お題 君に届かなくたって




君に届かなくたって

君を慕うこの想いも

君を欲するこの熱も

決して無くなったりしないんだ


どれだけ月日が流れても

心だけはあの花びらの舞う美しい夜に

立ち止まっているから


闇の中で桜の精が見せてくれた一夜の幻

あの時間だけが

私に生きているということを

教えてくれたから


君の幸せを願っているなんて

そんな偽善を私は言えない

この消えない痛みを君も抱えていればいいのにと願う


たとえその指が幾度他の肌をなぞっても

唇が誰かに愛を紡いでも

最期に君の眼に浮かぶ面影があの桜の時であればいいと

ただひたすらに祈っている


君に届かなくたって…