夜にのまれた夜






ひとり静かに 賑やかな街を歩く






体温を奪う4℃の空気
かじかむ手をポッケに入れる
何故か頭に
分岐点になった人達の手が思いうかんだ






自分に自信がなく伸ばされた手を
掴むとができなかった手

掴んでない他の手を掴まれ
掴んでいた手を離した手

あの手を追い続けたけど
届かなかった手

傷ついたとき伸ばされた手を
払いのけた手

寒いとき温めてくれた手

寂しいとき招いてくれた手

悪い道へ導く誘惑の手

暗いところから
日の当たる場所へと導いてくれた手

染まりかけた手を
洗い流してくれた手

落ち込んでるとき笑顔で
ドンマイって肩においてくれた手



名前も顔も思い出せないのに
その手の温度だけが今も残っている


たしか 手は
脳より心より速く行動するんだよな
なんて考えながら


車に向かいひたすら歩く













この季節 方向音痴はつらい…






誰か車を停めたところへ導いて









合掌