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鬼畜エロ小説『聖ドルチェ女学院・1』



わたしの名前はビアンカ・メタネーロ。


ご覧の通り、蒼い肌に紅い瞳、角が生えてて、おまけに尻尾もある悪魔みたいな姿だけど、こう見えてもれっきとした聖ドルチェ女学院2年生だ。


女学院だけに学校は女ばかり。
男がいない風紀は悲惨だ。見栄を張る相手がいないから乱れに乱れる。

当然、恋愛対象も女になってしまう。
建前上、シスター行為(死語)は禁止されてるけど、わたしはこのミカエラと付き合ってる


ミカエラ・ガルシア。

一見、金髪碧眼の華麗なる美女だけど…


実は、彼女は両性具有だ。

身体が男女両性の性器……つまり、お○んちんも兼ね備えてる(笑)


だから、わたしは女の子と付き合っていながら男の子とも付き合ってるみたいなもの。

一粒で二度オイシイって、このことだよね



「ねえ〜ビアンカたん。今日はどこで、でえとする〜?」


「たまには学院の裏山でも散策してみようか?」


「いいわね♪天気もいいし、楽しそう…


そこへ、アンジェラ先輩が廊下を歩いてきた。

アンジェラ先輩は、ミカエラの姉で、三年生。


背が高くて、凛々しい顔立ちと美貌、性格も男っぽくて後輩にも優しい人で全生徒の憧れの的だ。

皆からは「お姉様」と慕われてる。


「ビアンカじゃないか!ミカエラも揃ってお出かけかい?」


「アンジェラ先輩…」


「お姉様!」


アンジェラ先輩は、会うとまず、わたしの下着の色を確かめにスカートをめくってくる。

少し恥ずかしいけど、それが日課なんだ。
そして、ちょっと嬉しくもある…(笑)

今日は火曜日だから黒。


でも、今日は先輩を驚かせようと、ちょっとした仕掛けをしてきた。


おもむろにアンジェラお姉様が、スカートをめくる。

「おっ…今日は青か?珍しいじゃん……って…」


先輩が、スカートをめくった姿勢で固まってる。


「ビアンカ…おま…ノーパ……ン??」


そう。今日は下着をつけてない。

わたしはビアンカ。

何か文句がある?


先輩が、生のわたしのお尻をまさぐってきた。

「尻が青いって、このことだね〜

くすぐったいよ、アンジェラお姉様

その手が徐々に前に伸びてきた。ど、どこ触ってんですかっ(笑)

「可愛いよビアンカ…」

アンジェラは、まだ行為を止めない。

そ、そこはダメです…(//∀//)

先輩…ゆ、指が入ってます。指が………


「ビ…ビアンカたん…わたし、もうダメ……」


それを見ていたミカエラが突然、素っ頓狂な声を出してきた。

見れば、ミカエラのスカートの前が、少し膨らんでる。ミカエラちゃん……勃っちしちゃったのね…

「ミカエラ…あんたも触ってみるかい?」


「あ……」

スカートをまくりあげたまま、アンジェラお姉様はわたしの下半身をミカエラに、もろに見せた。

は、恥ずかしい…けど、ミカエラならいいや。


「あ〜〜もお我慢できない〜〜

ミカエラが、わたしを押し倒して無理矢理キスしてきた。

さっき舐めてた紅茶飴の味がした。


「…まるで、さかりのついた犬だね…(笑)」


ミカエラは、わたしのアソコに指を絡ませながら、ひたすらキスを繰り返した。

あ〜…なんてこと。

ここは、神聖なる学院の廊下なのに、わたしは二人の女性に犯されようとしている。


パンツをはいてこなかっただけなのに…

なんでこうなるの?


でも、まあいいや(笑)


「あ〜…ビアンカ先輩達、一体ナニやってんですかー!?」

後輩のシーラが来た。

色白で、笑顔の可愛い子で、わたしを慕って、いつもくっついて来る。
わたしのファンだと言ってもいい。


「ああ、シーラかい?ご覧の通りさ…ミカエラが発情しちゃってさ…」


「こ…こんなところで…」


「出物腫れ物ところ嫌わず…さ(笑)」


「わ、わたしも参加していいですか?」


「ああ、いいよ!触りまくっちゃいなよ」


「では、お言葉に甘えて…ビアンカ先輩、いただきま〜す


今度はシーラまで、わたしの胸を揉みしだいてくる。

あ〜…もう何がなんだか……


「ビアンカは、わたしのものよ!」


レベッカまでやって来た。
こんな時に、ややこしい奴が……


レベッカは、わたしの従姉妹で、しかも、わたしやわたしのママに惚れていた正真正銘のレズビアン。
しかも、これって近親相姦になるんじゃないの?

まさに「歩くタブー」だ。
こんな現場に、コイツまで現れるなんて。


「あんた達、どいてどいて!!」


「な…邪魔しないで!」

ミカエラは、股間を膨らませたまま、レベッカに突き飛ばされた。
シーラは、まだわたしの頬にへばり付いてる。

「レベッカ!割り込むなよ!」

アンジェラが威嚇するが、レベッカは言うことを聞かない。

ひたすら、わたしに向かってハグしてくる。

「ちょ…ちょっと、レベッカ……」

たまらず、わたしはレベッカを突き飛ばす。


「痛い!なによ〜もう…」


そのレベッカの首筋を掴む者がいた。

ヴァージニアだ。

カールがかった長い黒髪に、野性的な切れ長の瞳を備えた超絶美人。


以前、わたしに言い寄ってきたけど、彼女のどす黒くてひねくれた性格が嫌いだったわたしは告白を跳ね退けた。

それ以来、ヴァージニアは、わたしに執拗に嫌がらせをする。

そんな意地悪な女が、ここへ何しに?


