あ、キスされる……



七海の顔がゆっくり近づく



無意識に目をぎゅっとつむると



七海の顔は私の顔を通りすぎて


コツンと顎をのせた






「……キス、してほしかった?」




クスリと笑いながら

耳元で囁かれた





全身がビクッとして


甘い声に麻痺しそうになる





「違っ……」





慌てて口回りの砂糖をはらった


は、恥ずかしい……





「じゃあなんで、目を閉じたのかしら」





七海は顔を離して


砂糖をはらった手を掴んだ





「………ッ!」ビクッ





私の砂糖が付いた手をとって


指先を舐めた



生暖かい舌が指に絡まってゾクゾクする





「な、何してる、の」



七海はチラ、と私を見て


指を軽く噛んだ



「やっ、」



背中に流れるゾクゾクが頭まできて


のけぞってしまう






「夜空は、甘くて美味しい」




「そ、それは砂糖が……」






ビュオオオオッ!




急に風が舞い上がる様に吹いて




スカートがめくれた






「あっ!」




お弁当を持った手では押さえられず


七海は私の手を持ったまま



スカートはめくれ放題だった




徐々に顔が真っ赤になるのを感じる







「やっ、やだ!」



「レースの赤チェック可愛い」




冷静に七海は下着の柄を言う



やめてくれーーー






少し風が緩くなって


お弁当を横に置いてスカートを直した







「可愛い下着ね、見ちゃった」



「忘れて……」





恥ずかしさで泣きそうになりながら

パクパクと無言でお弁当を食べた










■□■□■□■





バタン……




屋上の扉を閉めて一息ついた



風強かった...





暴れた髪の毛を手ぐしで整えた



「夜空」



「なに?どうかした?」



「後ろのスカートが全開だわ……」



スルリとおしりを触られた







なん……だと……!?



気をつけたのに全開!?!




おしりを触られたのをスルーして


パタパタと後ろを払ってスカートを直す





「あっ、ありがとう……」




こんな複雑な思いのありがとうは


初めてだ






風の強い日にはもういかないぞ!





と、強く誓った













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