ボーッと日々を過ごすと


あっという間に時間が流れてしまう





帰り道、七海とドーナッツ屋さんに入った


私はチョコがかかったのがすき


七海は見た目甘党っぽくないのに


あまあまのものが好きだ



今日も選んでいるのはハニードーナッツ




なんだかかわいい



お皿にのったドーナッツを持って

空いている窓側の席に座った




ガタン……



「はー、学校おつかれ」


「疲れたの?でも、数学のとき寝てたわね」



「見られてたのか……!」



「あの先生、説明長いしね」


「そう!なの!ワカッテルゥ!」




ケラケラ笑いながら


話する放課後の時間って好きだ


ゆっくり時間が流れて、楽しめる




私が結構喋りたがりだから


七海はそれを頷きながら聞いてくれる



私はこういう時間がすき



だけどあっという間に時間は過ぎる





「ねー、七海」



「なに?」



「楽しい!まだいたい!」




空になったお皿を見つめる


もう帰らなきゃいけないサイン




「ふふ、嬉しい。でも帰ろうね」




私の頭をぽんぽんとして


立ち上がった





外に出て伸びをする



「さて、帰ろうか」


「はーい、、」




渋々歩く私をみかねて



七海が手を引いた




「また行こうね、今度はパンケーキがいいわね」




また行ってくれるのは、嬉しいけれど


ちゃっかり自分の食べたいものを

言ってくる七海




「ふわっふわのやつがいい!」



「いいお店知ってるわ」



くすくす笑う七海を横目に


すっかりウキウキになっている自分がいる



七海は私の扱いがうまいのだ





■□■□■□■






ガタンゴトン……



夕方の電車は社会人で溢れている


みんな疲れた顔してるなぁ





あと二駅……




キキーーーッ


車内にブレーキ音が響く




「!」




ドンッ



人の波に押されて

目をつむる




「っわ」




目を開けると

七海の顔が横にあった




顔が近くて少しドキドキする





「びっくりしたわね」



「う、うん」




耳元で喋られるからくすぐったい



あ、あと一駅……!




動くに動けないから着くまで耐える






「ドーナッツ美味しかったね。また食べたいわ」



わざとなのかさっきまで

喋ってなかったのに喋りだした





「んっ、ふふ。くすぐったいよ」



そう言って片手で耳をふさぐ




「かわいい」






くすぐるような吐息で喋る


意地悪だっ……




はやくつけ〜






■□■□■□■






「また明日ね」



分かれ道まで歩いて


バイバイした





七海が近くにくると



ドキドキしてしまう




これって距離が近いからなのかな










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