「ビアンカ…楽しそうね……」


「ヴァージニア…」


「あなた、アソコが丸見えじゃなくて?…どうして下着はいてないのかしら?」


「別に……」


「いっそ全部脱いじゃいなさ〜い


あっという間に、わたしは全裸にされていた。

「わわっ!び、ビアンカたん(//△//)」


「きゃー素敵ですぅ〜ビアンカ先輩


「アンジェラ…」


「ヴァージニア…どうする気だ?」


「決まってるじゃないみんなで仲良くいただくのよ!!あははははは


「わかった。レベッカ、あんた、くじ引き作りな…」


「なんで、わたしが…」


「あんた、ビアンカの従姉妹だろ!!」


……なんだかワケのわからない理由で、レベッカは順番を決めるくじ引きを作らされている。


皆、わたしの気持ちなどよそに、勝手に盛り上がってる。


わたしはビアンカ。


わたしがしたことは、猛獣の檻に餌を投げたのと同じ行為なんですか?



夕闇が迫る。


赤い夕陽に染まる校舎で、わたしと仲間達は、今日も楽しい学院生活を送ってます。











《おしまい


初掲載2010-01-10



小説『小悪魔ビアンカと3つの願い』Vol.26《第4部・最終回》




《前回までのあらすじ》

ついに本性を現したラブーフ姉妹=魔女Mrsフィアー。

再び、アンジェラ抹殺を指示するが、ビアンカは命令を拒否する。

そこへ、天使トリニータが降臨した。







ビアンカ達の前に、眩いばかりの光と共に降臨したトリニータの姿は誰もが驚愕した。

「ビアンカ…あれってもしかして…?」


ミカエラが天空を見上げながらビアンカに近付く。

黙ったまま頷くビアンカ。


「信じられないけど…あれは…あれは…」

彼女は涙ぐんでいた。

天使は言った。


「久しぶり。元気そうで何よりだ。ビアンカ♪」


「ジュリアーノ!?」


彼は、まさに眩いばかりの笑顔で彼女に近付く。


「夢じゃないよね…ジュリアーノ!ああ、会いたかった…」


もはや、溢れる涙が止まらない。

何か言葉を発しても声にならない。


「ビアンカ…ゴメンな。君には心配ばかりかけて…」


「そ、そんなことない…ジュリアーノ…」


2人は静かに抱擁した。


(…あれがジュリアーノ?)


その光景を見て、心の底に沸き起こる嫉妬の炎に気づくマルコだった。


ミカエラやシーラももらい泣きする。

ヴァージニアは、不思議そうな顔をして2人を見つめていた。


「ああ、あれが死んだとかゆービアンカの前の彼氏ね…うふふ♪可愛い顔してるじゃない。ま、ウチのルカには敵わないけど♪」



先程まで、魔女やヴァージニアに凄んでいた戦士ビアンカの面影はそこにはなく、死んだ恋人と再会した喜びにうち震える一人のか弱い“女”が、ただ居るだけだった。


「ジュリアーノ…でも、どうしてあんたが…?あんたが天使トリニータなの?」


「ああ、そのことか…」


そこへ、両目の揃ったレベッカが前に出る。

「それは、わたしが説明するよ。アニー…」


「ベッキー?…その眼は…!?」


「ああ、後で説明する。あなたの恋人ジュリアーノは、2代目トリニータとして転生した。彼はジュリアーノだけど“天使トリニータ”でもあるのさ。わたしを助け、力をくれたのもビアンカ…あなたの恋人だったんだよ…」


「そ、そうだったの…?ジュリアーノが天使トリニータ?」


「ああ、今まで黙っていて悪かった。僕が死んだ後、少しして天界に召された。そこで、ある使命を与えられたんだ。悪魔の子ビアンカを見守りながら、ある国の君主を守らないといけない。そして、最終的な目的は、世を乱す“魔女”を見つけ出すこと…」



