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今更遅い

手を伸ばせば、届いたんだ。
別に、ただ、それだけだったんだ。救おうと思えば、俺が身代わりになる事だって出来た。
手を差し延べようと思った、大事な泉がこれ以上傷付くのは見たく無かった。
ただ、俺のココロの奥底に、もやもやした気持ちが渦巻いて、
そのせいで、多分何も出来なかったんだと思う。

泉も、多分…
俺がこんなだから、助けを求めなかったんだよね。

二年前の今頃

「泉、初詣行こうぜ!」
ばん、と開いた玄関で浜田の声がした。
「はぁ…、先輩受験なのに、そんな事していんですか…、」
「いんだよ、受験生だからこそ、神社だ!初詣だ!」
よく解らない理屈を並べて俺は渋々着替えた。

「久し振りだなあ、」
「先輩ん家、ごたごたしてるって兄貴が言ってましたけど…」
「あー、うん。」
「先輩も大変ですね、」
「まー、生きてりゃそんなもんだろ」
「……。」
「って、お前が沈む事ないよ、泉!」
わしゃわしゃと頭を撫でられた。

はまいず

部活が終わって、泉は珍しく俺の家へと遊びに来た。(てゆーか、泉が自分から言って来た!)
「いずみー?飯適当なもんでいー?」
「………、」
「……いずみ?」
何度声を掛けても反応が無い。
「いーずーみ?」
ひょっこりとキッチンから顔を出し泉を見つけると、机に肘をついてうつら、うつらと眠っていた。
(疲れてんだなあ…)
寝室から毛布を取って来てゆっくりとかけてあげた。

hmiz

「寒い…」
「俺も寒い」
帰り道、手を繋いで帰った。
右手は暖かいのに、左手は俺のポケットの中。
「ねー、」
「あ?」
「ちょっとコンビニ寄ろう」
「あー、うん」
コンビニに行って買ってもらったのは暖かいミルクティーだった。

ホントは手を繋ぐのは嫌いじゃない。
ただ、お前の体温を全部吸い取っちゃう気がして、怖いだけ。

hmiz没作品

授業中、黒板の前で話を進める先生の声になんか一向に集中できません。
俺の斜め前には大好きな大好きな泉孝介君が座っているのです。
うつら、うつら、と首を動かします。連日の練習で疲れが溜まる君はさも、耐え切れないでしょう。
なんせ、此処は太陽の光が1番降り注いでくる窓際です。
絶好のポイントですが、同時に睡魔が訪れます。
睡魔に負けまいと必死な泉に釘付けな俺は授業なんて、一切耳に入りません。
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