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君はいつも

ふと、気付いた時、街はもう秋の終わりだった。



「……はぁ〜ぁ。」


何故か盛大にため息をついた。
それが何故かと問われても、きっと答えられない。




…本当に、ただ、なんとなく





「ため息なんて、らしくないのな。」


隣を歩いていた男が、意外そうに言った。



「え?そうですか?…よくついちゃいますよ?」



「ふーん。オレといるときは…気になんないけど?」


顔を覗き込まれる。
…正直、私はまだ慣れてはいない。
この人の行動に。



「あ、響さんといるときは無いですね。」



――ため息をつくと、幸せが逃げる



もしもその言葉が本当に本当ならば、私はものすごい量の幸せを逃がしていることになりかねない。




「―――どーして?」



「何がですか?」



「どーしてオレといるときはため息つかないの?」


この人は、いつもいつも
隠したい部分にだけ
入り込んでくる



「…いや、ついてますよ?全くついてないわけじゃな「そんなのわかってるって〜」」



あなたは、私といる時
とても楽しそうに、笑う。



「…もったいないから。」



その笑顔が、大好きだから。




「ん?」



「幸せじゃないときに、“幸せ逃げる”って言われても…ピンと来ないじゃないですか。」


「ふむふむ。」



それ以上は恥ずかしくなって



「……そーゆーことです。」



誤魔化してみた。



「―――うーん。……で?」




「………。」


「どゆこと?」



そんなに嬉しそうな顔で
私に答えを求めないで





「………わかってて言ってるでしょう?」



「そりゃもちろん。」



あぁ、もう!
もう…誤魔化せない。



「―――っ…幸せな時には、あんまりため息つきたくないんです!…本当に逃げそうだから。」





「……話を要約するとー、ひーたんは俺にべたぼれってことね☆」



なんですか、その☆は。




「…うるさいなぁ、響さんもそうなくせに!」


「うん、そだよ?俺はひーたんにべたぼれー」





「……聞いた私がバカでした。」





これじゃ、まるで……





…出てきそうになった単語を直前で飲み込んだ。








◆◆◆◆◆◆◆
こんばんは。御鐘でございます。
某コミュニティサイトにあげた日記(小説)でした。知り合いに見られてもめげないぞ!(苦笑)お目汚し失礼いたしました。
あれ、何がしたかったんだろ←バカ
ひーたんは響にべたぼれです。同じく、響もひーたんにべたぼれ。
…うらやましす←

2008/10/19 都代御鐘

君が望むなら



何でもします
貴女の為ならば


さぁ、お申し付け下さいませ




お姫様





【君が望むなら】






「……雨かぁ…」




窓の外を見た彼女は、残念そうに呟いた。




「なぁに?ひーたん。そーんなに俺と動物園行きたかった?」




そんな声をかけても、素直に“うん”と言ってくれるとは思っていない。






「……はいはい、動物園には行きたかったですよ。」






「んなに“動物園には”を強調しなくたっていいじゃん。」




知っていても、わかっていても、ほんの少しだけは傷つく。…まぁ、そんなのは後から取り返してやるんだけども。




「……はぁ、見たかったなぁ…」


窓から目を離し、ソファーに座り込んだ彼女の隣に腰かけて、顔を覗き込んだ。




「?」




「…ワニ」



「そうそう見たかったよね〜ワニv…ってワニ?!」



想像しないような名前が出てきたことに少しだけ驚いた。よりにもよって、アザラシでも、キリンでも、レッサーパンダでも、パンダでも、ウサギでもなく…



ワニ。




爬虫類?