トリニータの姿を茫然と見詰めるMrsフィアーの方を見た。


「まさか、少女だったとはな…」



2人の姿を見て、怒りに震えるフィアー。

『お…おのれぇ〜〜!?』



ジュリアーノは、それを見てニヤリと笑みを洩らすと、おもむろに何処からともなくマシンガンを取り出した。


「悪いな…往生しなよ。Mrsフィアー…」


やおら、マシンガンを乱射するジュリアーノ。


「ぎゃあああああああああ〜〜〜〜っ!?」


何の抵抗も出来ず、ただ断末魔の叫びとともに“魔女”の姿は跡形もなく消えて行った。


そこには、ただ倒れ伏すラブーフ姉妹がいるだけ。


「し…死んだの!?」


「魔女はな。彼女達の邪悪な心が生み出した怪人は消えた。恐らくもう魔力は使えまい…」


「そう…」


ビアンカは、気を失っているラブーフ姉妹の許に歩を進めた。


「可哀想な子達…こんな不憫な姿で生まれたばかりに…」


2人繋がったシャム双生児のラブーフ姉妹の姿を、自分と重ねるビアンカ。

そっと手を触れると彼女は涙した。

そこに立ち竦むゲイル団長。


「ビアンカ…分かってくれ。憎しみの連鎖は何も生み出さない。俺はコイツらまでその憎悪のスパイラルの中で生きて欲しくなかった…」


「どういう意味…?」


「お前が殺した兄貴の事だ。兄貴は、彼らフリークスを人間扱いしなかった。いつかお前の様な奴に殺される運命だったんだよ…」



「憎しみの連鎖…か…」


そこへ、耳をつんざく爆音が響く。


皆が見上げた先には、ラボミア軍の戦闘ヘリが現れた。

その窓からは、アンジェラが顔を覗かせる。


「ビアンカ…トリニティも無事か?」


「アンジェラ!?」


「アンジェラ様!!」



ヘリが着陸すると、長い髪と黒いマントを靡かせたアンジェラ総統が地に降り立った。


「お姉様!?」


ミカエラが駆け寄る。



「出たわね〜♪鬼畜女めー!」


ヴァージニアが走り寄ろうとするがルカに制される。


「よせ!戦いはもう終わった…」


「ルカ…だって…」


「我輩の言う事が聞けないのか?」


「わかった♪あなたが言うのなら…」




アンジェラは、燃え上がる幕舎とフリークスと兵士達の死体が転がる惨状を見て眉をしかめた。


「…これが、我が一族の罪禍と言うわけか…」


「アンジェラ…」

やおら、近寄るビアンカの背後に光る天使の姿を見る。


「ほう…洒落た趣向だな…」


「アンジェラ…わたし、あなたには何と言えばいいのか…」


「いや、貴様が謝る事などない。むしろ、わたしの方こそ貴様に礼を言いたいぐらいだ…」


「礼を…?」


「我が国の、我が一族の…罪を気づかせてくれて…」


倒れ伏すラブーフ姉妹に近付くアンジェラ。


「約束しよう。わたしは父を超える君主となり、この国に二度とこのような悲劇を起こさぬと…」


「アンジェラ…」


アンジェラは、ビアンカの顔を見詰めると微笑み、彼女もそれに返した。


踵を返すと叫ぶ。


「長居は無用。帰るぞ…ミカエラ!!」


「えっ…?」


「そこに隠れてるガブリエルとラファエル!貴様達もだ…」


木々の間で様子を見守っていたアンジェラの息子達が姿を現す。

「は、母上…」


「貴様達は、後でたっぷりと搾ってやる。無茶な作戦を立ておって…」


そこへ、レベッカが後を追う。


「アンジェラ様!!わたしもお供致します!?」


「トリニティか…。貴様は休養が必要だ。しばらく国へ帰ったらどうだ?」


「…そんな…わたくしは疲れてなどおりません!!」


そんなレベッカの肩を叩くビアンカ。


「ベッキー。あんたはよくやったよ。アンジェラの言う通り、一度国へ帰った方がいい。ご両親が心配してると思うよ?」


「アニー…」


レベッカは、ビアンカを見詰めると、やおら口づけをする。


「ん…」


「ありがとう。またいつか会おう♪アニー…」


「そうだね。今度は敵対しないといいね…」


「さようなら!!ビアンカ!!そして、天使ジュリアーノ様…わたし、もう行きます!!」


レベッカは微笑むとそのまま去っていった。ビアンカとジュリアーノは共に手を振る。


アンジェラと兄弟を乗せたヘリが出発する。だが、ミカエラだけがいつまでも名残惜しみ、なかなか乗ろうとしなかった。


「ビアンカたん…わたし…」


「ミカエラ。いつでも会えるさ…今はみんな休養が必要なんだ」


「わかった。すぐ会いに来るから!!」


涙を流しながら走り去るミカエラの姿をいつまでも見送るビアンカだった。


「さらばだ!ビアンカ!!」


アンジェラの声と共にヘリは上空に消えて行った。





「…では、我々も帰るとするか…」


ルカは、ヴァージニアの肩に手をやると微笑みかけた。



「ルカ…色々ありがとう…」


「ああ、達者でな」


「ビアンカ。いつでも遊びにおいでよ♪」


「うん。2人とも元気でね…」



ルカとヴァージニアは、そのまま巨大なコウモリに乗ると飛び立ち去っていった。




残った者はシーラ、セバスチャン、ゲイル団長とラブーフ姉妹、ビアンカとマルコ、そして、トリニータことジュリアーノ。






「…さて、僕もそろそろ帰るとするかな…」


「えっ…!?ジュリー…そんな!もう少し居られないの?」


「ビアンカ…僕だって名残惜しい。君といつまでも一緒にいたいけど、僕が地上に居られる時間は限られてるんだよ…ごめんな…」


「いやだ!いやだよ…帰らないでジュリアーノ!?」


涙ながらに昵懇するビアンカだが、ジュリアーノは笑顔を向けてビアンカの肩を優しく叩いた。


「…僕はもうこの世の者ではない。生者は生者と生きるのが一番いいんだよ…」


そう言ってチラリとマルコの方を見た。


「それに、今の君には立派なパートナーがいるじゃないか…」


ビアンカは、背後に佇むマルコを見返した。


「マルコシアス。ちょっと悔しいけど、君もビアンカとお似合いだ。後は任せたぜ♪」


そう言って親指を立てた。(o^-')b


笑顔で頷くマルコ。


「ああ、じゃじゃ馬の世話は俺に任せてくれ…♪」


「誰がじゃじゃ馬だって!?」


「ははは…お二人さん。お幸せに…では、アリヴェデルチ♪」


「さようなら…ジュリアーノ…」





そうして、天使ジュリアーノは去っていった。


ビアンカは、その姿をいつまでもいつまでも、最後の光が見えなくなるまで見送っていた。






「奇しくも、君の願いが2つも叶ったワケだな…」


しみじみとマルコが言う。


「願い…?あの3つの願いはミカエラが勝手に決めた事だよ…?」


「じゃあ、他に何か願い事があるのか?」



「あるよ。わたしの願いは…」








わたしはビアンカ。




人間も魔族も関係ない。





憎しみのない世界で、自分と喜びを分かち合える仲間達と幸せに暮らす事。






それが、わたしの願い…






きっと叶えてみせる。












『小悪魔ビアンカと3つの願い』ー完ー


初掲載2010-05-11



ご愛読ありがとうございました♪



また次の物語でビアンカ達と会いましょう!!

