まるで赤信号渡るだけだ。
渡ってはいけないとわかっているのに、その場の勢いで飛び出して、結果事故って痛いなーよくないなーとは思うのだけれど、渡っている瞬間のシンプルなスリルや解放感が忘れられなくて、また同じ場面になった時に、この前の痛さを忘れたふりして渡ってしまう。

繰り返すごとに痛さを忘れた気になって、じくじくと責め立てるように膿んでいく傷跡が愛しくなる。
愛しくて、その感情さえも自己嫌悪への一歩だから、ふさがりかけたかさぶたをめくってしまいたい衝動で。

よくないことなのもひっくるめて、本当に生産性のない愛の上でひとり自分を抱き締めては泣いている。
泣かないでいるための薬はとっくに抗体ができてしまったようだ。














手を差し伸べられても振り払ってしまいたくなる。
実際に振り払ってもいる。

声にならない叫びが胸の中で渦巻いてて、衝動に突き動かされるかの如く、また飛び出しては傷ついて。
全部自己責任なのは重々承知ですが、やっぱり愛せないのはもう生まれ持った罪深さなのではないか、と責任転嫁をしたくなる夜夜中は、もっともっと傷つかないと足りない気がして、両手を挙げながら底無し沼にずぶずぶと入水自殺していく。










魂の行方を知るために、くゆらした煙草はやっぱりどこにもいけないまま霧散して、今の私を見ているかのようだ。

会いたい、愛したい、傷つけたい、傷つきたくない、嫌いになってほしい、好きなってほしい、傷つけたくない、愛してほしい、救われたい、救われたくない、惨めだ、抱きしめたい、縛ってほしい、嫉妬してほしい、束縛しないで、好きになりたい、好きでいたい、ひとりにしないで、かなしくなりたくない、さみしい、手を繋ぎたい。

とりとめのない矛盾する感情たちが言葉にならないで消えていく。
あなたの一番でいたいけど、私の一番にはなれないかもしれません。私のことを好きでいてほしいけど、嫌いになるくらいなら最初から死ぬほど憎んで忘れない存在にしてください。手を掴みたいとは思いますが、離すことがこわいので掴めません。好きで好きでたまりませんが、この関係を終わりにするくらいなら言葉を飲み込んで毒素を貯めます。


痛いくらいに勝手に傷つけば、もうまもなく終点がくるでしょう。

終わりにするくらいなら、ずるずると、ずぶずふと永遠のかなしみの中で向こう十年くらい書き続けることのしあわせを享受すれば、少しは救われるかな、だなんて甘い考えを一番に捨てるべきだ。




女である自分と決別できないまま、明日が来ないことをずっと祈っている。

本当のことを言えば、赤信号で引き返す勇気でも、傷つくことへの慣れでもなく、引き止めようとする手をつかんでそのまま一緒に落ちるところまで一緒に落ちてくれる人を探している。