元活動家のお父さんは言いました


世の中にはな 最後まで抵抗することで
徐々に変わっていくことがあるんだ

奴隷制度や 公民権運動がそうだ

平等は心優しい権力者が与えたものではない
人民が戦って勝ち得たものだ

誰かが戦わない限り 社会は変わらない
お父さんはその一人だ わかるな

おまえは
おとうさんを見習わなくていい
おまえの考えで生きていけばいい

おとうさんの中にはな 自分でどうしようもない腹の虫がいるんだ
それに従わないと 自分が自分じゃなくなる
要するに馬鹿なんだ









同じく元活動家のお母さんは
言いました


おとうさんと おかあさんは
人間として 何ひとつ間違ったことはしていない

人の物を盗まない 騙さない
嫉妬しない 威張らない
悪に加担しない

そういうの すべて守ってきたつもり
唯一常識から外れたことがあるとしたら それは 世間と合わせなかったってことでしょう

世間なんて小さいの
世間は歴史も作らないし 人も救わない
正義でもないし 基準でもない
世間なんて戦わない人を慰めるだけのものなのよ









先生は言いました


どちらが正しいか
先生にもわかりません

ただ ひとつだけ言えることは
あなたたち小学生の本分は
勉強だということです

大人の問題に
首を突っ込んではいけません

すべての大人には
いい部分と悪い部分があります

あなたたちは
それに振り回されてはいけません

もしも疑問に感じたり これはおかしいと思うようなことがあったら それを忘れないでいてください

そして 大人になったとき
自分の頭で判断し
正義の側につける人間になってください











父は勝てないことを知っている
それなのに 刃向かっていく

母はなんだかんだでついていく











戦いの後 皆の心に何かを残し


父と母は笑顔で
パイパティーローマを目指し
夜の海へ出航した









地図に載らない
波照間の先 秘密の楽園
















南の夢の島
パイパティーローマ