小説『小悪魔ビアンカと3つの願い』Vol.25



【前回までのあらすじ】

ビアンカは、魔族の能力が更に開花し、自らの容姿を変化出来る様になった。


一方、倒れたレベッカの前に“天使トリニータ”が降臨する。





「あ、あなたが天使トリニータなの…?」


光り輝くその姿は、白い帽子に白いスーツと言った出で立ちで、一見“天使”などには見えない。


しかし、頭上に被さる後光と背に羽ばたく巨大な猛禽類の翼は、天使以外の何者でもない。


「わたしは、あなたを知っている。見た事はないけれど、話には聞いた事がある…」


トリニータと名乗る天使が顔を上げる。

そこには眉目秀麗な双眸が光を発して、なおも眩しく見えた。


「見える…?右目が…!!」


失われたはずのレベッカの右の瞳が復活し、身体中の傷もすべて消えていた。


「こ…これは…!?」


トリニータは、ひざまづいているレベッカに対し、膝を屈めて優しく微笑む。


「君の役目が終わった事を意味しているんだよ…」


「そんなバカな!?…だって、わたしはビアンカを倒すどころか、逆に敗れたのよ!!アニーにはもう天使のパワーが通用しないぐらい強力になってるの!!」


「…いいんだ。君の役目は、アンジェラを倒そうとするビアンカを止める事。そして、ビアンカの力を促進させる事にあった…」


「ビアンカの…?ねえ、教えて!ビアンカは何者なの?あなた方天使にとって敵ではないの!?」


間を置いて、トリニータは答えた。


「少なくとも、今のビアンカは敵ではない。我々が探していたのは“魔女”だからな…」


「魔女…」










「「さぁ、ビアンカにヴァージニア。今からでも遅くないわ。アンジェラ抹殺を続行して!…ガルシア一族の者をこの世から消して♪」」



涼やかな笑みを浮かべながら、ラブーフ姉妹は命令する。


「かしこまりですわ♪魔女様!!」


ヴァージニアは、ヤル気満々で敬礼する。

一方、ビアンカは…


「わたしは降りる…」


「なっ?…今、なんて言ったのビアンカ!?」

ヴァージニアが彼女に近づく。


「わたしはもうやりたくないと言ったの…」


それを見て、2人で1人のラブーフ姉妹がヨタヨタと歩み寄る。

その奇妙な姿にビアンカは改めて戦慄を覚えた。

ラブーフ姉妹、リリスとクリスはその4つの腕でビアンカの頬を撫でる。


「「…言うと思った♪…そうね。願いの1つは、自らの力で叶えてしまったのですものね…うふふふ…♪」」


陽気な笑い声が、むしろ空々しく、一段と不気味に聞こえた。


「…それもあるけど…わたしはもう無益な争いをしたくないし、アンジェラとは戦いたくない…」


「ビアンカ〜〜?何を今さら〜〜!?」


ヴァージニアが手足をバタバタさせながら騒ぐ。


「マルコォー?あんたも何か言ってよ!一緒に戦いたくないのぉー!?」


話を振られたマルコは、ヴァージニアを一瞥すると言った。


「俺は、ビアンカの騎士だ。姫の決めた事には逆らえないね」


「マルコ…」


それを聞いたビアンカは、目を見開いて驚いた。



「なんなのよ〜あんた達はぁ〜〜!?」


ラブーフ姉妹は、ビアンカの顔を見つめて、やおら微笑むと、再び冷たい表情に戻る。


「「まだ最後の願い事が残ってるでしょ?…それを叶えてあげるから行って…。ね?ビアンカ…」」


「うっ…?」


「そうよ!ビアンカ!?ジュリアーノよ!!彼に会いたくないの!?魔女様が願い事を叶えてくださるわ!!」

叫ぶヴァージニア。

それを見ていたミカエラは、堪らずビアンカとラブーフ姉妹の間に割って入る。


「もう許して!!わたしも元の体に戻ってもいいから、これ以上ビアンカを苦しめないで!?」

泣きながら彼女はラブーフ姉妹の腕を掴む。

だが、いきなりリリス側の腕がミカエラを掴むとそのまま首を締める。


「クリス…この娘、なんかウザいね?」


「そうね。リリス。でも、何か役に立ちそうだけど♪」


「まずい…」


その光景を見ていたマルコは冷や汗をかきながら前に出た。

「ミカエラ!?逃げろ!!」


「「離さないよ♪この娘はまた人質にするんだ…」」


言いかけた時に銃声が響いた。


「ぎゃっ…」

飛び散る鮮血はラブーフ姉妹のものだった。

見れば、ライフルを構えたゲイル団長が呆然としている。


「…どうせ、こんな程度じゃ死なないんだろうが…」


ラブーフ姉妹が倒れた隙に、ミカエラは逃げビアンカに抱き着いた。

「ビアンカ!?ごめんなさい!」


「ミカエラ…無茶すんなよ…」



そして、慌てふためくヴァージニアの許で倒れ伏す姉妹。


「「ふ…ふふふ…あははははははは…♪」」


その悲鳴の様な笑い声にギョッとするヴァージニア。

声は姉妹の頭上から聞こえてくる。

そこには邪悪な思念と気が集まり、徐々に形を帯び、ビアンカ等のよく知っている“Mrsフィアー”=魔女の姿が浮かんでいた。


「ついに正体を現したってワケだな…」


マルコが臨戦態勢に入り、それに対する。

一方のビアンカもミカエラを後ろに下げ、前に出る。


「久しぶりだね。もうあんたの言う事は聞かないけど…」


『バカな娘だ…これが最後のチャンスだと言うのに…!』


「チャンスは自分で掴んでみせるさ…!!」



『もはや、汝は用済みのようだね…ヴァージニアよ!ビアンカを殺せ!』


「えっ…?ビアンカを…そんな…」


『わらわの命令を聞けないのかい…?』


「い、いくら魔女様のご命令でも、それは…!?」

チラリとビアンカを見ると、やおら彼女はニコヤかに微笑んだ。


「相手になるよ。ヴァージニア。もっとも負ける気はしないけど♪」



「ビアンカ…その余裕綽々な態度は何なの!?」


『ぬぬぬ…!何を躊躇しているヴァージニア…』



「ラブーフ姉妹…いや、Mrsフィアー。チェックメイトだ。観念するんだね…」


その声は天空から聞こえた。

彼らが見上げた先には、宙に浮かぶレベッカと、羽根を羽ばたかせる天使トリニータの姿が見えた。


「レベッカ…!?…それにあれは…誰なの?」


「天使トリニータ…?いや、あれは…」


近づくにつれて、その光り輝く姿の全貌が明らかになる。


トリニータの顔を垣間見たビアンカは驚嘆した。


「あ、あれは、まさか…!?」






《続く》


初掲載2010-05-10



あらゆる因縁が絡み合ったまま、此処サンタ・ディアブロで、光と闇が最後の対決の時を迎える。


ビアンカは、ラブーフ姉妹は、そして、謎の使徒トリニータはどう動く!?



次回『小悪魔ビアンカと3つの願い』怒涛の最終回!!\(^-^)/


運命の帳が晴れる時、あなたは奇跡の光を垣間見る!?




いつもジャン吉小説をご愛読ありがとうございます!!


