子供が主人公の話は結構好きだったりします。
この映画の主人公の親友を演じるのは、あの世界一有名な子役マコーレ・カルキン(「ホーム・アローン」)の弟のキーラン・カルキン。
なかなか可愛い子でした。

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体は人一倍大きいが、繊細で傷つきやすい心を持つマックス。
そのため引っ込み思案な性格で、さらに彼には学習障害があるため学校でいじめられていた。
しかも彼の父親は投獄中で、そのことが彼を更に苦しめていた。
そんなある日マックスの家の隣に、百科事典のような賢い頭脳を持っているが体の成長が止まる難病に冒されている少年、ケヴィンが引っ越してくる。
彼は小さな体をしているが気が強く、誰にも臆することなく意見を言う。
そんな小生意気なケヴィンと気弱なマックス、はじめはうまくいかなかった二人だが、お互いの弱い面をカバーしあって友情を育み、いつしか最高のコンビとなっていく。
いつも共に行動し、互いを強く信頼し、その友情はマックスの心を開き、彼は自分をいじめる不良に立ち向かえるようになる。
しかしケヴィンは知っていた。自分はもう余命幾ばくもない体であることを…。

シャロン・ストーンが初めて母親役を演じたことで話題になった作品。
ハンデを持った少年たちの強い友情と繊細な心を描いた感動作。

物語の要所要所にアーサー王伝説が絡めてあり、話の大きなポイントにもなっている。
ちなみに原題は「The Mighty」(勇者)。

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あらすじを読むと、よくある病気がどうこうでお涙頂戴な感じの話に見えますが、これは違う、と私は感じました。
二人が友情を育む過程、マックスが変わっていく過程、子供ならではの頑張りや意地や無茶、様々なことを優しく丁寧に映し出した作品です。

自分が一番気に入ったシーンは、花火大会のところ。
ケヴィンは歩行器がなければ満足に歩けません。
そのため彼は人の集まる祭りの類には行けませんでしたが、マックスに頼んで一緒に行くことに。
ところが肝心の花火が始まると体の小さいケヴィンは何も見えない。
そこでマックスが取った行動とは、ケヴィンを肩車すること。
それから彼は常にケヴィンを肩車します。
ケヴィンはマックスの頭脳、マックスはケヴィンの体。
二人はいつでも一心同体です。

主人公であるマックスは人物造形、描き方、演技どれも非常に素晴らしかったです。
大きな体とは正反対の小さなガラスの心。
幾つもの深すぎる傷を負った彼を、決して同情を誘うような可哀相な少年にせず自然に描き、心の動きを静かに見せてくれました。
ちなみにマックスは「バタフライ・エフェクト」で主人公エヴァンの友人レニー(割と重要な役)を演じた人です。

そしてマックスの親友ケヴィン。
彼は頭が良すぎる故に、なんでも知っていたのです。自分が永くないこともすべて。
しかしそれを知っているからこそ、生意気に気丈に振る舞い、マックスとの時間を大切にしていました。
誰にも弱みを見せず、明るく振る舞い…
そんな悲しい少年をキーラン君は本当に素晴らしく演じていました。

とにかく二人とも本当に素晴らしい!!
弱い面も強い面もきちんと見せてくれるので感情移入もしやすかったです。

そしてケヴィンの母を演じたシャロン・ストーン。
彼女もまた良い演技をしていました。
一人で育ててきたケヴィンと静かに暮らし、いつでも優しく彼を見守り、しかしケヴィンの病気のことになると取り乱してしまうことも。
そんな未熟な面を持つ良い母、という役柄を見事に演じていました。

感動作、というと軽々しく聞こえてしまいますが、この作品は心を大きく揺さぶります。
少年の成長、友情を優しく見つめたこの作品、是非観てほしいです。

では結末や細かいことは追記に。

マイ・フレンド・メモリー(1998)
主演:エルデン・ヘンセン
キーラン・カルキン
監督:ピーター・チェルソム