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書きかけ。とある死体の話。

やぁ、久しぶり。元気にしてたか?
というか、よく気付いたな。フードとマスクしてるっていうのに。それに何年ぶりだろう、こんなところであえるなんて思ってなかったよ。
あ、寒いか?ごめんな、気が付かなくて。ちょっと暖房でもつけようか。あんまり温度はあげられないんだけどいいかな。
うん、これでいい。そう言えばニュースで今年一番の冷え込みだって言ってたっけ。あ、ニュース見てないのか。最近になってニュースをよく見るようになったんだが、あの、毎日犬と色んな場所を旅するコーナーがあるだろ?あれが好きなんだ。そう、あの白い犬とギター持った人が旅をするやつ。単純に犬が好きなのもあるけど、旅番組って好きなんだ。君も知ってると思うけど、ここはとても田舎だし閉鎖的だから。旅行?旅行は好きだよ。年に一回は遠くに行ってるし。例えばって…そうだな、神社や寺が好きだから、有名なところから、ちょっと知られてない秘境みたいなところまで…意外だって?うん、よく言われる。昔はよく地元の神社の境内で遊んだっけな。ほら、蟻地獄の巣なんかがたくさんあってさ、数をかぞえて遊んだりしたじゃないか。おほてないか?あれからウスバカゲロウが気になって図鑑で探したりしたな。....なんだそれ、って、蟻地獄が成長したら、そういう虫になるんだぜ?知らなかったか。白っぽい羽が生えてさ....まぁ、今度図鑑で見てみろよ。....虫苦手になったのか?そっか、あんなに虫見つけて大喜びしてたのになぁ。
…あ、気付いちゃったか。そう、荷造りしてたんだよ。何処に行くか、は…言えないなぁ。というか、俺も知らないんだ。ミステリーツアーに参加するのか、って?そうだな、そんなところだよ。
そう言えば、覚えてるかな。学生時代、君とは小説を書いて読ませあったりしたっけね。今読み返すと、恥ずかしくなるようなものばかりだけど…小説なんてそんなもんだよな。そうそう、テスト期間も思い付いたら即書き留めて勉強なんて身につかなかったっけ。進学で学校が離れるまで、交換して読ませあったな。まだ書いてたりするのか?…そっか、仕事も忙しいもんな。俺?俺の方はたまに。思い付いたら書き留める、くらいだよ。…うん、それでな、君をこうやって家に招いたのも思い出話がしたいだけじゃないんだ。今思い付いてる話があるんだが、それを君に書いて欲しいんだ。俺が書きたいのは山々なんだけど、これから先、それが出来そうにもなくて。まぁ、そう言わずに。そんなに時間はかからないよ。ただ、聞いてくれないかな。話したらスッキリする事だってあるだろ?


とある屍体のはなし

タイトルなし

あめがふる。ぽつぽつ、音をたてて雫が落ちる。

酷く純粋で、酷く歪んだ彼女の話。


彼女は酷く純粋だった。
俺が始めて会ったアリス。
俺の住処にしている時計塔の前に鐘の音と共に現れた。
真っ黒い髪に、白い肌。異質な者だとはすぐに分かった。
「…お前、誰だ?」
「…ぼくは、…誰なんだろうね」
質問したのはこちらなのに、そいつは困ったように笑った。
「…お前、アリスか?」
不思議の国の住人で無いモノはアリスだという決まりの筈だ。
噂が本当なら、彼女はアリス、の筈だ。
アリスに会うのは初めてで、俺は酷く動揺した。
「アリス?…ぼくはウサギを追いかけた覚えは無いし、穴へ落っこちた覚えもないんだけども…でも、それは面白いかもしれないね。うん、ぼくはアリスだ」
一人で首を傾げて悩んだと思ったら、いきなり自分一人で納得してしまった。
ああ、変なやつだ。そう思った。小綺麗な顔してる割には、なんだか可笑しなやつだ。
それが、アリス…三十人目で、俺が初めて会うアリスとの出会いだった。

まじないであり、呪いである。

きみに名前をあげる。

…そうだよ、名前。
きみがきみだという証明するものさ。
きみが死んでも、きみはきみしかいない。それを示すものが名前なんだよ。役目に縛られることがなくなるんだよ。
それを、きみにあげよう。
その代わり、きみの名前を呼んでいいのはぼくだけだ。きみの本当の名前を知っていいのは、ぼくだけ。だから、もう一つ。きみに仮の名前をつけてあげる。そうしたら、きみは名前を知られても縛られることはなくなる。いいね?
……きみの本当の名前は、



記憶の中の、彼女の話。

第一夜


すべて、ゆめのはなし



くらい。くらい。ひとりではなかった。みんないた。ぜんぶできゅうにん。わたしと、知らない女の子たち。アリス候補なのだという。彼女たちはささめきあう。(だれがうさぎをころすのか)(うさぎをころしたあいてはアリスになれる)(アリスになれたら外にでられる)くらいくらい部屋の中では彼女たちの顔は見えない。うさぎだけ、顔が判別できた。スーツを着た、知らない男。彼さえころせば、アリスはでられるらしい。では、ころせなかった人は?でられないの?このくらいなか、ずっと居なければならないの?それはいやだ。だから、私たちはナイフをとってうさぎに飛びかかった。哀れなうさぎは刺されてしめられて蹴られてなぐられて潰されて引きちぎられて何度もなんどもころされた。







だれがうさぎをころすのか。
(うさぎというなの現実)
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