ここまで読んでくれてた人だけが、迎えられる最高のクライマックス!!\(^-^)/

最後までよろしく♪

小説『小悪魔ビアンカと3つの願い』Vol.24



【前回までのあらすじ】

ラブーフ姉妹と邂逅したビアンカ達を襲うレベッカ。

しかし、すでにビアンカのパワーはレベッカを超越していた。

改めてアンジェラの許へ行くビアンカだが、その身体に異変が起き始める…








「Mrsフィアー…!?」


ようやく身体が回復してきたヴァージニアは、ルカと共に簡素な食事の最中だった。


「…どうした?」


「魔女様が、あたしを呼んでる…」


「何?」



突然立ち上がると、ヴァージニアは身支度を始める。


「ルカ…あたし、行かなくちゃ…!!」









一方、アンジェラの執務室では、ビアンカが頭を抱えてうずくまる。


「ビアンカ…その顔は…!?」


「えっ……?」


ビアンカの顔は、徐々に白く肌色になり、額の角も溶ける様に消えていった。


かつて彼女が記憶をなくした時の様な“人間化”が再び起きていたのだ。


「やはりな…」


マルコシアスは笑みを洩らす。

それを見たアンジェラは、彼に問い質した。

「おいっ…貴様、これは一体どういう事だ…まさか、魔女の…?」


「違う…」


マルコは、おもむろにビアンカの手を掴む。

「マルコ…?わたしは…」


「おめでとう。ビアンカ、君は自らの“力”で容姿を変化させたんだよ。もっとも少し荒療治だったかも知れないけど…」



「自分の…力で…?」


「君は、本心ではアンジェラは殺したくないと思っていただろう?」


その言葉を聞き、改めてアンジェラの顔を見詰め返す。


「その心が、そして、容姿を変えたいという強い心と交じり合い、君の魔力を更に開花させた…つまり、魔女の力を借りずとも、君は容姿を変えられるんだよ…俺みたいにね♪」


自らの顔や額を触りながら、歓喜と驚嘆の表情のビアンカ。


「マルコ…わたし…」


「君は、この数日急激に成長を遂げた。もしかしたら出来るんじゃないかと思ってね…」


そこへ、撃鉄を引く音。
アンジェラが拳銃を構えて2人に向ける。


「…そうか。では、わたしと貴様が戦う理由は無くなったワケだ…」


「アンジェラ…」


「しかし、今となってはもう遅い…ビアンカ!!」


マルコシアスがビアンカを遮る様に立ちはだかる。


「無駄だ…」


「わかってるよ。貴様等が此処に来たと言う事は…トリニティも敗れたと言う事だろ?彼女は無事なのか?」


「レベッカは、死んではいないはず…」


「そうか…では、まずは此処から消えるんだ…何かと面倒だからな」



マルコシアスとビアンカは顔を見合わせて頷いた。


「そうしよう…まだまだやる事があるしな…」


「ああ、お互いにな…」


皮肉な笑みを洩らすアンジェラ。

その目の前で、マルコとビアンカは再び姿を消した。


「ふふふ…おめでとうビアンカ…」


アンジェラは独り呟くと、思いをぶつける様にテーブルを強く叩いた。









「ビアンカ!?」


容姿を変えて戻ってきた彼女を見て驚く面々。

「その顔は…とうとうやったの?アンジェラお姉様を…」


複雑な笑みを浮かべるミカエラ。


「安心しな。アンジェラは殺してないよ」


「良かった…でも、どうして…?」


「ビアンカは、自らの魔力で容姿を変化させただけだ。だから、いつでも元に戻せる」



それは、つまりビアンカが「人間化」したワケではなく、むしろ「魔族」としての能力が更に深まったと言う事。

その事に気づいているマルコの心境は複雑だった。



「ラブーフ姉妹は無事なの?」


「今、シーラとセバスチャンが団長を追って…」


幕舎の方でまた爆音が聞こえる。


「奴ら…何を?」


幕舎の裏に回って彼等が見たものとは…



逃げ惑うフリークス達に向かい、銃撃と火炎放射で攻撃するガブリエルの“ウォー・ローダー”と、ラボミア正規軍の姿。

そこは、まさに阿鼻叫喚の地獄と化していた。


「うはははははっ…逃げろ逃げろ!化け物ども!!」


狂気の笑みを浮かべ、攻撃を続けるガブリエル。
そこには、ラボミアの御曹司の面影はなかった。


