♪ナ〜ル〜ドの〜壺〜な〜らね〜ど〜…という賛美歌がございます。キリスト教に縁の無い方々は、余りご存知無いでありましょうが。
この世には、ナルドの香油なる、大変高価な香りがございます。
キリストにまつわる有名な話として、ベタニヤのマリアという人物が、イエスキリストの話を聞くうちに、彼の最期を悟り
家に大切に保管されている、封印されていた石膏の壺を持って来て割り
中の香油を注いでキリストにかけ、自分の髪で拭き取った(つまり、十字架に架かって死ぬことを知ったので、死者の身体に香油をかけて聖別する様にした。死の準備をした。)
という話がありまして、その時マリアがかけたその香油が、ナルドの香油と呼ばれているものなのでありますです。
さて、新約聖書によりますと、ベタニヤのマリアが香油をかけた時、
辺りに芳しいその香りが満ちた、と記されています。
その香油は大変高価で、今の価値に換算すると300万円相当にもなるそうで、大変な価値があったそうです。
そんなナルドの香油ですが、一体どんなかほりなのでしょう。
カトリックは今でも香りに対し、なかなか重要なものと位置づけている様ですが
プロテスタントは余り理解が無く、特に日本において、聖書に出て来る香油は名ばかりで
余り知っている方は少ない様です。
ある日本の牧師様は、そのブログの中でナルドの香油に対し
限りない憧れと、夢を語ってらっしゃいました。
どんなにか、芳しく
どんなにか、素晴らしく
我々を魅了するのであろうかと!
私もまた、最近まで香りに疎く、その重要性を知りませんでした。
しかし、最近、ついに手に入れたのでございます。
そのナルドの香油を―
さて、その香りをワインソムリエの如く表現してみせませう(笑)。
―広大なる大地を翔ける聖なる獣の、その息吹と共に奮える命の木の雫を思わせる、芳醇なる香り―
はい。では今のこの表現を、我々日本人が正直に表現するとこうなる、という、すんばらしく的確に一言で片付けた方がいらっしゃいました。
こうです。
―外で飼われてる犬の臭い―
…まあ、そうなんですな。要するに土臭い、泥臭い、獣臭いってことです(笑)。
姉、みけーらは、その昔、アラブ人の絨毯商人の所で働いていた経験から、彼等の感覚が分かるので、ナルドの香りを初めて嗅いだ時も、懐かしいと思ったそうで。
そこで考えたのです。良い香りって何だろう…。
乾燥地帯に住む中近東の方々も、花の香りは大好きだそうで
特に薔薇なんかには、物凄く執着しているみたいですね。
けれど、スパイクナード(ナルドの香油)の様な香りも彼等にとっては芳しいものらしい。
そこで、想像してみました。乾燥した大地に牛や馬が、家族と同じ様に暮らしている。
石や木を燃やす匂い、山羊や羊の柔らかい肌触り。
それらが母親の笑顔や兄弟の笑い声、父親の暖かい手。おばあちゃんの昔話等と一緒に、良き思い出として記憶されている。
何処かで土の匂いや動物の匂いを嗅いだ時、ふと心が和み、優しい気持ちになったりする。
それらはその人にとって、良い香りのはずです。
人工物に囲まれて生活する今の私達には、自然の香りはもしかしたら、不潔なものに写るのかもしれないけれど
ナルドの香油には、太古の息吹が封印されているのかもしれない、と思うのです。
…
…
ブログを書いた牧師様。
ほんまもんのナルドに出会った時
どうか幻滅しないでね(笑)。