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「(このままでは、皆さんがあの人と戦ってしまう――)」


丘のふもとで、背中に大きく傷を負ってしまったアスカが見つめていた。しゃんと立つローブの人物を。そして、その人に立ち向かおうとしている「サイクロンズ」を。


「さあ、答えてごらん? あの丘の下で呆気に取られているあの子を、君達が仲間として認識しているのかどうか」

ローブの人物が、対峙するサイクロンズへ問いかけた。


「もちろん、アスカは私達サイクロンズの大切な仲間だよ。だから私は、皆と一緒にここまで来たんだ」

マルーはすぐ、ローブの人物に向かってこう答える。

「半ば強制だけどな」

「ボール、あんたそれ言う?」

「けどよ。ここはもうやるしかねえだろ。俺だって、ここまで来ておいて見捨てたりはしたくねえし」

「それは、あたしもだけど――」

「もちろん僕もだよ。ノルアちゃんの為にも、全力でいくよ」

「皆、ありがとう!」


気持ちを固めたサイクロンズは、矛先をローブの人物に定めた。それを見たローブの人物は、しかと地を踏み締める。

「あの子の仲間なら、仕方がない。君達を「敵」と認識するだけだからね――」


ローブの人物はつぶやくと、地から脚へ、全身へ、深く重苦しい、真っ黒な気を湧き上がらせた。そして、ローブの奥から覗く眼が片方だけ、赤紫色に輝いた。無彩色な身なりの中に浮かぶ瞳の色は、妖しくも鮮やかだ。


「さあ。おいで?」

こう言ったその人は、ぽっかり光る片眼と、身体にまとう黒い気で、自身が見据えた集団をすくませる。


「どうしよう。あたし、脚が勝手に、震えてて――!」

「む……」

「こいつ、前の似た奴らとは全然違うじゃねえかよ」


 そうか! 君達
 私の弟子に歯向かったね?


「ひやあっ!!」

「リンゴ! 大丈――」

「いや! 来ないで! 触らないでぇ!」

「お、お前慌てすぎだぞ! 頭の中に、直接声が聞こえたぐらいで――? おい、見ろ!」

「――あれ? ローブの人がいない」

「そんな! どこに行ったの!?」

「んなこと言われても分かんねえよ!」

「これほど動揺するとなると追い込む甲斐があるね」

「「 !? 」」

ローブの人物の声が、サイクロンズを振り向かせた。


「こんなに近くに現れただけなのに。今回の五大戦士は大したことなさそうだ」

「五大戦士のことを知ってる――?!」

「当然だよ。赤・青・黄・緑・橙、で色分けされた五人の戦士は、いつも私の邪魔をする。それがどうかな、赤の魔法使い〈マジシャン〉は戦意喪失。戦士〈ソルジャー〉達は声がかかるまで気が付かない鈍感者ばかり。これでは勝負にすらならない」

こう言ったローブの人物は、ローブの奥にひそむ口元をにたりと緩ませる。
そうしてその人は指を差した。

「君達は後だ。私はやるべきことをやらせてもらうよ」

こう言うと、ローブの人物の指先から、黒い灯火が現れ始めた。灯火は、空気を抱き込むように大きくなってゆく。


「それはダメ!!」

こう声を上げてマルーは、ローブの人物に向かって突進するものの、すんでのところでかわされた。

「そんな動きが私に通用するとでも?」

「通用しなくても、あなたがその火で向こうの樹を無くそうとするなら、私がそんなことさせない!」


マルーは果敢に向かってゆく。かわされてもかわされても、マルーは何度もぶつかっていった。


「――俺達も行くぞ! マルーと一緒に戦うんだ!」

「……うん。行こう!」

そうして駆け出したボールとリュウも武器を振るう。




こうして、三人を相手にすることとなったローブの人物。しかしその人は、表情をひとつ変えず、あらゆる攻撃をいなしていった。


「おいどうするんだ? これじゃあまるで、俺達が踊らされているみたいだぞ」

「でももし今この攻撃を止めたら、あの樹が燃やされちゃうんだよ!」

「そのくらい分かってるっての! だからどうするんだって聞いてるんだろ」

「決まってるよ! 私達の動きを止めないこと!」

「そういうことじゃねぇよ! もっとこう、具体的な作戦をだな――!」

「二人共落ち着いてー! ケンカしている場合じゃないよー」

「ケンカじゃないよ!」
「ケンカじゃねえよ!」

「……君達、敵から目を離したらどうなるって言ったかな?」

「あっ」
「げっ」

「ふふ――もう終わりだね」

こう言うローブの人物は既に、上半身以上に大きく、不気味に燃える「ホノオ」を手にしていた。その人は腰を引き、ホノオを後ろに構え――。


「私の勝ちだ」

「 !! 」

放った瞬間だった。
マルーがとっさに武器を捨て、ホノオの元へ駆けたのだ!

「マルー行くな!!」
「待ってー!!」

二人の声が届く間もなく、マルーは両手を広げてホノオを受け止めてしまった。





だが。
どうも様子がおかしかった。

マルーに直撃したはずのホノオが、すんでで現れた白い輝きの壁に吸い込まれ、消えてゆくのだ。






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