サウンドチェック、スネアドラムの音が響き渡る。ちょっとこもったような、あたたかみのある音。そんな印象だ。メロディックバンドのようなカン、と突き抜けるような音ではない。ギター・ジェノサイド小杉は下ネタ大王、ベース相良はツイッター廃人…きちんとした情報を知りたいあなたは公式Twitter(@altra_official)へ、というなんともキャラの濃い現存メンバーからどんな音が発せられるのであろうか。それを支えるドラムなのであるから、浮かれてはいられない。ずっしりと鎮座するようなドラムであろう。
そういう点から、アッキーのドラムは抜擢すぎるドラムであると感じていた。しかも、今日でそのサポートも終わりだ。しかし、バンドというものは思いもしないところで化学反応を起こすものだ。もしかしたら、私の予想を破り捨てるようなライブをするかもしれない。期待で胸がいっぱいだった。だが、これは私の幻想にすぎない、それもたしかだ。
3月31日。明日が終われば年度も変わる。最初で最後のこの景色を目におさめようと、わくわくしていたあの日から一ヶ月がすぎた。5月3日。こんにちは、新しいドラマー、ZAKA石坂。「ATTACKER」を引っ提げて、これから各地にツアーへ。そんな初日。11月に前ドラマーが失踪したあの日の再公演だ。
強烈な風が身体に当たってきた。びっくりした。なにが起こったのかと思った。風など起こっていないのに、当たってきた。痛かった。頭の中が真っ白になる。爽快感の風ではない。もっと重たい、力のこもった風。感情の牙を鋭く尖らせた風だ。
これがALTRA&CRYOGENICか、と。新曲だからこそ伝わる。これが相良の求めていたALTRA&CRYOGENICなのか。まさに「ロック」という言葉がふさわしい。先入観が壊されていく。誰しも1つは、心の奥底にしまっておきたい嫌な思い出というものがあると思う。それをかき消される。毟り取られるともいえるかもしれない。曲が1曲終わるごとに「なんだったんだ、この気持ちは・・・」と不思議な気持ちに包まれる。だがしかし、心はどこか晴れていくのだ。
ロックの定義というものは人それぞれだと思う。だが、今市場に出回るロック、邦楽ロックの概念を一筋縄で意味づけるバンドではないと私は考える。メタルっぽいロックというか。どちらにも偏り過ぎないからこそ聞きやすい。そして、受け入れやすい。それを可能にしているのはやはりZAKA石坂のドラムだ。一点を集中してみていてはもったいないし、一点を集中などさせてもらえない。次々に生まれる見せ場。ギターが、ベースが絡み合う。そして、突き進んでくる。
一番記憶に残るのは、あの日のように相良の弾き語りから始まった入場シーンや、アンコールでの相良へ向けたジェノサイド小杉の言葉かもしれない。もしかしたら、突如アンコールで現れた奈緒子(相良の妹設定)かもしれない。その中で、私が一番記憶に残っているのは、入場からずっと舞台袖で見守る前ドラマー、アッキーの姿だった。写真を撮るために前方にあった空きスペースを利用させてもらったから、たまたま視界に入った。今までのALTRA&CRYOGENICがあって、これからのALTRA&CRYOGENICがある。はけるときに、メンバー全員へハイタッチしていた。なんだか心がキュッとした。
相良の見つけた「理想のALTRA&CRYOGENIC」、なるほど。まだ硬さもある。池袋手刀が満員になるなかでのライブ、緊張もしただろう。このツアーで、彼らがどのようにALTRA&CRYOGENICを構成していくのか、今注目のバンドである。詳しくは自分の目で、心で体感してほしい。
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