新兵のエリクソン(マイケル・J・フォックス)はミザーブ(ショーン・ペン)軍曹率いる部隊へ配属される。部隊は僅かな非番の後に長期の警備任務につくことになるが、任務直前ベトコンに煮え湯を飲まされ続けていたミザーブは、任務を逸した行為に出る。
ベトナム戦争で実際に起こった、アメリカ兵による少女強姦事件を描いた戦争ドラマ。


ジョン・C・ライリーと聞いて午後のロードショーで放送していたものを鑑賞。
TV放送のためDVD収録版とはかなり描写が異なる&カットもされていると思いますが、それでもとてもいい映画でした。

前半で兵士それぞれの背景を描くことで“なぜこのような事態になったか”を掘り下げ、ミザーブ以下4名の行動に人間味を持たせている。特に任務直前の非番の夜の出来事とブラウン(エリック・キング)の一件は、この事態の大きな要因になったと思う。ミザーブの行動は諸々への報復に見えた。
描かれていることは戦争ならではだけど、こうした事態は戦争じゃなくても起きそうなので、戦争映画としてはパンチにかけるかも。

物語は終始エリクソンの視点で描かれるけれど、観客の多くが近い立場にいるのがハッチャー(ジョン・C・ライリー)もしくはディアス(ジョン・レグイザモ)じゃないかな。
私たちが同じ状況に置かれてエリクソンのように動けるとは思えない。そもそも彼が事件に加わらなかったのは、新兵だったこともあるけど、妻子持ちだったことも強いと思うんだ。ママさんとオアン(トゥイ・トゥー・リー)に妻子を重ねたんじゃないかな。
そう判断する材料を丁寧にデ・パルマ監督が配置してくれている。やっていることは、大抵の人にとって人間とは思えない野蛮な行為なんだろうけど、それでも人間なのだと監督が強くアピールしている。そこがとても好きでした。

それから、ショーン・ペンとジョン・C・ライリー、ジョン・レグイザモの各シーンでの細かい表情がいい。
血まみれで線路を歩くオアンを、ミザーブはどんな気持ちで見ていたんだろうね。自分で撃てたのにみんなが撃つまで撃たなかった。
実際の事件ではこうじゃなかったのかもしれないけど、この映画の彼らは個人的には許したい。