことにより気づいてしまう。私は十蔵さんが好きなんだ、と。
全てが終わったら自分を殺してくださいという十蔵は、それまでもうそばに来ないでほしいと言って去ってしまった。
その後、十蔵には避けられたままの日々が続く。その間も信繁の警護をしながら思い出すのは十蔵のことばかり。最初の頃は嘘偽りで接していたと正直に言った十蔵、けれど努力をちゃんと認めてくれた十蔵。背中を預け戦ったあの日々は決して嘘じゃなかった。そして思う、父上ごめんなさい。私はやっぱりあの人を憎めない、と。
そんな時不穏な気を感じそれを探るとそこにはやはりお光がいた。そしてお光のそばには十蔵が。前回の戦いでお光がグラシアだということをすでに十蔵も気付いたようで、お光に対して裏もなく接していたがお光は「十蔵様が妾の夫となってくれれば信繁を傷つけないと約束する」と言って迫っていた。そして十蔵はついにその約束を受けると言ったのだ。喜ぶグラシアはすぐに十蔵に近づき、なんと口付けを迫る。その二人を見た主人公はついにプツンと、キレた。
全身を込めて猛ダッシュする。もう止まらない怒りと憤りに叫び声をあげてなんと十蔵に飛びついたのだ。そのタックルのお陰で口付けはしないで済んだものの余りの勢いに十蔵と主人公は吹っ飛ぶ。更に混乱する十蔵の胸ぐらを掴んだ主人公はいい加減にしろと怒鳴りつけ、そして「あなたが好きです!」と叫んだのだった。また勝手に自分だけ犠牲にして信繁が喜ぶのかと、もう嘘はつかないでほしいと。十蔵は驚いて言葉が出なかったが、それを打ち破ったのはグラシア。怒り狂ったグラシアは主人公を引き剥がし、なんと頬に平手打ちをかまし叫ぶ。しかし負けじと主人公もまたグラシアの頬に平手打ちをかましたのだった。
そこからはもう女と女の戦いで、平手打ちの繰り返しと罵倒と取っ組み合い。あまりの恐ろしさに十蔵はおどおどするしかなかったが主人公が、十蔵は本当はとってもめんどくさくて偽物の優しさを振りまく人、それを知らずに十蔵の何を知っているのかと、そんなことで好きだなんて言ってる人に渡さないという言葉に、十蔵もまたグラシアに「この話はなかったことに。次に会うときは戦場で」と言った。
悔しがりながらも去っていったグラシア。そして気まずくなった二人だったが、十蔵は「あなたと離れていた間寂しくて仕方なかった、ずっとそばにいたい」と言ってくれたのだった。
その後、また戦が始まり戦さ場に現れた安房守を討つ事が出来た十蔵。ボロボロになりながらも主人公を信じ、背中を預けていた様を見た安房守は十蔵の事を成長したなと褒め、主人公のことも「大義である」という言葉を残し霧になって消えていった。
安房守の正体と、彼を討ったことを信繁に伝える二人。信繁は父親の最後を看取ってくれてありがとうと言ってくれたのだった。そして次こそが本当の最後の戦になると、信繁は十勇士に赤の甲冑を用意し、最後は忍びではなく侍として戦ってほしいと言った。
生死を分ける戦を前の夜に二人きりになる主人公と十蔵。すると十蔵はついに主人公に本当の想いを伝えてくれる。それは嘘偽りのない強い強い抱擁と口付けに、「愛しています」という言葉だった。
そしてついに最後の戦で信繁が主人公と十蔵に与えた任務は「秀頼様を脱出させること」だった。信繁の想いと覚悟をもう十蔵は反対することはなかった。最期まで一緒にいられないことを恨まれてもいいという信繁に、また必ず再会することを誓って。
そして二人が秀頼の元へ行くとやはりその前にはグラシアがいた。もはや執念ともいえる形相で戦うものの、十蔵がグラシアが人間に化ける方法を見つけ出し、人間の姿になった時に銃を打ち込んだため、勝負に勝てた。もはや勝ち目がないと思ったグラシアが生前愛されなかった細川ガラシャだと正体を明かす。夫に愛されず最期に助けに来てくれなかったという恨みが、愛してくれる人を探す亡霊となってしまったこと。しかし細川ガラシャが亡くなった後夫である男は妻を殺されたことで怒り戦を起こしていることは有名で、その話をグラシアにするとグラシアは愛されていたことに気づき、涙した。そして満たされた気分になったグラシアは、他の鬼火衆たちにも悲しまない想いのまま最期を迎えてほしいと願うと、他の鬼火衆たちがグラシアの元へ集まった。
一方、グラシアとの戦いを終え秀頼の元へ向かう十蔵と主人公だったがそこにはやはり白蓮がいた。そして白蓮はなんと淀の方の子供だったことを明かし、ずっと来てくれるのを待っていたこと、この大坂城は自分のものになるはずだった無念を唱え、秀頼を刀で殺そうとするが、とっさに主人公がその間に入る。斬られると思った時主人公の前に現れたのはなんとグラシアだった。代わりに斬られたグラシアだったが、そのグラシアの優しさに虜にされたという他の鬼火衆たちも白蓮にはもう従えないと謀反を起こす。そして十蔵は輪を最大に回し白蓮との戦いに挑む。主人公が気を貯めた苦無を白蓮に投げ、白蓮の輪を暴走させ、十蔵がとどめを刺した。
白蓮が消えるとグラシアたちも消えていく。けれど彼らは満ち足りた笑顔で消えていった。
その後無事に秀頼を大坂から出すことに成功。そして生きて、信繁と必ず再会すると宣言した秀頼は一段と強く見えた。
そして数ヶ月が経った。やはり戦さは豊臣の負け。しかし主人公と十蔵は穏やかに山道を二人で歩く。薩摩にいる秀頼に会いにいくためだ。未だに十勇士たちや信繁が生きているかどうかはわからないが、二人はいつまでも彼らを待っている。十蔵の手の痺れも未だ後遺症が残ったまま。
信繁の瞳のように真っ赤に燃える紅葉を見ながら二人は肩を寄せ合い、ずっと一緒にいようと幸せを噛み締めた。

(真紅の焔)



前のページへ 次のページへ


元カレたちのストーリー (prof) (bkm)

-エムブロ-