まだ雨が降ってもないのに
「あ、雨の匂いがする」と言いだし、しばらくすると実際に雨が降り始めるというように、

雨の気配を感じられるのが田舎育ちのか都会育ちの差だという 話がありますが。


雨が降り始めた直後に地面から立ち上るあの独特な香りは、田舎育ちの人でなくとも子どもの頃の思い出とともに記憶されている、懐かしい匂いなのではないでしょうか。


その”雨が降り始めたときに地面から立ち上る匂い”についてのお話しです。


雨そのものの匂いなのか、
それとも地面の匂いなのか?


地面の匂いならば場所によってその匂いに違いがあるのか?


あの雨の降り始めの匂いは「ペトリコール」というギリシャ語に由来する”石のエッセンス”という意味の名前がつけられています。



1964年に鉱物学者のベアとトーマスが発表した論文の中で作られた造語だそうです。


論文では”長い間日照りが続いた後の最初の雨に伴う独特の香りをペトリコールと定義しています。



“雨が降り始めたときに地面から立ち上る匂い”は、ある種の植物から発生した油が乾燥した土や石に付着し、
その油が雨にあたった瞬間に細かな粒子となって舞い上がることで発生するのだそうです。


さらにベアとトーマスは翌年に発表した論文の中”その油には種の発芽や初期の成長を遅らせる働きがある”とも述べています。


長い間日照りが続くと種が芽を出してもすぐに枯れてしまうから、植物は子孫を守ろうとこの油を出していると思うと、
自然界の営みは合理的であると同時に神秘的ですね。


そして”雨が降った後の匂い”というのもあって、
こちらは土壌細菌がつくり出すジェオスミンという物質の匂いなんだそう。


ペトリコールの”石のエッセンス”に対し、
ジェオスミンは”大地の匂い”という意味。
さらに雨の匂いにはオゾンの匂いも含まれているそうです。


そもそもオゾンという名前は
ギリシャ語の”におう”に由来していて、
清々しく強い香りだそうです。



香道のように雨の匂いを嗅ぎ分けてみるというのも雨の日の楽しみになりそうですね。