2016-2-20 01:16
妙義の白狐
狐話で思い出したから書いておく。
私の小さい頃の体験談なのですが…恐らくホラーの分類に入る。
ので、一応スクロール(しかしPCはあんま関係ないw)。
群馬県は山に囲まれているので、登り放題遊び放題なのです。
私が幼少の頃から山登りが大好きで、特に妙義山がお気に入りでした。
因みにこの妙義山、かの有名な赤城や榛名に比べて小さいものの道のりが非常に険しく、デッドオアアライブよろしく獣道または岩石の塊をよじ登る的な楽しみ方なのです。
ぶっちゃけ死人数多です。
そんな妙義山のあんまり目立たない処に(今もあるかわからない)小さな稲荷の祠があって、私は毎回妙義山を登る度に「来たよ!」と挨拶してました。
妙義神社(本堂)が祀っているのも稲荷だったかは定かではないんですが(おい)…朱色の漆で模様や口が描かれた白い陶器の狐が印象的だったのは覚えている。
母が男に走っていて暫く妙義に行けない時期があって…旅行だか何だかでその浮気相手と母と私でいつもとは違う山の麓に遊びに来ていた時のこと。
私はどうしても山登りがしたかったのだけど母は乗り気じゃなくて…やっと説得(駄々捏ね)して登り始めたのが空がオレンジ色の頃。
その山は低く全体的に緩やかな道のりなこともあり、途中まで登って母は先に降りて行きました。
散歩コースの丘に木が生えた程度の山だったので、私も暗くなる前にさくさく登ってすぐ帰る気で歩いていたのです。
するとちょっと遠くに狐がいたんです。
普通に野生の狐だと思って「あれ犬じゃないよな…狐さんだよな…あとで教えてあげよう」って思うじゃないですか。
それが此方に向かって降りてきて、違和感を感じました。
黄昏時なのに白く(ぼんやり光って)見える。
走り方が宙を浮くようにふわふわしてる。
どこかで見たような朱色が見える。
でかい気がする(小学生低学年の腰の高さまである)。
その狐は私の横を通りすぎた後、じっと此方を見詰めてきました。
まるで「おいで」と言われているような気がして、考える前に身体が勝手に後をついていったのです。
その狐は距離が離れても私が追い付くまで立ち止まって待っていてくれて、必死に追い掛けて……気が付いたら麓の旅館の前にいました。
当然ながら、狐の姿はなく。
後日、そのお忍びの旅行先が誘拐殺人事件現場として新聞に載っていました。
私と同じくらいの女の子が、あの日あの時間帯あの山の頂上付近で殺されていたそうです。