妖かし恋戯曲「晃征」



●晃征/KouseI/コウセイ(cv立花慎之介さん)
フォックス・イヤーのリーダー兼ベース担当。23歳。冷静沈着で真面目で寡黙。無口だが気が利いて優しい一面があり、頼りになる。しかし真面目すぎて融通が利かない所も。








〜ネタバレ〜
(ハッピーエンド)
フォックス・イヤーのマネージャー補佐になることになった主人公。流れに身を任せ、しょうがなく始めることになった仕事だったが、与えられた仕事を蔑ろにしたくはないと真面目に頑張った。
そんな主人公にいち早く気づいてくれたのが晃征だった。分からないながらも頑張ろうとしてる主人公に助け舟を出してくれる晃征。言い方がきつく、命令するかのように淡々と仕事を頼んできたのだが、実際その仕事をやってみると、初めてこの場に来た主人公がいろんなことを分かるようにしてくれるための配慮だった。
仕事が終われば、自分が食べたかったからだと言い和菓子屋に寄り、帰り際に主人公にその袋を手渡した。自分が食べたいなど嘘をついてでも、疲れてるであろう人間を労わる優しさがあるのが晃征だった。
基本無口でクールなため分かりづらかったが、晃征はそうやっていつも人の事を見ている優しい人だと気づいてからは、晃征と話すのもとても気楽になっていった。
そんな日が続くと、晃征の単発の仕事にもよくついていくことになった主人公。そういう日は必ず晃征の車で家まで送ってくれることが日課になり、たまに一緒にでかけたりもした。
ある日の帰り道も、寄りたいところがあるという晃征は映画館へ連れていってくれた。元から映画が好きだった主人公は喜んだし、チケットを買ったり飲み物を買ったり更には寒さ対策に膝にかけるブランケットまで用意してくれる晃征。今までも感じていたが、余りにも紳士なその態度にドキドキした。
映画はロミオとジュリエットだった。とても感動的なお話で、主人公は終わってからも興奮冷めやらずといった感じで晃征に感想を話していた。家柄も何もかも捨てられるほどの恋、それに憧れると言うと何故か晃征は怒った顔をした。そして興奮したかのように家柄なんてそんな簡単に捨てられるものじゃないと、何故か怒鳴った。わけのわからない主人公と言い争いになるとついに興奮が頂点に達した晃征からはなんと、狐の耳と尻尾が生えて来たのだ。驚く主人公だったが、何故かふっと現れた螢丞が事情を話し始めた。
フォックス・イヤーのメンバーは妖狐という妖ということ。彼らは感情が高まったり興奮したり失神したりすると耳と尻尾が隠せなくなってしまうという。そのためわざとライブでは付け耳をつけているということも。そして、その妖狐の先祖が主人公のもつ勾玉に封印されており、その勾玉を得ると力が増幅するため、ずっと探していたということも。
真実を知り、螢丞は自分たちのことが怖いか?と尋ねる。しかし主人公は思った、今までの晃征の態度を知っているから全然怖いだなんて思えない事を。そしてその旨を伝えると晃征は驚いていた。それは、かつて妖狐だと知られ拒絶されたことがあったかのごとく。
しかしその事実を聞くのは野暮だと思い、主人公はいつも通りに接すると、晃征は嬉しそうに微笑んでくれた。
その後も変わらずマネージャー補佐として仕事をしていた主人公。晃征が真面目で堅物ゆえに作曲で悩んでいた時も、晃征には晃征の良さがある、全て完璧じゃなくてもいいとぶつかっていったりもし、晃征はその言葉に救われ、素直になれたりもし、二人の絆は深くなっていった。
しかしそんな時、ピエローズというバンドが狸の妖たちで結成されたバンドだと知り、そしてピエローズはフォックス・イヤーに嫌がらせを始めた。妖狐をよく思っていない輩たちだったのだが、そんなピエローズから発せられた言葉は、晃征が昔人間の女を愛したが正体がバレた時に恐れられ、その女の記憶を消していた事件があったことだった。
それからピエローズは晃征の傷を抉るかのように、わざとその昔の女に引き合せようとしたりし、なんと晃征は動揺から歌を歌えなくなってしまった。
