どうしようもない衝動がときどき抑えられずに身体は揺らぐ、頭のなかで誰かが噂をしている。涙が勝手に溢れてきて、毎夜毎夜こわれた水道みたいに泣いてしまう。関係ない物にも人にもその怒りに似たような、虚しい感情を当たり散らすのは許されないと思う、し、みんな許されないというから。だから自分の腕を切る。いつか誰かを殺してしまうかもしれません。だからわたし、子供は産みたくないのです。生き物としての欠陥。腕切ると頭に冷たい風が通り抜けるよ。すずしい。

わたしは自分が恥ずかしい。鏡の中の自分が気持ち悪くて、美容室と服屋さんは苦手になってしまった。だからといって努力する気力もなく、今日も明日も醜い体を、肉を、引きずりながら生活する。朝起きて、仕事に行って、お風呂に入る、それだけなのにとてもしんどい。生きていくのは疲れる。お金のことしか言われないね。こうして無駄に、何一つ成し遂げられることもなく、日々すこしずつ擦り切れていくだけなのに、電気ガス水道交通費食費でわたしの価値のない生活が、人生が、保証されている。なにも考えたくなくて、なにもしたくなくて、自分がもう二十一歳とか信じられない気持ち。甘えぬいて腐り切った、わたしの鈍色のたましい。眠ることは、一種の仮死状態で、わたしは時間がある限り、ずっと眠り続ける。生きることから逃げたい。死ぬ勇気も気力も責任取る気持ちもないから、逃げ続ける、だけ。人間として欠落している。

世界はすべて虚構で、わたしも八割方虚構だったよね。ふつう の色彩で絵がかける人は精神病ではないと昔お医者さんにいわれたっけ。それは本当か分からないけれど、わたしは病気ではなくて、だけど普通でもなくて、まともなふりしたおかしい生き物で病気のふりした醜い生き物になった。「結局俺は偽物だった」ってsyrup16gの歌を聞くたびに、なんだか涙が出るよ。うまく話せないし、うまく言葉も手も笑顔も声も使いこなせなくて ごめんね。優しい人はいつも傷ついている気がするよ。優しい人をいつも傷つけてしまう人間になりたくなかった。自分に失望しても、生活はつづく、つづく。それってなんか恐ろしいことのようで、ちょっとこわいよね。