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ふたりの9



もぞもぞっと布団にもぐって


上を見る





「ふふっ、なんか楽しい」



こういうのって修学旅行みたい


友達と一緒に寝れるって新鮮だ





「本当に一緒の部屋で大丈夫?」


「うんっ!七海と一緒に寝たい!」




風邪が移るのを心配して


はじめは一緒の部屋で寝るのを


許してくれなかったけれど


せっかくなら看病しながら寝たいのだ






「冷えピタはり替えて寝る?」


「……そうね」



「わたしやるっ」



いそいそと冷やしている冷えピタを


取りに行って戻った





「前髪あげてね」


「ん、」




「!」ドキ






前髪をあげて目を閉じた七海に


息をのんだ






「...よぞら?」




ハッ……!


「ごめん、今から貼るね」



ペリペリ剥がして


ゆっくりおでこに貼った




「ありがとう、夜空」



あげた前髪を下ろした後

頭を撫でてくれた




「えへへ」


なんだか恥ずかしいな




「さて、寝ようか」

「そうだね!」



もぞもぞまた布団に戻る



「じゃあ、電気切るね」


「おやすみ、七海」


「おやすみなさい、夜空」





オレンジの微かな明かりの中



ベッドにいる七海の方を向いた




「......」





そわそわ、ドキドキして


目をぱちくり





くるっと七海が私の方をむく



「なーに、寝れないの?」




視線を感じたのか笑いながら言った





「ふは、ごめん」











▼△▼△▼△▼








「……ンっ」



カーテンから漏れる光が眩しくて


目が覚めた



..いつの間にか寝てたのか






ふと横を見ると七海が私を見ている




「!?起きてた?」


「ええ、少し前にね」


「な、なんで顔見てるの」


「可愛かったから、つい」




「....なっ」





かわっ、可愛いって...!


不意に言われて照れてしまう







「ねぇ、夜空ちゃん、お風呂入りたいわ」


「え?」




そういえば昨日の夜は入ってない


一泊だけなのに私だけ入るのは

申し訳なくて





「え、えと?入っておいで?」



ギシ、



「一緒に入りましょ」




ベッドから降りて

七海が近くに座る





って一緒に入る?!?







「身体洗うの、手伝ってほしいの」












.












ふたりの8



おかゆできたー!


なんかいい感じにできた気がする!!






テッテッと階段を上がる



ガチャ……



「入るね」





静かに入るとスヤスヤと寝ていた




テーブルにお粥をおいて


じっと横顔を眺めた







...美人だなぁ



初めて会った時から美人さんと


思ってはいたけれど




こう、まじまじ見ると改めて実感






まだ薬飲めてないし、起した方がいいよね





ユサユサ…………


「ななみーごはんだよ」





「……んん」




ゆっくりと瞼が上がり瞳が私をとらえる






「おかゆ、食べれそう?」



「うん、ありがとう」





むくりと起きて目をごしごし



なんか自然体の七海見るのは

初めてかも






じーっとお粥を見つめる七海




「……どうしたの?」




もしかしてまずそうとか!?


どうしよう(´・ω・`)





「ふーふーしてくれないのかしら」



ぽつと七海が言った





「....」






えーーなにこれなにこれ


めっちゃかわいい!




ほっぺ赤くしてうるうるな目で


見つめている





もちろん……



「してあげる!」






半分ぐらい食べて薬を飲んだら


またすうすうと寝てしまった








いやーなんかいいなぁ



看病って!ステキ!!








■□■□■□■






んんーなんか私まで眠くなってきたなぁ



アラームセットして


ちょっと寝ちゃおう





「むにゃ……」









■□■□■□■





「……夜空?」




おでこがぬるくなって起きると


夜空がいなかった



もう、帰っちゃったのかな




メガネをかけてから部屋を出た








下に降りるとソファーで


丸まっている夜空がいた






寝てる...





近寄って手の甲で顔を撫でる



「ん〜」






むにゃむにゃとする彼女はかわいかった








ゴク






無意識に夜空へと顔を寄せる









ピピピピピピ!








■□■□■□■





部屋に鳴り響くアラームで


目を開けると七海の顔があった




さらりと黒髪を揺らし


耳元に口を近づけた






「おはよう、夜空」




「!」




ぞわぞわっとして、体が仰け反る




「おは、、よう」





手探りで携帯を探してアラームを止めた





心臓がドキドキして


状況がうまくつかめない





「起きたんだね、七海」


「ええ、だいぶ楽になったわ」




にこりと笑う七海はいつもどおり




「もう暗いけど、帰らないの?」



窓を見ながら七海が言った




「心配だから、泊まっちゃだめ?」



「もう大丈夫だけど..暗いし不安だわ」





今は夜の9時くらいで


外はもう真っ暗










「親御さんがOKなら、泊まって?」




パアッ





「わー!泊まる!泊まる!」







こうしてお泊まりが決定した














.







