酷く吐き気がする、何度も何度も胃の中にあるものを吐き出した。
酷い頭痛がする、まるで鈍器で撲られたかのように、頭がくらくらして足元が覚束ない。
痛みに耐えながらも君の傍に行く。
あぁ、そうか、
君が、居たから俺はこんなに苦しいんだと思った。
じゃぁ、なんで一緒に居たんだっけ?
思い出せ無い、何も。
君が安らかに眠るベッドの横で俺は深い眠りにへと誘われた。
顔を真っ赤にして、息を切らして君は俺の居る所まで走り寄って来た。
話ってなんだろうなぁ、と頭の中で整理させながらも、皆が居るような所では話せる事じゃないのかな、と思うと胸がドキドキと高鳴る。
「あ、あのさ!」
一生懸命に息を整えながら君は言う。そんなに、急がなくても俺は逃げないのにな、可笑しくて笑ってしまう。
「さ、栄口ってさ、今好きな奴いんのっ?」
「…へ?」
急に話を振られたかと思えば、そんな事か。
目の前に居るキャラメル色した髪の男は、頬を赤らめながら言った。
「…え、っと…いないけど?」
「ホント?!」
ガシ、と腕を掴まれてびっくりした。
なんなんだろう、この男は…
そう思いながらも、掴まれた腕を振り払え無い俺が居た。
耳が、頬がヒリヒリ痛い。
君を待ちすぎた、この場所。
吐く息は白く、世界に溶け込む。
「あ、栄口」
「あ、おは、よ…」
「どうしたの、こんな時間に…寒かったでしょ?上がりなよ」
「いや、ちがくて…」
「…?」
君が優し過ぎるから、俺には眩しすぎて、存在が大きすぎた。
ごめんな、ごめん、だから、
さよならを言いに来たんだ。
きっと、不毛な恋だった、って事は初めから分かってたんだと思う。
自分に言い聞かせたけど、やっぱり、俺が三橋を好きなのは変わらなかった。(好き、と言うか尊敬なのかな、これは、)
阿部にけちょんけちょんに言われる姿を見ると、どうしても助けに行きたくなってしまう。
三橋は、頑張ってんのに、何でそこまで言う必要があるんだ、って。
俺にはイマイチ、野球の事分かんないけど…、それでも、努力して、皆に追い付きたいよ。
阿三←西