永訣の朝

高校の後輩の事を思い出していた。
昔、国語の教科書に載っていた、宮沢賢治の永訣の朝に、挿し絵を勝手に描いたことがある。あんまり胸に残ったから、雪を溶かして妹に飲ませる兄の絵を描いた。
後輩がひとり、その絵を気に入ってくれたのかずっと見てくれるので、教科書のそのページを破いてその子にあげた。

誰かのために絵を描くのは幸福だと思った。