「雨夜の月」は、現実にあると分かっていても、実際にそれを目で見ることはできないことのたとえとして用いられる言葉です。



また、そこから転じて
「想像するだけで実現しないこと」
「滅多にない珍しいことが起きること」
という意味も持っています。



雨が降っている夜には、
雲に隠れてなかなか月を見ることはできません。


しかし、たとえこの目に見えなくとも、
私たちは空に月があることを知っています。


「雨夜の月」はこうした様子や、なかなか手にすることができないものを表すことわざなのです。






いつから「雨夜の月」という言葉が人々の間で使われ始めたのかは定かではありません。


しかし、12世紀の日本で編纂(へんさん)された
勅撰和歌集(ちょくせんわかしゅう)である『詞花和歌集(しかわかしゅう)』の中に、
「雨夜の月」を使った歌があります。



それが「影見えぬ君は雨夜の月なれや出でても人に知られざりけり」という歌です。


会うことのできない恋人を雨夜の月に
たとえています。



この歌が直接の由来となったのかは分かりませんが、人々の間に「雨夜の月」という言葉が広がるきっかけになったと考えられます。





とてもきれいな響きのことわざですね。


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