「え?見たく無いですか?」


然も当然のことのように、ものすごい勢いで振り向いた彼女の目は甘味を前にした時のように輝いている





……冗談ではなさそうだ。




「ワニを?」


「ええ。」



「クロコダイル?」


「はい。」




「………いや、その…」




さすがにちょっと口ごもってしまいました。


「………。」← しょぼん



彼女がむぅ、と黙り込んでしまえばコレはかなり危ない。頑固だから一度機嫌を損ねると、取り戻すのにはけっこう時間がかかるのだ。







頭の中で必死に考える。
(でもそんな時間すら愛しい)






ワニ、ワニ、……ワニらしきものがいるところ――――






「……うーん…あ!よし!ひーたん、出かけよ!」




そして、頭に浮かんだ場所。




「ドコへ?」





「トイ●らス!…あそこならきっとワニもいるよ!……ね?」



あのこどもの国ならば、たくさんの動物のぬいぐるみが並んでいたはずだと思われた。




あまり多くの人は知らないが、彼女はぬいぐるみが好きだ。彼女の通勤鞄にはマスコットがついているわけではないし、使っている道具がキャラものなわけでもない。



一度どうしてマスコットなどをつけないのか?と聞いたことがあったが




“会社の人にからかわれるのがイヤです。”


だって私なんかが持ってても可愛くないでしょ?



と言われたことがある。




――彼女は案外、自分のことがわかっていない。


これは、外見的にも内面的にも。




俺が今いるこの彼女の家(正確には居候扱いらしいが)にはぬいぐるみが溢れている。しかし、ワニのぬいぐるみは無いように思われた。




それは何故か



「……わにお君」



彼女は“買えない”



「何それ?」



自ら、ワニのぬいぐるみを買うなんてことができるハズがない。



「小さい時から考えていた、もしもうちにワニが来た時の名前です」




小さい頃から、欲しかったものをずっと我慢し続けて生きてきた。




“もしも”




そう、思いながら



我慢しなければ生きられなかった。





俺は、そんな彼女の不器用さを知っている。







「……そか。よし!じゃ、わにお君を探しにいきますか?お姫様?」






俺しか知らない、君も俺が知らない、君も



「…はい。」






全てがいとおしいから



さぁ、お手をどうぞ




俺だけのお姫様。








‡‡‡‡‡‡
おはようございます。御鐘です。
朝からひーたん&ひーたんです。今回は彼の方(響)の視点でのヒバリちゃん。彼もヘタレでテキトーですがヒバリちゃんのことは考えています。
では、最後までお読みいただきありがとうございました。

2008/10/03 御鐘

彼と私と不審人物

あの時の彼には感謝してます。

そうじゃなきゃ、きっと私は




彼と出会っていなかったから








‡彼と私と不審人物‡









それは、蒸し暑い日の夜。


星空…だったっけ、覚えてない。




「――ウザイんだよっ!」



「―――……はい。」



ある居酒屋を出た後で、彼は私に怒鳴り付けた。







こんなことは日常茶飯事だから…。そう思って、諦めている自分がいたり…



早く別れたい――
そう思う自分もいた。


「わかってんの?!」



…正直、全くわかってません。





「……はい。」




初めはこんな人じゃなかったのにって、月並みなこと考えて、うつ向いて、自分の愚かさを悔いていた。





「―――早く、帰るぞ。」




そんな時にいきなり、疑問が浮かんできてしまった。






「…あ、あの。」



「んだよ。」






―――ねぇ。






「私のこと、まだ好きですか?」




それだけあれば、後はいらなかった。




好きでいてほしかった。
自分が彼を思うよりずっと。








「バカじゃねーの?」


「え………」



先を歩いていく彼が戻ってきて、片手で頬をつまんだ。





「いた…っ!」







「顔が良いからって、チョーシ乗んなよ。」




「―――――な……っ!!」







“ずっと、ひばりだけを好きでいるから”



“―――はい。”






