はなぞの

2009.6.20 04:17 [Sat]
[泉彰&イサ花]ふたつ下の続き
→2.真っ赤だった

面白いくらい、彰紋の顔がかあーっと赤くなっていく。

「ちっ…ちが、ちがうんです…泉水殿は、従兄です、から!」

よくわからないことを言いながら、それでも頬が熱を発していることを自覚しているのか、分厚い衣の袖で必死に顔を隠そうとする。
泣いている紫姫を彷彿とさせるその姿が可愛くて、花梨はつい加速させるようなことを言ってしまう。

「私の世界はイトコ同士って結婚できるんだよね」
「まあ、寺にいると男同士だってよく見るしなあ」
「あ、わわ…」

ノリのいいイサトがさらに付け加えると、彰紋は見たこともないくらいオロオロとうろたえる。
さすがにやりすぎたかな、と思って花梨は彰紋の背中をさすった。

「落ち着いて、彰紋くん」
「今更そんなに慌てなくても、バレバレだったぜ…」
「え!」

イサトの言葉に、落ち着くどころか、ビクリと体を硬直させたまま、彰紋が動かなくなってしまう。
こんなに表情をころころと変える彰紋は初めてで、花梨は自分の思っていた以上に彰紋は泉水のことが好きだったんだな、と改めて思う。

今日は朝から出仕で泉水殿が来られないそうです、と伝えに来たのは彰紋だった。
少し寂しそうに微笑む彼を放っておけなくて、そのまま同行のお願いをしてしまった。
午前中に図書寮でかわほりを封印して、いまは朱雀門。
内裏の方に居るときはそうでもなかったのに、門の近くに来たら、彰紋が急にそわそわしながら辺りを見回す。
そういえば以前泉水と来たとき、式部省は朱雀門の近くにあるって言ってたような気がする。
そう思って、何気なく好きかと訊いてみたのだった。

「神子、ご機嫌よう」
「あ、泉水さん!こんにちは」
「よっ!お前、仕事はいいのかよ?」
「もっ泉水殿…っ?!」

三者三様の反応。
最後の人は、明らかに動揺しているけれど。
少し所用で出掛けるところなのです、と泉水は律儀にイサトの質問に答えて、彰紋に向き直った。
心配そうに彰紋の顔を見つめる。

「彰紋様、お顔の色が優れませんが、どうかされましたか…?」
「い、いえ、何でもないのです!…あ、それより泉水殿、」

話題が変わると、二人ともいつもの穏やかな表情に戻った。
いや、いつもよりも幸せそうな笑顔かもしれない。
彰紋が一生懸命話をして、泉水は笑顔で相づちを打つ。
やたら丁寧な二人の敬語トークをBGMに、花梨はイサトの髪を引っ張って、小声で話しかけた。

「イサトくん、もしかして泉水さんも…」
「ああ、オレも思った」

花梨とイサトを置いてきぼりに、二人の会話が進んでいく。
花梨には会話の内容の半分も理解できなかったけれど、二人の楽しそうな笑顔が嬉しい。

「幸せになれるといいね、二人とも」

ほほえましい従兄弟を眺めながらそう言った花梨は、気がつかなかった。
隣のイサトが、彰紋にも負けないくらい頬を染めていることに。

「……お前はまたそうやって、人の心配ばっかり…自分のことにも気づけよな」
「え?」
「な、何でもない!」
「えーっ?どうしたの?」

さっさとそっぽを向いてしまったイサトの法衣を掴むと、ふわりとイサトの香りが掠めて、頬が熱くなる。

「ねえ、イサトくん、こっち向いて」






「…イサトたちはいつになったら互いの気持ちに気づくのでしょうね…じれったいです」
「ええ…ですがいつか、幸せになってくださるといいですね」
「…はい」

2009.6.18 20:36 [Thu]
[彰花]ひとつ下の続き
→1.真っ青だった

彰紋の目が泳いで、落ち着きをなくす。
言葉を探すように口を開きかけては閉じ、また開くけれど、一向に声が出てこない。

「あれっ?なんか変なこと言っちゃった?」
「そりゃ、いきなりこんな所でする質問じゃねぇだろ…」

予想以上の反応に花梨が驚くと、イサトが彰紋の肩をなだめるように叩きながら、呆れたように溜め息をついた。
こんな所とは、紫姫の館の庭。
すぐ向こうに見える簀縁には、頼忠や勝真を始め八葉のほとんどが揃っていた。
もちろん、話題の人物である泉水の姿も見える。

「だって彰紋くん、泉水さんのこと、いっつもチラチラ見てるんだもん」

これは間違いない。
八葉みんなでいれば彰紋は泉水を気にして、その二人の組み合わせで出掛けると、彰紋の様子が少しおかしいのだ。
ずばり指摘すると、彰紋はふるふると首を振った。
揺れる髪がちょっと可愛い、なんて思ってしまう。

「いえ、それは…!もちろん嫌いではありませんが…特別、その、好き…というわけでは」
「じゃあなんで泉水のこと見るんだよ」
「あ、え…っと…」

口ごもる彰紋を、イサトが怪訝そうな表情で覗き込む。
彰紋が謝ろうとしたとき、怪訝な表情がにかっと笑顔に変わった。

「ま、いいや!そのうち教えてくれよな」
「…はい!」

ふわっと笑い返す彰紋の頭をぽんぽんと叩いて、イサトは雪の上にザクザクと足跡を残しながら簀縁に向かって行ってしまった。

「あーあ、イサトくんにいいとこ取られちゃった」
「花梨さん?」

突然あんなことを訊いてどうしたんですか、と言いたげな表情を向けられる。
理由なんて一言で言ってしまえば終わりだけど、なんだか恥ずかしくて、回りくどく言ってしまう。

「彰紋くんは、人に『好き』をよく使うのかと思って」

あなたが大好きなんですよ。
まだもみじの葉が色づいていた頃、彰紋に言われた言葉が耳に残っている。
それがどんな意味なのか聞けなくて、試すようなことをしてしまった。
あ、もしかしてひどいことしちゃったかな…と思い、彰紋に謝ろうとする。
途端、冬の空気に冷えた指先が、暖かい何かに触れた。
それは、彰紋の口唇。

「使いませんよ。大切な、僕の天女以外には」
「…っ!!」

かーっと頬が熱くなるのがわかる。
ああ、もう、八葉のみんなが見てるかも知れないのに。
それでも手を振り払えないのは、花梨も彰紋と同じ気持ちでいるから。

「ふふ、初めてやきもちを妬かれてしまいました」

悪くないですね、なんて嬉しそうに言う彰紋に、花梨は自分が耳まで真っ赤になっていくのを感じた。

2009.6.18 20:34 [Thu]
彰紋さまをいじって遊ぶ会
「彰紋くんって、泉水さんのこと好き?」
「は、ええっ?!」
「ぶっ?!き、急になに言ってんだ…?!」

花梨が疑問をぶつけてみたら、彰紋もイサトもひっくり返りそうなほど驚く。
あ、しまったかな…と思ったときには、彰紋の顔は


1.真っ青だった
2.真っ赤だった

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