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特別授業・後




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「特別授業」と称された地下室での戦闘は、ルベン先生の魔法発動によって始まった。


打ち上げられた大きな火の玉が、マルー達前衛に向かって落下する。





マルーとレティはそれぞれ左右に分かれ、
ボールとリュウは素早く後ろへ下がった。




「まだまだよ!!」


レティはすぐに相手へ切りかかったが、

なんと先生は、たった2本の指でレティの大剣の動きを止めてしまったのだ。



「なんて力してんのよこいつ!」


先生はフッと笑みをこぼしてから、レティを大剣ごと2本の指で放り出してしまった。



「きゃあっ!!」

「大丈夫ー!?」

「ええ。これくらい、なんてことないわ」

「あれが人間離れの力ってことか…」

「あの人すごいねー♪」

「敵誉めてどーすんだよ。
 とにかく!さっさとぶっつぶして、リックを助けてやらねーと!」



ボールは先生の元へ走り込み、「りゃあっ!」と水平斬りをしてみせたが、
見事に避けられてしまった。


それでも彼は絶え間なく斬りかかり、先生はいくらでもかわしてみせる。




「君はどうして武器専攻へ行かなかったのかい? 魔法を覚えるより、剣一つで活躍するほうが君の為になると思うが?」

「うるせぇ!
 俺にはやりたいことがあんだよ!」

「そうだよ!!」


 シュンッ!


「ボールには、人助けできる魔法を覚えるって、目標があるの!魔法に向ける姿勢は、あなたのクラスのなかできっと、今一番強いよ!」

「意欲だけで魔法を使えると思っているのかね?」

「出来るよ!」


そう言って、マルーは先生から離れ、彼女は剣を左手に持ち変えた。



「私が教えてあげる!!」

右手の人差し指をたてて、顔の横に置く。
そうすると、彼女は目を閉じて静止した。




「…このまま待ってやろう。 どうせ武器専攻のやつらの魔法など、大した威力には
「ラ ク ラ イーっ!!」


 すばんっ!!!
「ぐっ!!」



マルーのラクライが、先生の脳天に直撃!


彼は頭を抱えて倒れこんだ。



「すっげー…」

「いっひひーん☆
 どうだ!思い知ったかーっ!」


周りの仲間がマルーに歓声をおくる。

「たった半日でここまで……素晴らしいです!」


「(なかなかやるみたい、なんだな…)」





「うーん……まさかこれほどの、ものとはね…」


先生は、頭を片手で押さえつつ、立ち上がった。



「ここから一気に攻めるわよ!!」


レティがかけ声をかけた瞬間、仲間はだっと反撃に出た!



前衛は武器を大いに振るい、
後衛はしきりに杖と手を動かす。



「りゃあーっ!」
「えいーっ!!」

「ホノオっ!」
「いくだー!!」


「おいおい!こんなに一気に来られても私には対応しきれないよ!」

「なんておっしゃっていますけど、先生、見事に避けていますよ…!
 ローゼ先生、どうしましょうっ!」

「ただ当てようとするだけでは、体力を消耗してしまうようですね……」


そう言ってからしばらくすると、ローゼ先生は急に両手の平を合わせ、目の前に雷をまとったなぎなたを出現させた。




「前に出ます。援護を」

「 !! 先生っ!?」


「皆さん!」

「 ?? 」

「私に続いて下さい!!」

  しゅん―!!

「きゃっ!! …今の、先生!?」

「はやいんだな…」



「なんだ?」

「どうしたのー?」


「一気に

 ひゆん!!

  畳み掛けます!!」


「すごーい! 飛んだ〜♪」

「てことは…、こっちに降りてくるのか!」



「 ツラヌキ ・ ライコウ !! 」



「わー!みんな危なーい!!」

「えっ!?」
「どうしたのリュ……わっ!?」

 びシュん―!!

「ぐっ!!」



ローゼ先生が敵に向かって急降下し、刃を敵の顔面に向けた!


敵は魔法で作られた四角い壁でかろうじて防いだが、表情は歪んでいる。




「皆さん! はやく…決めてください!!」

「?? どういうこと?」

「…そういうことね!」

「えっ?」


レティはさっと剣を床に刺し、柄の先に飛び乗ってから宙を舞った!




「 フレイム ・ ポスト っ!!」




このかけ声の直後に付いた手から敵へ、火柱が向かった!


ローゼ先生が避けると同時に、敵が火柱で宙を飛ぶ!



「チャンスよ! 大技ぶっっかけなさい!」

「大技ー? なら僕に任せてー♪」



リュウが槍を両手に持ち、たんと走り出した。



「いきまーす!
 エア ・ ブレぇード ぉーっ!! 」


槍先にまとわれた風が、リュウが振り下げたと同時に大きな刃に変わった!

刃は敵が床に落ちそうになる瞬間を横切り、一気に壁へと押し込んでゆく!



「すっげーっ! あいつが壁にはまった!」

「やたー☆」


「あたし達も!」

「負けないだ!」


リンゴとアギーの杖から現れた火の玉が合わさり、大きな球が出来上がっていた!



「「 いけぇぇぇぇえっ!! 」」



球は勢いよく敵へ向かっていったのだが、

急に方向が変わり、火の球は天井の壁に黒いこげを残して消えてしまった。





「そんな…!」

「あんた何やってんのよーっ!!」

「れ、レティ、……おらのせいにするだ!?」

「当たり前よ!あんたのコントロールの悪さは有名なんだからーっ!」


「……ち…から、力、を…」


レティが文句を言っている間に、ルベン先生はよたつきながらも、魔力を吸収できる機械に手が届くほどの距離まで移動していた。



「力……を!!」


ルベン先生はついに、魔力を吸収出来る機械に付いたレバーを握り、引き下ろした!



「 ぐわあああああーっ!! 」




怪しげな台に鎖で繋がれたリックの全身を、電流が包み込む!









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Episode82 特別授業・後

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