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午後5時、夕日の見える窓際席で

街に似つかわしくない大きなロータリー、長崎屋、西友、ありきたりなファストフード数店舗――武蔵小金井駅北口を降りると東京多摩らしい名前のない風景が広がっている。
そんな寂れた駅から5分ほど歩くと2階建てのモスバーガーがあった。
10年以上まえ、僕が高校生のころ、学校帰りにそのモスバーガーに寄ることは特別な時間だった。
夕方5時のその店はいつも僕ひとりきり。お気に入りだった窓際席に座ってMDのスイッチを押すと、世界に自分ひとりになったような気持ちを覚えている。
西日が差し込む窓際で古本に目を落としたり、走り去る中央線を眺めていたり。
毎回変わらないメニューを食べながら。夕日が沈むまでそうしていた。

そのモスバーガーは今はもう潰れてしまったらしい。
武蔵小金井駅も線路の拡張工事や駅前開発をしていると聞いた。
しばらく帰らないうちに駅前は変わり、僕の知るあの街のあの駅前はなくなってしまったみたい。

僕の知る武蔵小金井駅は、思い出のなかだけで再生される。
そのうちに色はかすれて、映像も擦り切れてしまうのだろうけど
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