「な…なんて事をしやがる…」


マルコは怒りに燃え、ウォー・ローダーに向かい突っ込んで行く。


「ミカエラ…あれは、アンジェラの息子達なんだろ?」


「そ、そうよ。わたしの甥っ子…だけど」


「ちょっと懲らしめてくるよ…」


言うと、ビアンカは再び蒼い肌に角を持つ姿に“変身”し、背に翼を生やし飛び立った。


「マルコ!!こんな奴ら…あっさり片付けてやろうよ!!」


「同感だな…」



マルコシアス、ビアンカは同時に手の先からプラズマの様な電撃を放射した。


巨大な稲光と爆炎が交錯すると、ウォー・ローダーのコクピットが破裂した。


返す刀で、マルコシアスはラボミア兵士にも攻撃を食らわし、彼等は木っ端微塵に吹っ飛んでいった。



「うぎゃあっ〜!!」


炎の中から、ラファエルがガブリエルを支えながら飛び出して来る。


「しっかりしてくれ…兄さん!どこも怪我はないだろ…」


「ち…畜生!奴ら…奴ら…」


「…とりあえず、ここは下がろう。トリニティ中尉は何処だ…?」


森の木々に隠れながら、兄弟は逃げる。




「余計な事をしてくれたな…ビアンカ」


ゲイルだった。

炎に包まれる幕舎を見上げながら呟く。

近寄るビアンカを一瞥すると、逃げ延びたフリークスを避難させる。


「随分と冷たいね。ゲイル団長。…ラブーフ姉妹が死ねば良かったとでも…」


「ああ、いっそ死んで欲しかったね…」


そこへ、ビアンカの平手打ちが飛ぶ。


「うっ…!?」


頬を押さえて睨むゲイル。


「…どんなつもりで言ってるのか知らないけど、あんた…」


「バカが…!奴ら姉妹がこれぐらいで死ぬものか!…奴らが何故自ら動かず、お前さんやピエトロやヴァージニアを使うのか考えた事はないのか!?」


改めて言われて、ビアンカは気づいた。

以前に、レベッカにも同じ事を言われた。

人の容姿を変え、運命さえ操れる“魔女”たるラブーフ姉妹が、自らの境遇も姿を変える事すらしないのか。


「うっ…何故なの?」


「あたしから、お答えしましょうか?」


聞き慣れた声に振り向くと、そこには巨大なコウモリと、吸血鬼ルカ、そして、ヴァージニアの姿があった。


「ヴァージニア!?…あんた、もう身体は治ったの?」


「当たり前よ♪みんなこのルカのお陰



「ルカ卿…どうして此処に?」


マルコシアスが尋ねた。ルカは軽く笑みを浮かべると言った。


「ふふふ…我輩は、ただ此処で何が起きているのか確かめたくなっただけだ。呼ばれたのは魔女の従者たるヴァージニアだけだ…」


「魔女に…?」



「「そうよ。わたし達が呼んだの…」」


そこへ、ラブーフ姉妹が燃える幕舎の中から姿を現した。


「うっ…」


「「ビアンカ…良かったわね♪容姿を変えられる能力をマスターしたそうね…」」


それを聞いて、ヴァージニアは笑顔を向ける。


「えっ!そうなんだ!?見せて見せて♪ビアンカ、あなたの美少女な素顔見てみたいんだけど!?」


「…後でね。そんな事よりどういう事なの…?あんた達はホントに“魔女”なの?」


「「ああ、その事…?まだ疑うの…?まあ、いいわ。わたし達が何故あなた達を使うかって疑問ね…」」


「ビアンカ…この娘達はね。普通の人間なの。魔法は使うけど、魔族じゃなくてよ?」


ヴァージニアが割り込んで来る。


「「さすが、ヴァージニアね♪わかってるじゃない…続けて…」」


「どういう事…?魔族ではない…?」



「つまり、魔法を駆使して様々な奇跡を起こせるけど、それが有効なのは他人に対してのみ。魔力はあっても自分達でそれを試せない。…お分かり?」


「つまり、宝の持ち腐れ…って事か?」


マルコシアスが皮肉めいた表情でヴァージニアに言った。

一瞥すると彼女は驚愕する。


「あらっ?あなた、マルコだったの?何なのその格好は…!?って、それ、あたしの服じゃな〜い?」


「悪かったな…んな事は今はどうでもいいだろ!!つまり、アレか?ラブーフ姉妹は、ビアンカやヴァージニア等の力を借りないと魔力の使い道がないってこったろ?」


「「そう。わたし達は復讐の為に魔法を学び、誘惑された人間や使い魔を駆使してそれを実践する事にしたの…♪」」


