その手で終わらせてくれるのならば

2022.2.12.Sat 23:47




「殺していい?」


優しく甘い口で言われたものだから。
頷けなかったが

「うん」

とだけ返した。

すぐにひよって手を離す。
途端に、わたしの身体は全身で酸素を吸い込むのだ。

ひょっとしたら、わたし、
殺してくれる人が好きなのかも、
と思った。

そうだったら、誰でもいいのでは?
と、疑問符。

殺人鬼でも、通り魔でも。

ただ、その大きくて細い手が
ぎちぎちと音を立ててわたしを壊していく様が好きなだけ?

所詮、恋愛感情等ではない。
ただ、お互いがお互いを利用しているだけの関係を
繰り返して何回目?

眠るように落としてよ、その手で。

ああ、でも、そうしたら
あなた、捕まっちゃうね?
それは困るなぁ。

嘘か本当か

「かわいい、すき、」

の言葉を
いつもの様に聞こえないフリをした。


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