話題:二次創作文

※話は二つありますが繋がりはありません
※似非関西弁注意





《ふるほんやの話/語り手:今吉翔一》


古本屋の本って、偶にメモや写真とか挟まってることあんねんな。

個人経営ならまぁわかるんやけど、全国展開してる店でも見かけたりすると『店員ちゃんとチェックしとんか』って内心ツッコミいれんねんけど。

ワシ、古本屋である本を手にとって開けたら、ちょうど五千円札が挟まってるページでな?
売りに出した奴も店員もチェックがザルやなー思いながら不意に札を裏返したら、赤黒い血がべったり一面についててん。
その後?棚に戻したわ、当たり前やろ。


《さいこぱすの話/語り手:花宮真》

母子家庭に同情的な奴はいる。

俺も幼少期には母親の友達やら同じ会社の人間に色々貰った。だいたいがおさがりだったけどな。

だが一時期、体調を崩したり俺に過失は全くない怪我を負うことが頻発した。
どうしてかと考えていたら、あることに気がついた。
俺の調子が悪くなるのは、決まって特定の人間から貰ったおさがりを使った時だと。

そいつは母親の同僚だった。一番母親に対して親身で協力的で、俺も数回会ったことのある人間だった。
目が細くて、常に微笑んでるような顔をした細身の女。

母親にその同僚について聞くと、どうやら俺より三つ年上の息子がいるらしかった。おさがりはその息子のものと判明したはいいが、肝心なことはわからなかった。

だがその後、例の同僚には息子などいないことが明らかになったんだ。それどころかソイツは妊娠経験すらなかった。

母親は俺の不可解な不調に気付いてたんだろうな。事実を知ったその夜に同僚から貰った物を全て処分してたよ。
勿論それ以降、俺が急に体調を崩したり怪我をすることはなくなった。

女は間もなく病気になって退職してそのまま音沙汰無し。だから未だに息子がいると嘘をついた理由も、赤黒い糸を縫って呪いをかけたおさがりを俺に譲渡した真意もわからねぇ。わかりたくもねぇがな。