始めて吸った赤マルに激しくむせて、目頭が熱くなった。肺がぴりぴりして足先まで小さく痺れた。
高校を卒業したばかりの18の春、すべてに嫌気がさしていた。

やりたいこともやるべきことも見えなくなるほど迷走していた。
たぶん、心も頭もからっぽだった。
ぼくたちはそんなからっぽを埋めようと、朝から晩まで夢を語り合った。
なにもないから夢を語ってごまかした。明日を生きたくないから過去のことばかり話した。
立川南口にあるルノワールで酒も呑めないぼくたちは毎日のように酩酊した。
夢と過去に泥酔した。

中央線車内のスーツと制服に吐き気がして、これから数十年と繰り返されていくであろう日常という重さに眩暈を覚える。
逃げ出す気力も勇気もなかったぼくは粛々と家路を戻り、恐怖の大王に祈るのがせいぜいだった。


99年7月。
ぼくは発病した。
怠慢に浸っていた罰が下ったのかもしれない。
14の頃から待望していたこの日がこんなかたちで訪れるとはなんとも皮肉に満ちた、滑稽な話だ。


1999年7の月。
恐怖の大王はたしかに爆裂した。
ただ、ぼくの頭上だけでね