「へぇ、泣いてんだ。泣くんだ、お前。」



「…………。」




もう、最悪だ。



ただ、ただ
好きでいてくれるだけでよかったのに。






他には何も、望まないのに






「――――っっ…」


涙が溢れたその時






「―――バカだなー。」


彼の後ろに誰か、立っていた。




「もちろんお前のことね、オ・マ・エ。」



彼を指さしながら、軽い感じに言いきる男の人。



「――んだよ、お前。」




私の頬から手を外さずに振り返った彼。





てか、引っ張らないで。ものすごい痛いから。





「え?オレはひーたんの大事な人?」





「「はっ?!」」



私と彼は、同時に声をあげた。




「だからさぁ、汚い手ぇ退けろよ?うっぜぇ男。」


ニヤリ、と笑ったその人は




「―――ね?ひーたん?」



語尾にハートマークをつけて来た(あくまでもニュアンス)けど





「……誰ですか?アナタ。」





私には、覚えない顔だった





それが、響との出会いだった。




‡‡‡‡‡
こんにちは、御鐘です。…ノープラン万歳。名前は完全にノリで決めました。
さて、ひーたんはどうして響と一緒にいることになったんでしょうか?

私も知らなry
精進します。

2008/09/03 御鐘

おかえり







「お帰りなさい。」



何日も帰ってこないのは、いつものことだったから、彼の姿を見て精一杯の笑顔を向けた。




「うん。」



彼が理由を言わないことも、しばらく沈黙も、いつも通りのことでわかっていたことだから。



「………。」




ただし、一ヶ月も帰ってこないことは、今まで無かった。無言のまま、ソファーに座る私の隣に来た。





「…あ、夜ご飯もう食べました?私はまだなんですけど……今日お隣さんが煮物とか持ってきておすそ分けしてくれたんですけど、でも私としてはですね――」



自分にしては沈黙が苦痛で仕方なくて、早口で捲し立てるように話し出す。どんな顔したら良いのかわからなかった。私はどうすればいい?怒ったら、貴方が離れていきそうで怖かった。


「ヒバリ」



名前を呼ばれ、ソファーから立ち上がろうとした所で手を掴まれた。



「―な、なんでしょう?」「ゴメン。」



初めて聞いた、声だった。



「一ヶ月も……、待っててくれるなんて、思わなかった。」



腕を引っ張られて、包まれた暖かさに、涙が出そうになった。でも、出そうになっただけ。ここで泣きながら抱きつき返せば、きっと彼は優しくしてくれるはずだけど…そんな芸当、私にはどう頑張ってもできる気がしない。


それにしても、私はそんなに信用が無かったのだろうか。いくらなんでも「待っててくれるなんて、思わなかった」とは、酷すぎやしないだろうか。





「――本当に、ゴメン。」



ともあれ……彼は、震えている。私に出来ることは、ただ黙ってこのままおとなしくしていることしかない。



「……いいです、怒ってないですから。」


「………そっか。」



――あ、やっと笑った。



「……そです。…ご飯にしますから放して下さい。」



「………。」


えー。と言わんばかりの顔。
そんな顔には騙されてあげません。



「そんな顔をしてもダメなものはダメですっ!ご飯にします!」



「へーいへい。俺、オムラ…「―――オムライスです」」



「―――へ?」




「……言われなくても、オムライスですから。」


それだけ告げて、料理を再開した。
彼は「そっか♪」と(あくまでも“♪”は彼の声から私が推測したニュアンスだが)言って、ソファーに座ってテレビを見出しした。

あぁ、やっと帰ってきた


私たちの日常が。





「ひーちゃん大好きー!俺、ひーちゃんとこ以外お婿に行けないww」



「行かなくていいし、来なくてもいいですっ!!」




そんな彼と今も一緒にいるのは、また別の話。






‡‡‡‡‡‡‡‡

こんにちは、御鐘です。
これは、某ソーシャルなんちゃらの日記にあげたものに、加筆・修正したものです。
女=ひーたん=ひばりです。
「ひばりちゃん」の苗字は決まってます。因みに男の方は…何と無く決めてます(笑)

しばらく、ひばりちゃんとダメな彼氏さんにお付き合い下さいませ。

2008.8.21
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