私の好きな歴史上の人物、物語の登場人物たち。
*ルクレツィア・ボルジア及びその兄チェーザレ・ボルジア
カンタレラという毒薬の伝説を持つ、ボルジア家の兄妹。
ローマ皇帝と同じ名をもつ、
激動のイタリアを、冷酷で優雅な野望と共に駆け抜けた君主チェーザレ。
血なまぐさい時代の中にありながら
激情に生きた高貴で美しいヒロイン、ルクレツィア。
強い絆で結ばれた輝くばかりに美しい二人には、どのようなドラマがあったのでしょう。
*エリザベート皇后
のびのびと自由奔放に育った少女。
そしてその少女のまま大人になり、フランツ・ヨーゼフに嫁いだ皇后。
世に冠絶する美貌、文句のない血筋、当時は珍しい恋愛結婚。
誰もが羨む最高の人生。
しかし彼女は常に孤独を共として、ハプスブルクの黄昏を生きました。
呪縛から逃げ続けるように、ヨーロッパ中を放浪し続け
息子には先立たれ、自らの美貌の衰えを恐れ。
星の髪飾りを身につけたシシィは
孤独と自由と共に駆け抜け、彼女に相応しいドラマティックな最期を迎えます。
彼女が愛していたのは、そして彼女を真に愛していたのは、死神だったのかもしれません。
*オフィーリア
かの有名なシェイクスピア四大悲劇のひとつ、ハムレットのヒロイン。
五月の薔薇、可愛い乙女 、優しい妹。
愛したデンマーク王子が去り、父親は土に葬られ。
無垢なる狂気で歌い続ける、悲劇のヒロイン。
「これがローズマリー、どうか憶えていて、愛しい人」
そう囁いたとき、
そして花に囲まれて水底に沈んでゆくとき
彼女の瞳には誰が映っていたのでしょうか。
「さようなら、愛しい人」
*和泉式部
平安の女流歌人。
紫式部と同じく、中宮彰子に仕えた。
為尊親王の寵を受けたが、親王は若くして儚くなる。
その後は敦道親王に愛され邸に迎えられるが、またも死別。
親に勘当ようが、世間から浮かれ女と後ろ指をさされようが
ただひたすら、愛に生きた情熱の女。
途方もなく切なく、際限なく情熱的な恋の和歌を詠ませれば天下一品。
和泉式部日記に記された素晴らしい和歌のやりとりは
千年経った今も目が眩むほどに輝きを放っています。
*エリザベス・ベネット嬢
女流作家ジェーン・オースティンの代表作「高慢と偏見」のヒロイン。
十八世紀英国中流階級らしい教養と暖かみの両方を兼ねそろえた娘。
大人しいだけではない、美しいだけではない。
上品でありながら活発で、聡明さと愛嬌があり、勝気で芯が強く、愛情深い。
ミスター・ダーシーに嫁ぐことができたリジーが幸運なのではなくて
リジーと結婚できたミスター・ダーシーこそが幸運なのだと思わせるほどの魅力的なひと。
女性が憧れる女性。