話題:ひとりごと

いくらか話のストックがあるので、過去に遡る。

私が初めて街コンに行ったのは、大学生の秋だった。
サークルでも、バイトでも出会いのなかった私は、当時何故か仲の良かったパリピのパリ美に街コンに誘われた。

正直初対面の人と話すのは嫌いなので渋っていたが、当時19歳彼氏歴無し処女。
今と年齢しか肩書きは変わらないが、当時もそれなりに焦っていたので、とりあえず街コンに参加することにした。

参加した街コンは80名ほどの規模であった。
女性5名がテーブルにつき、男性5名が10分おきに各テーブルを回るシステムだ。

ぱっと見、女の子は可愛い子もちらほらいたが、男の子はパッとしないかチャラいかの極端だった。

当時私はバイトの先輩に片思いをしており(薄顔イケメンだったので、薄顔さんとする)、薄顔さんと比べると街コンに来ている男はみんなしょうもなく思えた。

そしたら、だ。
最後の席交換でやってきた男性。
身長は180cmはあっただろうか、1人で来ていたようで、席につくなり誰と話すでもなく遠くを見ている。
その顔が、まさに薄顔さんそっくりだったのだ。
一瞬、薄顔さんが街コンに来たのかと思うほどだった。

薄顔さん似のイケメンは、周りの人の話をにこにこしながら聞いていた。無理にテンションをあげて話を盛り上げないところも、当時の私には高ポイントだった。

自分から話しかける勇気など到底なかったが、ただ、このチャンスを逃したらダメな気がした。
いつもは自分みたいな人間がイケメンに話しかけるなんておこがましいと思うが、でも、薄顔さん似イケメンになんてそうそう会えるものではない。
勇気を総動員してこう話しかけた。

「はじめまして。バイトの先輩にそっくりで、ビックリしました」

すると、薄顔さん似イケメンはニッコリと笑ってこう言った。

「その先輩のこと、好きなの?」

何も言ってないのに何故分かった!?!?
私の頭は完全にパニック状態になり、何も答えられずにいると、薄顔さん似イケメンは、

「だから話しかけてきたんだね」

とだけ言って、そのまま去ってしまった。

そんなに悪いことをしたわけではないと思うのだが、何だか責められたような気がして、ネガティブな私はそこで大変落ち込んでしまった。

結局その薄顔さん似イケメンとはそれ以降話すこともなく、何となく苦い気持ちで街コンは終わり、そのまま社会人になるまで街コンに行くことはなかった。