話題:ドラゴンクエストシリーズ
第四十四話
夜が明け、宿を出ようとすると、セーニャたんが待っていた。
むむっ、昨夜の事でワイは男を上げたからなぁ、もうベタ惚れなんじゃねコレ!?
でもそうじゃなくて、長老が山頂で待ってるから迎えに来ただけらしい。
…ああ、なんか昨日なんか言ってたなんか。
山頂の祭壇には既にみんな集まっていて、そこで長老から前の勇者は神の乗り物に乗って、天空の聖域で武器を得て邪神と戦ったのでこの天空の笛で乗り物呼べとか言うけどどうやって?
とりあえずセーニャたんが吹いてみるが何も起こらず、ワイに吹いてみてと手渡される。
……こここれ、かかか間接キッスやな。
イヤ、変に意識するからアレだけど実際セーニャたんは何の意識もしてなさそうだしけど笛を吹く時にちょっとでも舌が出てたりしたらうわぁ、ペロペロしてるキモーとか思われたら魔王に力を奪われた時より絶望しちゃうよ…との考えが頭をよぎったが細心の注意を払い、ごくごく自然に笛を吹いたけどワイでも何も起こらず。
と思ったら急に笛が伸び、先端から釣糸のような物が垂れ下がると、大きなアタリが!
うっひょぉぉお!この池のヌシか!?
それは意外!空飛ぶクジラ!!
デケェぇぇえ!!この背中に乗って天空の園に行くのか!
なんか乗り心地も悪くないし、少しフラフラ飛んで世界を回りたい気分。
話題:ドラゴンクエストシリーズ
第四十三話
ベロニカの葬儀を終え、長老の計らいで宿を取ってもらい休むことにした。
しかし、仲間を失ってしまった事に対して頭では決意をしたものの、心は感情が揺さぶられ、眠れずにいた。
そこにどこからともなく、悲しい竪琴の音色が響く。
その音色の元を辿り、雨が降る宿の裏庭に回ると、セーニャが竪琴を奏で歌っていた。
セーニャがワイに気づきベロニカへの思いを語ると、葬儀の時は気丈に振る舞って抑えていた感情が溢れだし、涙を流す。
ワイはただ黙って、隣で見守っていた…
どれくらいの時間が経ったのか、セーニャはスッと振り向くと、姉の事で悲しむのはこれで最期と心に決めたように、髪にナイフを入れ切り離す。
風に舞う髪がキラキラと光ったかと思うと、ベロニカの杖からセーニャに向かって光の玉が揺らめき、セーニャの手の中で小さな炎となった。
そうか、ベロニカも最期のお別れをしたんだな。
そして、その思いはしっかりとセーニャが受け継いでいる。
だからもう大丈夫。
ワイも、セーニャも。
……雨はいつの間にか、あがっていた。