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こんなに頑張ってるのは 図書館で借りたご本です。 初めて拝読した、みしまゆきお氏の著書。 滅多に拝読しない、日本の戯曲。 す、素晴らしかった…! もう、絶句です。 こんなに素晴らしい作品に今まで出逢えていなかった自分が恨めしいです。 "女の舞台"である『サド公爵夫人』 "男の舞台"である『わが友ヒットラー』 まずこの対比、対称が実に洒落ています。 サド公爵夫人は哲学や思想的な長台詞がやや退屈に思えるところもありましたが 台詞の紡ぎ方、言葉の選び方のなんと素敵なこと。 やはり、こういう時代の、 命をもって紡ぎ血でもって綴った文学というのは胸を打ちます。 わが友ヒットラーは、本当に感慨深い作品でした。 ヒットラー、レーム、シュトラッサー、クルップ、 ひとりひとりの登場人物が魅力的で、滑稽で。 あとは、戯曲、舞台としての構成や理念には本当に感服致しました。 これが小説と戯曲の違うところですわよね。 伝えたいことばかりを並べては、観客は退屈。 けれど信念のない劇などただの猿芝居。 同じく本書に収録されている自作解題ではそういう、 みしま氏の脚本家としての想いも拝読できて、心底感動いたしました。 それにしても、舞台上の立ち回りや演出にこれほど細かく注文を出している戯曲も珍しい。 まあ、アリアは日本の、それも比較的新しい時代の戯曲は読まないので 比較がシラーとかチェーホフとかシェイクスピアくらいなのですが… 思い違いでなければ確か、イプセンもこれくらい細かくト書きしていたような気がいたします。 暫くアリアの中でみしまゆきお氏ブームが到来しそうです。 今回は借りて読んだのですが、自分で購入して何度も拝読したいご本でした。 * ← → bookmark |