がっぺ怖ぇぇ話!画像もあるっぺ!


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ありがとう


今日の夕方も蒸し暑くて、地元のスーパーはいつも通り賑わっててさ。




思わず寄ったよ。


特売のトウモロコシと枝豆売り場には、主婦が沢山いてね。


「その中に、母さんいるんじゃないか。」


って馬鹿げた子供みたいな考えに、変な期待を持っちゃって。


「淳、トウモロコシ買って来たよ。」

「茹でてあげるからね〜っ!」


って、一昨年の夏みたいに笑う母さんの顔が見たかった。


こんなクソ暑い夏に、リビングで寝っ転がりながらトウモロコシを食う俺。


そんな俺の行儀の悪さに、小言を言う母さんの声が聞きたかった。


ああいうのを「本当の小さな幸せ」って言うんだろうね。


けど小さすぎて、当たり前すぎて、見えないんだよ。


本当は馬鹿みたいにキラキラしてて、素晴らしいものなのに。


居なくなってしまってから、初めて分かるんだ。


それがビー玉みたいに色んな色があって、綺麗で素朴で、キラキラしてるって分かるんだよ。


きっと。








もう今日でここに書き込むのは最後にします。


皆、色々と辛い事を乗り越えての「今」があるのだと思いました。


だから俺だけ弱くて、うじうじしていてはいけない。


皆が通る道なんだよね。






けど、今だけ俺の弱さをどうか許してください。






昨日の今日では強くなれない…。












親父が俺に封筒を渡してきました。


「葬式までに必ず読んでおけ。」


って。


親父はその中身を知らなかったらしい。


姉ちゃんの分もあるって言っていたから、母さんからのものだってすぐに分かった。


俺は本当に弱い。


自分はもっと強いものかと思っていたら全然違った。


弱すぎだ。


その封筒の中身を読んで、泣きじゃくった。


今も涙が止まらない。


どうしてここに書き込んでいるのかも、よく分からない。


誰かに聞いて欲しいからかな。


誰かに何か言って欲しいからかな。






淳へ。






お母さんが今までこんな手紙を書く事なんてなかったから、さぞかしビックリしているでしょう。


淳も知っている通り、お母さんは後三ヶ月くらいなんだってね。


今のお医者さんはすごいね。


余命をすぐに言ってくるなんてね。


時代は変わりましたね。


お母さんがお婆ちゃんを亡くした時は、ひた隠しにされたのにね。


でも、こっちの方がスッキリして良いかもね。


お母さんね、もっと淳と奈美を見ていたかったんだけどね。


ごめんね。


あと三ヶ月しか見れないのか。


うーん、残念だよ。


淳、旅行に連れて行ってくれるって言ってたしね。


お母さん、北海道がいいな。


美味しい物を家族で食べに行きたいじゃない。


それで小樽にも行ってみたいんだ。


淳、お母さん頑張って元気になるから、その時は北海道旅行をよろしくね。


あなたは家族思いの良い子です。


言葉遣いは汚いけど、それが照れ隠しだなんて事は、お母さんはちゃんと知っているんだからね。


伊達にあなたを、二十三年間も育ててきた訳じゃないんだから。


あなたと奈美は、私達の自慢の子供です。


あなたもいずれ親になって分かると思います。


自分の子供がどんなに可愛くて仕方ないか、絶対に分かる日が来ます。


お父さんが頑張って働くのも、お母さんがご飯を一生懸命に作るのも、 あなた逹が可愛いから。


あなた逹を愛しているから。


あなた逹と幸せを創り上げたいから。


それが親心だよ。


淳も絶対に分かるはずだよ。






けど、お母さん、子供孝行出来てないよね。


あと三ヶ月の間に出来る事って何かを考えたんだけど、お母さん馬鹿だから分からないや。


ごめんね。


だから、この手紙はあなた逹に謝りたくて、今こうして書いているの。


無責任な親だね。


無責任なお母さんだね。


ごめんね。


お母さん無責任で。




淳、お母さんの子供で幸せでしたか?


お母さん、自信がないな。


お母さんなりに頑張ってきたつもりだけど、自信ないよ。


だから、この手紙を読んだら、素直にお母さんに言って。


お母さんの息子で幸せだったか、素直に言って。


もし幸せだったなら、お母さん、もっと頑張っちゃう。




もし幸せじゃなかったんなら、お母さん、もっともっと頑張っちゃう。


大好きなあなた逹の為に、お母さんは頑張るよ。


「エイ、エイ、オーッ!」


って頑張るよ。


あなた逹を授かって良かった。


本当に良かった。


お母さんは幸せ者だね。


幸せすぎるね。


あ、しつこいけど、お母さんは夏くらいに北海道行きたいな。


家族で行こうよ、北海道。


きっと良い所だよ。


美味しい物、たくさん食べようね。


淳の運転する車で、北海道をぐるぐる家族四人で回るの。


素敵でしょう。


期待してるよ、淳。


奈美には別のものを頼んであるから、一人だけの手柄なんかにしない事!


夏に家族四人で北海道行こうね。


お母さん頑張るよ!!


字が汚くて、ごめんね。






お父さんも、奈美も淳も、お母さんは皆愛してるよ。


幸せだよ。


淳のお母さんより。






って、書いてあった。


これで最後です。


俺は忘れてはいけない事があります。


俺が自己満足で書き込んで、それに対しての温かい言葉、煽り、全てに


「ありがとう。」


と言いたいです。


皆、ありがとう。


母さんを北海道に連れて行けなかった事が、残念でなりません。


そして、弱い俺は未だに涙を流しっぱなしです。


家族を大切にして下さい。


愛情を素直に受け取って下さい。


小さな幸せを大切にして下さい。


恥ずかしがらずに


「ありがとう。」


と言って下さい。


俺は皆に感謝しています。


皆の優しさに、ひたすら感謝です。


夏が過ぎて秋になって、冬になって、どんどん季節が廻ります。


その中での


「ありがとう。」


って、誰にでもある筈です。


素直に「ありがとう」と言える事は素晴らしい事です。


涙が流せるくらい、美しいものです。






皆、ありがとう。


母さん、ありがとう。
















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今まで隠されていた
祝福されし賢者逹の
死ぬ程泣けてしまう話


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ほっと一息つきたい時のねこたん画像

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