さも楽しげに、屈託もなく答えるラブーフ姉妹達だった。


「復讐だって…?」


「「そうよ。復讐するの…あなた達を使ってね…」」


「使い魔けっこう!あたしは喜んで力をお貸ししますわ♪魔女様!!」


ヴァージニアは、わざとらしく臣下の礼を取り、かしずいて見せた。


「誰に対して復讐しようって言うの…?」


「「ビアンカ…案外鈍いのね♪

…決まってるでしょ?わたし達の親や家族を殺し、わたし達をこんな姿にしたガルシア一族によ…」」


「なっ…!?」









一方、林の中でボロ雑巾の様に朽ち果てたレベッカの前に光が射す。


「う…うん…」


〈…レベッカ…起きろ。お前はよく働いた…〉


「うっ…!?…その声は…まさか…?」



おもむろに上体を起き上がらせる彼女の前に、その光体は人の形を有してゆく。


「あ…あ…あなたが、天使トリニータなの…?」







《続く》


初掲載2010-05-08



ビアンカは魔族としての能力を覚醒し、魔女ラブーフ姉妹は真相を語る。


そして、レベッカの前に姿を現した“天使トリニータ”の目的とは?


謎が謎を呼び、核心に近づく。

いよいよクライマックスに向け、役者は揃った!!


次回をお楽しみに




いつも、ジャン吉小説をご愛読ありがとうございますm(__)m


コメントやアイデアやヒントをくれる読者様はホントに感謝です

これからもよろしくお願いいたします。

小説『小悪魔ビアンカと3つの願い』Vol.23




【前回までのあらすじ】

ようやくラブーフ姉妹の許へ辿り着いたビアンカ達だが、そこで驚愕の事実を知らされる。

“自分達が魔女”だと…

そこへ、ビアンカ達を追うレベッカ等が襲撃してきた。






「わたしをレベッカとかベッキーって呼ぶなと言っただろう!!」


“光の剣”を構え、猛然と向かってくるレベッカ。

だが、ビアンカは笑みを洩らしながら悠然と構える。


「…ベッキー…」


「何が可笑しいんだよ!ニヤニヤしてさっ!?」


刹那、レベッカの剣がビアンカの額を切り裂いたかに見えた。


「ビアンカ!?」


叫ぶマルコが見たものは…


「うっ…!?」


信じ難い光景に息を飲む一堂。


光の剣は、ビアンカの手の中にあった。

まるでスティックでも掴む様に平然とし、それを離さない。


「なっ…!?」


「レベッカ…あんたの攻撃はワンパターンなんだよ…もう二度と同じ手は効くもんか!」


「そ、そんな馬鹿な…!?」


隙を見て、回し蹴りを食らわすビアンカ。

そのまま、レベッカは数十メートル吹っ飛び森の中へ落下した。


「お、おい…嘘だろ?トリニティが押されてるぜ。ビアンカって奴はそんなに強かったのか!?」


アンジェラの息子ガブリエルは、その光景に呆然としている。


「兄さん。母上はビアンカの力は未知数だと言っていた。何が起きてもおかしくないさ…」


クールに分析する弟ラファエルを振り返る。

「お前、どうしてそんなに落ち着いてるんだ…!?」


「大丈夫だよ。兄さん。トリニティの強さも母上のお墨付きだ。さあ、我々は“魔女”とやらを探そうよ!」


「あ、ああ…そうだな…」


「僕の開発したウォー・ローダーを試す絶好の機会かも…♪」



その時、2人に立ち塞がる影があった。


「ここから先は俺達が通さねえぜ、兄ちゃん達…」


それは、ガトリングガンとサーベルで武装したチャーチ・ウィルとパイレーツ・シルヴィアだった。


「どけ!俺達は、ここの魔女に用がある」


「させるかよぉ〜坊っちゃん達ぃ…」


おもむろに構えたガトリングを連射するウィル。


「うわわわわ……!?」


ガブリエルとラファエルは身を隠すのがやっとだった。







「ビアンカ…お前…」


マルコが近づく。

振り向いたビアンカは笑顔だった。


「どうしたの?」


「お前、手は…何ともないのか?」


「…別に…?」


悠然と構えるビアンカに愕然とするマルコシアス。


(…変わった。ビアンカはこの数日で格段の進化と覚醒を遂げている。もはや、ハーフの悪魔でも小悪魔でもない。真の魔族と化しているんだ…だとしたら…)


