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可もなく不可もなくただの詩的な何か

周りで喋る声や音が耳に入るものの会話の輪に入る気にならない時がある。

ただ釈然としないまま茫然としている。

茫然?

いや、忘却だ。

脳を使わずに呆然と作業をする事が忘却である。

つまり今この瞬間。

僕の頭の中はイメージも思考もメロディーも欲求さえも全てがないままに、ただただ手や、身体や、足を動かし作業をしながら息をしているだけの状態なんだ。

集中しているわけではない。

淡々と黙して語らずにいるのだ。

ひたすら手を動かす事だけがこの世の全てみたいな感覚に覆われた時、

チクリ…と、木の破片が指をかすめた。

小さな痛みを感じた瞬間

忘れようとしていた記憶が蘇る────


僕の脳裏を過ぎったのは嫌な事ばかりやどうしようもない事ばかりであった。


ひとつ、

ため息を漏らしたら次から次へと出てくる不満。



『ぼくはどうしてここにいるのだろう…』


────────。


指にぷつりとできた小さな赤を眺めて小さく笑った…

胸の奥底の鼓動が狂ったようにざわめく。

さて、これからどうしてくれようか‥‥
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