初のアルバムを作っている最中のその出来事はフォックス・イヤーにとってかなりの打撃であったがどうしても晃征は歌えない。このままではいけないと思った主人公は晃征のそばにいて、体と心のリラックスが出来るようにと甲斐甲斐しく世話をすることにした。
何日も一緒にいると、素直で頑張り屋の主人公の行動は晃征の心を癒していた。そして徐々に笑えるようにもなり、ついに歌を歌うことができた。その歌声を聞いた主人公は喜びを感じると同時に晃征への恋心に気付き、自然と晃征に「好き」だと伝えてしまったが、晃征は「ありがとう」と微笑んでくれた。
晃征はまだ過去のこともあり主人公への気持ちはハッキリしていなかったが、確実に主人公を大切に思う気持ちが芽生えていた。
その後も、ピエローズの攻撃で主人公を庇った晃征が怪我をしたり、怪我を癒すために二人で温泉旅館に泊まったりもした。
主人公が持つ勾玉には昔人間にそそのかされて封印された妖狐が眠っていると伝えられているため、晃征たちは人間に心を許すことを禁じられていたし、ただでさえ晃征は一度人間を愛してしまっていたため余計に釘を打たれている。しかしそれでも晃征は人と過ごし、主人公と過ごしているうちに、人間が本当に悪いものだとは思えなかったのだ。
そして晃征の主人公への気持ちは更に、深くなっていくばかり。
しかしそんな時、またピエローズの攻撃が始まる。なんとピエローズは主人公を攫ってしまったのだ。しかも主人公を助けたければ、フォックス・イヤーを解散し里に帰る事を条件とされた。
主人公がいなくなったことで酷くショックを受ける晃征。そして守れなかった自分にとても腹が立つ。その思いで漸く気づいた、主人公が掛け替えのない存在になっていることに。
だからこそ主人公を助けたかったが、助けるには里に帰ることを条件とされていたが、人間を助けるために里に帰ったなどと知られればメンバーは里を追い出されることになる。だからこそ、自分の想いのせいで他のメンバーまで迷惑をかけることになると思い、一人で全てを背負って助けに行こうとする晃征だったが、それに気づいていたメンバーは、自分たちを頼れと、お前の味方だと言ってくれ、胸を打たれた晃はみんなに頭を下げ、あいつのことが好きだから助けたい、だから力を貸して欲しいと言った。
すると暁仁と霞美に何やら考えがあるようで、その作戦で主人公を助けにいくことになった。
そして約束の日に対峙するフォックス・イヤーのメンバーとピエローズ。その傍らには主人公。主人公が無事なことを確認できた晃征はホッとし、そしてみんなの前で「お前が好きだ」と告白してくれた。そして晃征は歌った。主人公を想って作詞した歌を。その歌の想いに胸が熱くなる主人公は涙を流し、晃征を助けたいと願う。するとなんとその二人の想いに反応した勾玉が光り、妖狐の炎でピエローズを焼き尽くしたのだった。
おかげで助かった二人は晃征の部屋へ帰り、抱きしめあった。ずっとそばにいて欲しいと、愛していると言う晃征にキスをされた。
その後、メンバーたちにコテンパンにされたピエローズは里へ帰った。そして暁仁たちが言った作戦の裏には、過去に人間にそそのかされて封印された妖狐の話は実は愛し合った陰陽師と妖狐の話とすり替えられていたことにあった。陰陽師を愛する妖狐が自ら封印されていたため、その想いと立場が同じ主人公と晃征の力で勾玉が反応するという作戦。結局賭けではあったのだが、上手く二人の想いに反応してくれて助かったという。
アルバムの売れ行きも良く、ようやく休みを取れたメンバーたち。主人公と晃征も二人でデートを楽しむことに。最近では気持ちを素直に出すようになった晃征はよくからかってきたりもし、二人はいつも楽しかったが、妖狐と人間がいつまで一緒にいられるのかはわからない。そして今でもまだ妖狐の一族からの監視はされている。けれど二人はそれでも離れられない、愛し合っているから。そう思う二人はまた幸せそうに休日を楽しんだ。

(妖かし恋戯曲)



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