まぐだら屋のマリア

原田マハ








ある事件があって、今までいた場所にいられなくなった料理人見習いの紫紋(シモン)。



あてどもなくさまよった結果、
尽果(つきはて)というバス停に降り立ちます。



尽果にある定食屋、まぐだら屋で女店主、
マリアと出会い、働くことになります。


まぐだら屋で様々な人々と出会う中で、生きる気力を取り戻していく再生の物語です。






小説の舞台は、寒さ厳しい尽果という海辺の集落のまぐだら屋という定食屋です。


料理をする様子の美しさと、
季節が移ろう様子の美しさの描写が素晴らしいなと思いました。


主人公とマグダラ屋の女店主マリアが料理に取り組む様子は目に見えるようであり、
お腹がすいてきそうでした。


 また、主人公は約1年間、まぐだら屋で過ごすのですが、24話構成になっており、
頻繁に季節に関する描写ができてきます。


冬の寒さの厳しさ、寒い冬からの春夏への転換を感じる様子の描写が新鮮で
食べて寝て起きて季節を感じる、ということが生きるということの根本なのかな、と思いました。





この小説を読み、生きるというのはどういうことだろう、と考えました。
日々、いろいろやることはあるけれど、生きる為に必要なことは結構シンプルなのかなぁって、寝て起き、食べて、ヒトの役に立つという毎日の積み重ねが、 生きることなのかな、と思いました。





 小説を楽しみながら、このようなシンプルで深い 問いを考えることができ、とても良い小説だなと思いました。




原田マハさんの小説を結構読みましたが、
ハズレなしです。
多分、文章と私の相性が良いのだと思います。