鶏芝居

鶏が屠殺されていた。
首のない鶏は血をリズミカルに吹き出しながらそのままふらふらと歩いた。

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子供の頃処刑を見たことがある。
まるでお祭りのように人々が騒いでいた。
僕は夢中になった。
何度も処刑場には足を運んだよ。

子供がヒーローに憧れるように、僕も処刑人というショーマンに憧れた。でも処刑人には処刑人の一族にしかなれないらしい。

だから僕は個人的にショーマンになることにしたんだ。
観客は処刑される君自身。
それと世界全部。

次の日の新聞の一面には僕のショーが載っている。

甘い蜜みたいな快感を覚えたよ。
でもそれを堪能しながら、頭の隅で
この快感が一過性のものであると感じてた。

そして一度味わったものは、次はもっと美味でなくては我慢できない。
次の次、また次
僕は口から蜜を溢れさせながら次を探す。
そうしてかき集めてさらに貪り続ける。

人に注目されるってことはまるで毒みたいだ。
気づいた時にはもうやめられない。
あっという間に致死量になる。

そのことに気付いても

The Show Must Go On
「ショーは続けなければならない」

処刑されてるのは君なのか、それとも僕なのか。
お互い無駄だね
もがいてもあがいても
今夜も幕が開く