「なぁ、まだやる気なのかい?」


戦闘を見守っていたゲイル団長が叫ぶ。


「あんたは関係ない…」


「関係おおありだろ!?…ウチのラブーフ姉妹を巡って争ってるんだからなっ!?」


「すぐカタをつけるよ…レベッカはもう、わたしの敵じゃない…」


「ああ、そうかよ。小悪魔ちゃん。ウチのラブーフ姉妹を守って戦ってくれてるんだよな?」


「そうさ。姉妹が死んだり連れ去られたりしたら困るだろ?」


不意にウインクしてみせるビアンカ。


「なあ、一つ聞いていいか?」


「なに?」


「お前はラブーフ姉妹…いや、“魔女”にどんな願い事をしたんだ?」



暫し沈黙。


ビアンカは、ゲイル団長の髭面を見詰め返した。


その場にいたマルコシアス、ミカエラ、シーラ、セバスチャン等も時が止まった様に一斉にビアンカを見ていた。


「…決まってるだろう。わたしの…この容姿を変えてもらうのさ。普通の人間みたいにね…」


「容姿を?…ふふ、ビアンカ。お前はそのままでも十分魅力的だぜ…?」


「ふざけんな!!…普通の人間に、わたしの気持ちがわかるか!この容姿の為に差別され迫害されたわたしの気持ちが…」


ビアンカは、やおら周りにこそこそ逃げ隠れしているフリークス達の姿を見た。


「そうさ…わたしの気持ちがわかるのは、ここにいるミカエラやフリークス達。ラブーフ姉妹やヴァージニアぐらいさ…」



その時、森の中から巨大な光球とともにレベッカが浮かび上がる。

まだ死んではいなかった。
そちらを見遣るとニヤリとするビアンカ。


「…さすがベッキー…しぶといね♪」



レベッカは、衣服はボロボロになり、血塗れになりながらも再び立ち上がってビアンカを見下ろしていた。



「へっ…ふっふっ…」



不意に、下卑た笑みを浮かべるゲイル団長。


「ふっふっ…はっははっは…はっはっは」


気でも狂った様に笑いを止めない。
睨むビアンカ。


「…何が可笑しいの?」


「へっへっ…これが笑わずにいられるかよ。姉ちゃんよぉ…何を悲愴ぶってやがるんだ…」


「なんだって!?」


「おいっ…ゲイル団長…何のつもりだ?」

堪らすマルコシアスが近寄る。


「女みてーな兄ちゃんは黙ってなー!いいかい?ビアンカとやら…お前さんは何かやたらに容姿にこだわってる様だが、それが一体何になる!?…容姿が変わったからってお前さんの何かが変わるって言うのかい?」


「うっ…変わるはずさ。少なくとも差別はされない…」


「差別…迫害?…それがなんだってんだ?お前は独り、悲劇のヒロインを演じて同じ仲間同士、傷を舐め合ってるみたいだが…だったら、此処に居るフリークス達の大半はとっくに自殺してるぜ!!」


「どういう意味?」




そこへ、手負いのレベッカが再び襲い掛かる。


「何をゴチャゴチャ言い合ってる…!!」


右目の眼帯は外れ、ところどころ露になった肌も血に塗れている。


「…ベッキー…おとなしくしてなよ。もう、あんたの役目は終わったんだよ…」


レベッカの捨て身の攻撃をかわすと、半裸の胸に火花の様な一撃をくわえるビアンカ。


「ぐぇあっ!!」


胸を押さえ倒れ伏すレベッカ。


再び、ゲイルに対し振り返るとビアンカは言った。


「わたしが…自分の容姿を変える事が何が悪いの!?」


だが、ゲイルは肩をすぼめてその先を聞こうともしない。


「質問に応えてよ!?」


マルコシアスが近付く。


「ビアンカ…その件だが…」


ゲイルは踵を返し、ラブーフ姉妹の居る幕舎へ向かう。


「俺はもう行く。ただ、一言だけ言っておく。俺は奴ら…ラブーフ姉妹の事だけは信用してない。むしろ、軽蔑する。奴らは…」



その時、爆音が響いた。


「ちぃっ…ウィルとシルヴィめ…何をやってやがる…」


叫ぶとそのまま走り去った。



「どういう意味なの…?マルコ…」


「わからん。わからんが、試してみるか?」


「何を…?」


「今から瞬間移動でアンジェラの所へ行って襲撃する。今ならレベッカも居ないし手薄のはずだろ?」


「え?だって、今はラブーフ姉妹を助けないと…」


「奴らが本物の“魔女”なら平気なはずさ…行くぜ…」


「ちょっ…待ってマル…」


その場から、マルコシアスとビアンカの姿が消えた。


それを、寂しげな瞳で見ていたのはミカエラだった。


「ビアンカ…」










次の瞬間、ビアンカとマルコはアンジェラの居る執務室に来ていた。

突然目の前に現れたビアンカに驚愕するアンジェラ。此処ではたった一人だった。


「ビ、ビアンカ!?ま、まさか…」

咄嗟に拳銃を構える。


「アンジェラ…」


「…ふふ…よく来たな。会いたかったぞ…貴様を倒せずとも、せめて地獄へ道連れにしてやろう!!」



あまりの環境の変化に戸惑いながらビアンカは呟いた。


「アンジェラ…わたしも会いたかった。わたしは、あんたを殺して…」


不意に頭痛が襲う。

頭を抱え踞るビアンカ。

「ぐ…ぐうう…っ!?」

咄嗟に彼女を抱き抱えるアンジェラ。


「ん…?どうしたビアンカ!?」


その光景にほくそ笑むのはマルコシアス。


「やはりな…」


「ビアンカ!?…その顔は…」


抱き抱えていたアンジェラは驚愕の表情でビアンカの顔を見た。



アンジェラが見たものとは…






ラブーフ姉妹の居る幕舎を襲う巨大なパワード・スーツ。
“ウォー・ローダー”


ガブリエルの弟ラファエルが開発した物だった。

鋼鉄のカニの様な姿の“それ”は、まさに蟹鋏の様な巨大なマジックハンドと強力なマシンガンを装備し、駆使した途端に彼らを邪魔していたチャーチ・ウィルとパイレーツ・シルヴィアをあっさりと虐殺してみせた。


「コイツぁ〜スゲエぞ。ラファエル!?」


「当たり前だ。誰が作ったと思ってる…」


「はいはい。お前は天才だ。立派な弟を持って俺は幸せな兄貴だよ!」





一方、幕舎内の暗闇にて。


ラブーフ姉妹は怯えるでもなく、爆音を聞いていた。



「「ビアンカ…??わたし達を見捨てたの…??…

いいわ。ヴァージニア…来て!…ヴァージニア!?」」







《続く》


初掲載2010-05-06



急展開!!

物語は核心に迫る。


果たして、ビアンカの身に何が起きているのか?


そして、対するラブーフ姉妹やアンジェラの動向は如何に!?


いよいよ、完結も近い?
次回も見逃せないぜ!



いつも、ジャンキチック小説をご愛読ありがとうございます!!\(^_^)/

感想とか頂ければ感謝・感激・感涙の嵐であります!m(__)m
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