ふたりの7









ふぅ、とうちゃーく



「七海!着いたよ〜」



なんとか2階の七海の部屋まで
連れて帰ってきた


家に来るの久しぶりかも





「制服シワになるから着替えてね」


「うん、」


「お母さん帰ってくるの何時くらい?」


「……10時くらい、かな」






遅いなー、ご飯とか
やっぱり作った方がいいよね




テッテッと階段を降りて

冷蔵庫をぱか





「....ないなー」




とりあえずいろいろ買ってこよう




氷枕だけ作って2階に上がる




コンコン


「着替えた?」



「ん〜」


「入るよ?」





ガチャ……





ぽけーっとしているままだった


ダメだこりゃ……





「飲み物とか買ってくるね、これ氷枕」


「ありがとう、夜空」





ほんのり顔が赤くてなんだかこんな姿は


見たことがないから新鮮だ




「着替え無理そう?」


「ううん、ごめんね、大丈夫」




冷たくて気持ちいい氷枕を

だっこして七海は笑った






「いい子にしててね、すぐ帰るから」


「わかった」







■□■□■□■





家を出てドラッグストアに向かった




お母さんには遅くなるって

メールしておこう







■□■□■□■







ガチャ……




ただいまー



ってなんか人の家だから

何回入っても緊張しちゃう





買ったものを冷蔵庫に入れて


静かに階段を上がった






「かえったよー」



なんとなく小声でドアをあける





「あ、おかえり」




寝てるかと思ったけど起きてた

ちゃんと着替えてる




「お粥食べれそう?」



薬飲む前に少しは食べないとね





「大丈夫だよ、心配かけてごめんね。
 あのときクラっとしただけだから」



「でも、、」



「家帰るの遅くなって心配かけないの」





こんなときでも人の心配...

置いて帰れるわけないのに



「でも……!」







ピリリ……ピリリ……!






反論しようとしたら

携帯の音が鳴った


わたしじゃなくて七海の携帯だった





「誰から?」


「お母さんだった」



買い物の間に風邪ひいたって

メールでもしたのかな?




「お母さんなんて?」


「...」





七海が携帯を見て黙った


んん?




サッ




「あっ」



メールを覗くと






ごめん、今日は帰れない

ごはん代は後で出すから






と、きていた




覗かれた七海は呆れた顔していた





ん?待てよ?



今日帰ってこれない?


じゃあ風邪なのに一人?






「七海ちゃーん、お世話しますね」にこっ


「ごはんできるまで寝てて!台所借りるね」




話しながら
サッサッと七海をお布団に入れた




「はぁ……お世話になります」



諦めたように七海が言った





観念したようだな!ふはは


おとなしくベットで寝なされ!





なぜか勝ったぜ!と思うわたし




さっ!おいしいお粥作ろ!












.











ふたりの6





待て。なんでこんな落ち着かないんだ。







七海のこと、嫌いなわけじゃない



親友だと思ってて、それで...






なんでも話してきたし


好みの男性の話もした。




その時、七海はどういう顔してたんだろう



辛かったの、かな?








「……ぞら!」

「よぞらー!夜空ってば!」




「ん、?!」ビクッ



「夜空プリントとって?」


「あ、あぁ、ごめんね」




ぼーっと考えごとしている間に

ホームルームか。






……風邪に注意しましょう、ね



ガサ




はぁ、朝からあんなこと言われて


授業に集中出来るわけないよ...









■□■□■□■






今日1日ぼーっとし過ぎて



数学では違う答え言って恥ずかしかったし


実験は失敗しちゃったし



ヘマばっかり、、





なんとか掃除の時間まで過ごしたけど


お昼は七海を避けちゃって


ひとりごはん...






「はぁ」


「夜空、大丈夫?今日変だよ?」



友達が心配して話しかけてくれた




「ごめんね!大丈夫!」



サッサッとホウキを動かす



「そっか!無理はしないようにね〜」




と言って戻っていった






机を戻して掃除を終えて


ホームルーム。







このまま七海を避けて生活するの


考えられない。





避けるんじゃなくて


むしろ普通に接するべき?







「じゃ!気をつけて帰れよ!」




ガタガタ





みんなが帰り始めて



机に陰ができた



顔をあげるといつもと同じ七海がいた。






「……七海。」



「帰ろう?」




少し笑って七海はそう言った




「うん」



「じゃあ、行こう」






廊下を歩いて靴をはいても



無言が続く






こんなに気まずくなるのは

嫌だなぁ、、







ザリ、



「ねぇ、夜空」




「なに?」




「逃げたでしょ、お昼」



ビク


そのこと言われるのかー


うぅ、普通無理だよ、アンナコトあったのに





「明日はちゃんとおいでね、屋上。」





じっと私の目を見つめて言った






「え、ぁ、はい……」





条件反射で答えてしまったぁ!






「いい子」



よしよしって頭を撫でられた




ふわっと前髪をあげられて






ちゅ、









「約束」






おでこにキスをした





「ッ!」





背中にゾワゾワしたものが

下からきて



私の脳を真っ白にした









「……やだ、夜空」



「?」



「とってもエッチな顔してる」






!?!???



なっ



えっ、えっち?!





「キス好きなの?夜空って」





くすくすと笑う七海をよそ目に






そんなこと、ないのにっ





なんとも言えない恥ずかしさで



早く家に帰りたいよ...







ドサ



「な?」



急に何かと思ったら七海が地面に

ペタリと座り込んでいた




「!??七海?気分悪い??」



ぺた、と額を触ると熱くなっていた





熱か!!!




いっぱいいっぱいで触られても


気づかなかった...





「ごめ、、よぞら、大丈夫だから」



そう言ってふらふらと

立ち上がろうとする





「家!送る!」






ぐいっと肩を持って七海と



家に歩き始めた












.









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